左右に蔓延る「現状維持バイアス」を解除せよ!(上)

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令和4年7月10日に投開票された参議院議員選挙で自民党が大勝しました。そして皇位継承問題における最適解愛子天皇誕生に向けた典範改正)を掲げた唯一の勢力である立憲民主党が大きく議席を減らしました何故でしょうか?

①     殺害された安倍晋三元首相の弔い選挙だから

②     人口の多いシルバー世代が安定を望んで与党を支持したから

(現状維持バイアス)

③     若年世代までが権威主義で自民党を支持したから(バンドワゴン効果)

④     小党乱立で野党票が分散したから

…一応どれも正しい分析だと思われます。しかし①に関して、与党&維新(改憲勢力)を勝たせるために安倍氏を消して同情票が集まるように仕組んだと考えている方は一旦落ち着きましょう。共同幻想を捨ててロジカルに行きましょう。

以下で野党第一党だった立憲民主党が負けた理由を分析してみます。

立憲民主党の主要な支持基盤である連合(日本労働組合総連合会)の戦略ミスも大きかったのではないかと私は考えています。労働組合は企業の正社員が主な組合員であり、正社員の不当解雇阻止や給料アップ、ハラスメント対策などは要求しますが、契約が更新されなければ企業とも組合とも縁が切れてしまう非正規社員は、そもそも労組中枢にとって存在感が薄いと思われます。従来型の野党は弱者に寄り添う姿勢を見せますが、正社員(安定・中流~・コロナ禍ではリモート可)と非正規(不安定・貧困・エッセンシャルワーク)が鋭く対立する場面では、組織存続に貢献する正社員の側に立つのではないでしょうか?共産党ほど支持基盤が安定していないため に無党派層の動向に左右される立憲民主党は、より弱者に寄り添う姿勢が必要だったはずですが、安定票田だった組合員(正社員)の側に重心を置き過ぎたと言えます。つまり組合員と野党議員の現状維持バイアスも立憲民主党の没落を招いた原因だと考えられます。ちなみに従米的改憲(9条に自衛隊明記)と従米的護憲(9条&前文の絶対護持)の対立やグローバル化&緊縮財政の維持にも現状維持バイアスが掛かっています。

以上のような機序で女性若者貧困層障害者などの無党派票が、乱立した左右・保革の小党に流れると共に立憲民主党が大きく議席を減らした理由だと思われ、さらに与党の補完勢力である維新の会が躍進した理由も、自分たちの代表と感じられない従来型野党よりは現状を変えてくれそうと感じたからだと思われます。次回は与党側の現状維持バイアスやシルバー民主主義も絡めて論じます。 (下に続く)     

文責:京都のS

8 件のコメント

    京都のS

    2022年7月28日

     基礎医様、ありがとうございます。コロナを怖がったがゆえの投票率の低さは、シルバー民主主義の克服という点(コロナを怖がるのは主に高齢者のはず)ではプラスに働くはずでしたが、その票が維新(男系固執)や参政党(男系固執)に流れたのでは立民(女系容認)にとっては意味を成しませんし、コロナコワイ世間やPCR全体主義が若者の投票行動までブロックしてしまっていた感もあります。そこへ来てアベシ弔い戦というファクターまで加わったのですから堪ったもんじゃありません。
     (下)では、ネオリベ&緊縮(30年不況)とコロナ禍(自粛禍)とコストプッシュ物価高(ウクライナ戦争による必需品高騰)の三重苦に追い詰められた若者を救い、かつ若者を「愛子天皇を渇望」に駆り立てるように立民が掲げるべきは何だったのか?を多角的に論じてみました。
     確証バイアス(見たいものしか見ない)や自己奉仕バイアス(頑張ったから報われるはず)を除いた分析を試みたつもりです。

    基礎医学研究者

    2022年7月28日

    興味深く読ませていただきました。特設サイトの皆様にご協力いただいた”試み”は、必ずしも選挙選の動向とは直結していない!というのが、私の理解ですが、でも京都のSさまのような「選挙後の話」があってもよいのかな?とも、一方で思います。今回のブログで思ったことは、①のようなことがあっても、結局投票率平均52%で、このことは自分は大変憂慮すべきことだと思います(実は、三院選は1990年くらいまでは、60-70%の投票率を維持していたので)。それでも、まだ中選挙区的な性質を残す参院選は、議員個人の資質が多少問われる選挙でもあるので(小選挙区制とは異なり)、そこは救いです。今回の選挙選はそのような意味で、なかなか考えさせられるところがありますが、後半を楽しみにしております。

    京都のS

    2022年7月28日

     殉教様、それは31日掲載予定の(下)で触れる論点を総まくりで挙げてもらったようなコメです。ありがとうございます。どうか、そのままお待ちくださいませ。
     ちなみに、倉持師範の師匠の一人と目される井上達夫氏は反転可能性の観点からの「天皇制廃止論者」です。皇族方も経済弱者も、全く立場は異なれども、反転可能性を発揮して何とか救われなきゃいけない存在です。(下)では、そういった観点からも立民が復活するための処方箋みたいなものを書いたつもりです。

    殉教@中立派

    2022年7月27日

     日本の新自由主義経済では、「資本家階級-労働者階級」軸よりも、「正社員VS非正規」の対立の方が、大きな要因だと言えそう。倉持燐太郎師範から引用↓

     リベラリズムが想定した公私二元論的な「公」に塩対応され、「公共的」な存在とみなされなかった周辺の人々の「敵対性」は、左右のポピュリストやラディカルで排他的な政治勢力を通して、皮肉にも「公共性」を得て、「公」に文字通り「席」を獲得した(欧州の極右、極左政党、トランプ的指導者など)。
    (リベラルの敵はリベラルにあり・P67)

     陛下や皇族方は、そうした弱者に寄り添って下さるものの・・・具体的な行動をするのは、やはり行政・立法(法律・憲法・立憲主義含む)の仕事だろう。(与党が)票の欲しさに怪しげな団体と癒着することも、(野党が)「正社員の票」ばかりを狙った選挙戦略を取るのも、根は同じか。そうした分断の果てには(L.Kさんの指摘通り)「皇室が、国民の結節点ではなくなる」悪夢が待つ。
     一部の弱者にとっては「あんな政党は、自分の代表じゃないから知らん!」「皇室は、自分に関係ないから知らん!」が、同レベルで語られてしまうだろう。そこに一石を投じるにも、どこから手を付けていいのやら・・・・

    京都のS

    2022年7月27日

     yan ryu様、ありがとうございます。その通りですね。上顧客(リタイア間近世代の左派)の顔色しか見ないシルバー民主主義についても次回で詳述しています。31日をお待ちくださいませ。

    yan ryu

    2022年7月27日

    立憲民主党が昔ながらの労組依存から脱却しなければ、真の国民政党とはなれないのでは?と感じています。労組という「上顧客」の顔色を窺っていては、憲法論議も皇位継承論議についても党内で進められないんじゃないかと危惧しています。

    京都のS

    2022年7月27日

     ダダ様、ありがとうございます。若年層の無関心やニヒリズムについては、(下)で詳述しています。掲載は31日だと聞いています。お待ちくださいませ。

    ダダ

    2022年7月27日

    今回も勉強になりました。
    投票率を見ると、10代:32%、20代:31%、30代:39%、40代:46%、50代:55%、60代:64%、70代以上:56%でした。

    投票率が低いことは問題ですが、要因②~④はどれも当てはまると思います。
    個人的には要因③(若年層の無関心、ニヒリズム?)が気になっています。
    次回も楽しみです(^-^)

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