皇室の「不滅」性を願うために

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いつも当サイトのブログやコメントで深い論考を寄せてくださる京都のSさん。
年末年始に放送されたアニメ作品から、生きる姿勢・皇室を戴く覚悟への強い示唆を得たようです。
どんな作品だったのだろう?そこからSさんは何を感じ取ったのだろう?
どうぞ本文をご覧になって、お楽しみください。

Eテレ(NHK教育)で『不滅のあなたへ』というアニメ作品を年末年始に再放送していました。以下は同作品の冒頭エピソードです。

…「 まず、不滅の存在(球体)が地球に似た惑星に現れ、”それ”が生命に触れて知性を獲得し、様々な経験を積んで人間らしく成長していきます。その存在が人間の姿を手に入れて最初に出会った他人(マーチという名の母性に溢れた少女)により、不死身だからとの理由で「フシ」と名付けられ、彼女から少しづつ人としての振る舞いを習い始めます。少女マーチの育ったチナンナ村では、村人の中から選ばれた少女が毎年「鬼熊様」と呼ばれる化け物に生贄として捧げられるという因習があり、今年の生贄に選ばれたのはマーチでした。マーチの姉代わりとして共に育った少女パロナを除く村人(※マーチの親すらも全体主義に負けて同意)と隣国ヤノメの役人はマーチを騙して祭壇へと連行しました。結局このエピソードは、フシが獲得した能力で鬼熊様を倒したために因習の根拠が失われるという結末でした。」

 劇中の「生贄」というワードから私が連想したのは、著しく自由を制限されている上に、幸福を祈った対象から誹謗中傷を受けても全く反論を許されない立場に置かれている皇族方のことです。また幼子のマーチを生贄にするチナンナ村民たちの態度は「高齢者を守るためにワクチンを打て」と言った医師や芸能人たちとも重なって見えました。

…「 本作には他にも多くのエピソードがあり、命は手段であって目的ではないことを体現する登場人物たちの行動により不死身のフシが人間性のライトサイドを獲得していきます。ヤノメの役人ハヤセからマーチを守って倒れるパロナ、フシが獲得したものを奪いに来る敵と戦って散る少年グーグー、囚人同士が殺し合う島から脱出できたのに捕らわれたフシを救うために島へ舞い戻ったトナリと仲間たち…みな尊い最期でした。」

…「 上記の尊い彼らとは逆に、人間性のダークサイドを体現する存在として描かれたのが大国ヤノメの役人ハヤセです。権力を駆使して周辺国の民を圧迫し、生き方が美しい人々を無惨に殺し、フシ(不死身)の秘密を手に入れるために卑劣な策を弄したハヤセは、「貴人を引きずり下ろして憂さを晴らしたい」「1分1秒でも長く生きていたい」という昏い欲望を抱えた現代日本の我々と重なっているように感じました。」

 

 以上のエピソードから私が意識したのは、コロナ禍にあってこそ意義が増した言葉「命は手段であって目的ではない」でした。そして、まさしく命を手段として全身全霊の活動を全うしておられるからこそ、皇族方は一挙手一投足が尊く映るのだろうと思い至りました。しかしながら私は、皇室は不滅であってほしいと願いつつも、皇族方に「尊さを保ってくれ」と言うのも「違う」と感じています。つまり、美しく生きておられる皇族方を鑑として我が身を振り返り、美しく生きる努力を続けなければならないと思うわけです。そうでなければ、皇室の「不滅」性を願うことすら不遜だと感じます。つまり「天皇を戴く資格」の問題です。        

(メールより)文責:京都のS

5 件のコメント

    京都のS

    2022年1月28日

     ただし様、ありがとうございます。
     私は「命の尊さ」という言葉が大嫌いです。誤解を恐れずに言えば、命そのものには何の価値もなく、命を手段として為した行為にこそ価値が生まれ、命に尊さが付加されていくと考えます。皇族方の尊さと釣り合いが取れるように、自分の命にも尊さを付加していきたいものです。

    ただし

    2022年1月25日

    “命を手段として全身全霊の活動を全うしておられる”ゆえに、尊いのですね。勉強になりました。
     皇室の不滅性を願うなら、自分自身も、美しく生きる努力を続け、それ相応の尊さを身につけるべき、ですね。

    京都のS

    2022年1月23日

     ダダ様、基礎医様、ありがとうございます。
     尊さを保ちながら国民の象徴として天皇に在り続けてほしいのなら、国民の側も相応しい程度に尊くあろうと努力しなければならないのではないか?と思ったわけです。天皇と国民が相思相愛の関係でなければ皇室は続きませんが、皇族方が尊く在り続けようと思うモチベーションを維持していただける程度には、国民の側も尊くあろうとしてみませんか?ということです。これまで私が、当サイトで「アナ雪」論や「天気の子」論を通して書いてきたこと(コロナ禍中の振る舞いや小室夫妻への誹謗中傷は天皇を戴く資格を欠くのでは?)の結論として、「不滅のあなたへ」論を提示してみました。
     さて、次に不滅性についてです。生物学的な意味では憲法2条に定められているもの(世襲)であり、文化的な意味では歴代の天皇や皇族方が示してこられた皇室の伝統(慣習から因習を除去したもの)そのものです。国民としては、どちらの意味でも千代に八千代にと不滅を願うのは当然ですが、生物学的不滅性のためには皇室典範の改正が必須であり、文化的不滅性では国民側に意識変革が求められていると思います。両者とも投げるべきボールは国民の手の内にあると考えます。

    基礎医学研究者

    2022年1月23日

    『不滅のあなたへ』、なかなか深い内容のアニメですね(最近のNHKは、なかなかやりますね(^_^)。全体の論調は、京都のSさんのおっしゃられる通りかと思います。さて、少し自分の関心を書きますと、この不滅性については、医学系の研究者としてはなかなか興味深いキーワードでありまして、確かに生物個体そのものを考えると確実に”死ぬ”のですが、生殖細胞を介して次世代に遺伝情報が継承されるという意味では、”不滅”という言い方はありうるのだと思います。ましてや皇室は、日本の「歴史・伝統」継承しているわけですがら、”不滅であってほしい”というのが、一国民としての素朴な望みであります。
     さらに、京都のSさんが言われます「天皇を戴く資格」については、なるほど。実は、これまでのお互いの投稿、およびコメントの中で自分と京都のSさんと少し濃淡があるところだと思いましたが、今回の結論より非常にクリアーになりました。すなわち、「皇室」の方々と我々現代を生きる国民は相互作用のような関係であり、一方に依存することには非常に無理が生じるので、国民側の不断の努力により両者の平衡を維持する、ということになりましょうか?自分は、京都のSさんの天皇を戴く資格」の問題を、そのように解釈した次第です。

    ダダ

    2022年1月23日

    不滅のあなたへ。面白そうですね!
    Eテレ、侮れません。

    文末の部分、仰る通りです。
    象徴される側の国民とは? の姿勢を保ち続けていきたいです。

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