愛子さまと「立太子の礼」について(その4:裕仁親王の立太子の礼「記念切手」(2))

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国内郵便の切手については図のように、黄丹袍(おうにのほう)に織り出された文様における巣の中のオシドリが中央に配置され、周囲には天皇陛下の礼服である黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)から取られた桐の文様が配置されております(なお、天皇陛下は立太子の礼だけでなく、即位の礼においても、この服をまとうことになっており、黄櫨染御袍と黄丹袍の組み合わせは皇位継承を象徴するものとして、切手にも取り上げられたようです)。また、中央の文様部分は、黄丹袍にちなみ、黄色と赤を組み合わされた刷色となっています三銭切手は、この黄色と赤の2色刷であり、一銭五厘切手に関しては、裕仁親王の将来を祝福する意味をこめて、周囲の部分は若草をイメージさせる緑色で印刷されているようです。

他方、国外郵便の切手については、柳葉という台に載せられた空頂黒幘(くうちょうこくさい)とよばれる未成年の皇太子が儀式の際にかぶる冠を中心に配置し、周囲に桜花の文様を配置されております

この切手のブルーの凹版印刷は図とマッチして美しく、雅子さまのお好きな“青色のお召し物”、さらには本ホームページにおけるパンダさんのイラストに描かれた”愛子さま”を彷彿とさせます

2月ゴー宣道場のチラシ制作秘話 – 愛子さま 皇太子への道 (aiko-sama.com)

そして記念切手は、1916(大正5)年11月3日(立太子礼の後)に無事発行されましました。ただし、以下の要望は満たされなかったようです。

当初、逓信省は、壺切御剣を題材とすることを考えましたが、剣が宮中の秘宝であることに加え、模写に関しても宮内省(当時)からの許可が下りなかったため、皇太子が儀式の際に身に着ける服装から題材が選ばれたというのが、実際のところです。

2.(当時は技術的な問題もあったのでしょうが)、親王の肖像画が切手の図案に取り上げられることは、なかったようです。

こうして書いていますと、私見では、立太子の礼に対して当時の国民の歓迎が高い一方、宮内省は「皇族」を神格化しようとする傾向があるように思えました(まあ、現在の状況を考えると、皇族をお支える立場の方々の気持ちもわからなくはないのですが)。

文責: 大阪府 基礎医学研究者 52歳(男性)

5 件のコメント

    基礎医学研究者

    2022年4月7日

    ただしさん
    ありがとうございます。立太子礼の記念切手が発行されたのは正直裏山鹿で(笑)、このデザインを見てついていける当時の国民の意識も、高いですね。で、そうなのです。私も、現在をみると、どちらの立場もわかるような気がするのです。

    ただし

    2022年4月5日

     知識を得ていくのが楽しいです♪☆
    (*^_^*)
     分かりやすいご説明、どうも、ありがとうございます。

     どちらの気持ちも、分かるような気がいたしますね。

    基礎医学研究者

    2022年3月19日

    ダダさん
    コメントありがとうございました。少しはお役に立ててよかったです。当時の逓信省にとって「記念切手」は、流通しても所蔵されるでも重要な資金源であり(今の日本郵便㈱にとってもですが)、図の考案については、売るためにも様々な創意工夫があったようです(それが理解できる、当時の国民の関心度も”なかなか”のものかと思う次第で、ごさいます)。ただ、いまと異なり宮内省がかなりの”横やり”を入れてきて、充分彼らの力が発揮できなかったようですが。こういうところが、当時の世相にもつながってくるのだろうと。
     引き続き、宜しくお願い致します。

    urikaniさん
    さすが!お目が高いです(^^♪。実は、右の10銭切手は、売ろうとしていた割には発行枚数が少なく、いわゆる”レア物”として、切手収集家の間では大変な貴重品らしいのです。そして、このブルーの色は「皇室」の格調高さを反映してか、当時の国民にもとても評判がよかったのです。ですので、愛子さまが「立太子」されたときに記念切手が発行されるのならば、ぜひこのような「ブルー」を基調にした切手が見てみたい(≧▽≦)、と自分も思った次第でございます。

    urikani

    2022年3月19日

    ブルーの切手がいいですね♪
    (*´ω`*)

    ダダ

    2022年3月18日

    解説ありがとうございます!勉強になりました。
    文様と色に、ここまでの意味があったのですね!
    そして、右の10銭切手は冠とのことで、謎が解けました^^

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