「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議が閉会し、令和3年12月22日政府へ報告書が提出されました。これから立法機関である国会で皇統問題が議論されます。
「有識者会議報告書」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/index.html
そこで、今までの流れをまとめました。
◆退位特例法の付帯決議 ~女性宮家の創設~
有識者会議の開催根拠となった「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の付帯決議には女性宮家の創設が明記されています。
政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、(後略)
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」付帯決議より抜粋https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/pdf/k031930661930.pdf
◆白紙回答の報告書
しかし、有識者会議の報告書本文に、女性宮家の文字はありませんでした。
これは立皇嗣の礼(※)を作り上げた政府におもねったと考えられます。
※立皇嗣の礼:秋篠宮殿下が皇位継承順位・暫定1位(次の天皇になることが確定していない)であることを、天皇陛下が内外に宣明した、前代未聞の儀式。
◆論点ずらし ~皇族数の確保~
女性宮家創設の代わりに、安定的な皇位継承の具体的な方策として皇族数の確保を挙げています。
①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
③ 皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること
(③は、①と②で皇族数が確保できない場合に検討するとあります。本ブログでは触れません。)
以下で詳細を見ていきます。
①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
女性皇族が皇族でない男性と婚姻しても皇族の身分を保持するという新しい制度を導入した場合、その子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられます。また、配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられます。
(有識者会議報告書より抜粋)
図解するとこうです。

【①の問題点】
・女性宮家は創設されない。
・次世代の皇族がいない。
・夫と子は政治活動や宗教活動などを自由に行えるため、女性皇族の権威が悪用される恐れがある。
・夫婦が同等の権利を有さない家族となる。
(憲法第24条:婚姻は両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない)
②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
この方策については、昭和 22 年 10 月に皇籍を離脱したいわゆる旧11宮家の皇族男子の子孫である男系の男子の方々に養子に入っていただくことも考えられます。これらの皇籍を離脱した旧11宮家の皇族男子は、日本国憲法及び現行の皇室典範の下で、皇位継承資格を有していた方々であり、その子孫の方々に養子として皇族となっていただくことも考えられるのではないでしょうか。(中略)また、皇位継承に関しては、養子となって皇族となられた方は皇位継承資格を持たないこととすることが考えられます。 なお、養子となられる方が婚姻していて既に子がいらっしゃる場合においては、民法同様、子については養親との親族関係が生じないこととし、皇族とならないことも考えられます。
(有識者会議報告書より抜粋)
図解するとこうです。

【②の問題点】
・女性宮家は創設されない。
・次世代の皇族がいない。(Aの次男が皇族となるか国民となるか不明)
・皇室典範第9条「天皇および皇族は、養子をすることができない」を破る。
・旧宮家男系男子や皇統に属する男系男子を養子にすることは、憲法14条で禁止している門地による差別に該当する。
(憲法第14条:すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない)
最後に政党の反応、姿勢です。

養子縁組を実現させるには憲法と皇室典範の無理筋な法改正が必要となり、万が一、憲法違反があった場合は皇室の聖域が侵されることになります。
安定的な皇位継承を確保するには、
・双系継承(性別関係なく即位できる)、
・女性宮家の創設(女性皇族が結婚後も皇室に残り、子にも皇位継承資格がある)
が必要不可欠です。
これらは皇室典範のみを改正すれば実現可能、且つ、皇室の願いに応えられるものです。
私の国語力で報告書をまとめました。
内容に間違いがある場合はご指摘ください<(_ _)>
文責 茨城県 ダダ
9 件のコメント
ダダ
2022年6月28日
殉教@中立派さん、くりんぐさん
コメントありがとうございます!
男系固執派の政治家には報告書の問題点を指摘して、その不誠実さを恥じてもらいましょう!
ダダ
2022年6月27日
ふぇいさん、京都のSさん、Richard Tigerさん
コメントありがとうございます!
家系図(図解)を見て報告書のいい加減さが分かるようにしたかったのですが、いきなり図示するのは変なのと、これまでの流れが分かるようにしたかったので長文になってしまいました。。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
この家系図が報告書の中身で、これだけのことしか書かれていないんです!
なのにバランスが取れている、高く評価する、ですからね。。
バランスが取れているのは、男系固執派の男尊女卑の感覚と報告書の内容のことでしょうね。
くりんぐ
2022年6月27日
今上天皇とは赤の他人または血筋が遠く離れている旧宮家系国民男性養子案を「バランスがよい」「高く評価する」と肯定して実現に前のめりになっている党は、皇統に属すると思われる男系男子なら誰を皇室に入れても構わないと思っているのでしょう。
自分たちに都合のよい皇室を作りたいだけ。
殉教@中立派
2022年6月27日
2月道場で、馬淵議員が指摘した通りの問題。内閣府は、一般国民達を「誤魔化せるだろう」と舐めた上で、これを公開したのだろうが・・・「誤魔化された」のは、むしろ多くの政治家たちであった。政治家、メディアは皇室の課題をマトモに考えず、一般市民は危機感を持てない。ここに楔を打ち込むのは容易ではないが・・・
ただ、ここで指摘された問題点は分かり易く(トッキー氏の言うように)これが社会通念となれば、勝機はあると思う。後は、私達が接触した候補者(政治家)のうち、せめて何割かでも動いてくれれば、或いは・・・・
ふぇい
2022年6月27日
京都のSさま
悲しい限りです(TT)
いい話してくれる方々なのですが…
突き抜けたら支持者増えると思うのですがねぇ。
Richard Tiger
2022年6月27日
分かりやすいです!
やっぱ、有識者会議の内容は、めちゃくちゃですな〜👀
京都のS
2022年6月27日
ふぇいさん、コメ中のラスト「その白紙解答を評価し、バランスが取れてるって…」ですが、藤井氏も施氏も報告書について「バランスが取れている」と言いました。自民党に食い込み過ぎたせいでしょうね…。悲しいですね。
京都のS
2022年6月27日
素晴らしく解りやすいチャートつき説明文でした。ありがとうございます。これは政府有識者会議報告書に対する各党の反応ですね。
ところで、小林先生が本日のブログで「『れいわ 山本太郎』は『どちらとも言えない』なの?そんな曖昧な態度は許さない」と書かれていますが、そんなはずは無いと思います。男系固執度の記事( https://aiko-sama.com/archives/12894 )で【態度不明】となっているのは「『有識者会議報告書』に対する考え方は公式発表が見つからないため不明だ」という程度の意味かと思われ、山本氏本人は女性天皇・女系天皇に賛成だと街頭演説でも動画でも常々言っています。だから当該記事(DDD評価記事)でも「男系固執度ゼロ」で、「双系継承〇」という評価です。
これは私が山本的ケインジアンだから言っているのではないですよ。こちらにも書かせていただきました。
ふぇい
2022年6月27日
図がわかりやすいです!
そして、安定的な皇位継承にどうつながるのか。
有識者会議の報告書は分かりづらいです。
テカ本当に白紙解答。
その白紙解答を評価し、バランスが取れてるって…