安倍元首相の「国葬」に対する見解

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L.Kです。

安倍元首相銃撃事件によって暴き出されようとしている、日本の闇の深さが留まるところを知りません。

2週間前のブログでは、「政治家、特に権力(多数派勢力)を批判する国民側の言論が委縮すること」を危惧していましたが、
容疑者が実は安倍氏擁護のネトウヨだったという衝撃の事実が明らかになったこともあり、こうした動きはそれほど強くは見られないように見えます。

しかし一方で、安倍氏を権威化しようとする動きははっきりと見て取れます。
その最たる例が「国葬」と言えるでしょう。

・曲がりなりにも、首相という重役を8年8か月にわたり担った
・銃撃というショッキングな形で突然の死を迎えた

という点を見れば、表面的には一応の説得力はあります。

しかし、
● その犯行の動機となったのが、霊感商法が社会問題化した反社会的勢力・統一協会との「癒着」関係であり、
● その関係を利用して、日本憲政史上最大の強権体制を築き上げ、
● その権力を使って、
・皇位継承問題を放置して、皇統断絶の危機を深めさせ、
・数に物を言わせて無理を押し通し、
・レッテル貼りで反対勢力・支持層との分断を深め、
・自殺者も出す程の致命的なモラルハザードを政・官界にもたらしたこと
を考えると、安倍氏の「国葬」とても受け入れる気にはなれません。

現在、統一協会と政界との関係の洗い出しがメディアによってなされていますが、
日本憲政史上最大の強権体制が反社により支えられてきたことや、
その根源が祖父の岸信介にまでさかのぼることを考えると、
誇張抜きで、日本の政治構造がひっくり返るくらいの根深い闇に、手を付ける覚悟が必要なのではないかという気がします。

旧統一教会と国会議員の“ただならぬ関係”…霊感商法対策連絡会はずっと危惧していた(日刊ゲンダイ(Yahoo!JAPAN掲載)、令和4(2022)年7月13日)

さらに、安倍氏について論じる際に、人間性や性格がクローズアップされることが多いのが、非常に気にかかります。
首相にまで上り詰めた政治家の評価が人間性によるもの、というのは、あまりに劣化が過ぎるのではないでしょうか。
得た権限をどのように行使し、国家にどのような結果をもたらしたか、ということが政治家にとって最も重要なはずです。

この記事などが顕著ですが、業績への批判に対して人間味を盾に反論するちぐはぐさを見ると、
もはや日本からは公の感覚はすっかり溶けてしまって、
もっぱら私的な感情だけで言葉が交わされてしまっているのではないかと
暗澹たる気持ちになります。
「安倍元首相の死は自業自得だ」と言う安倍批判派の人たちに伝えたい「安倍晋三・昭恵夫妻」の知られざる姿(PRESIDENT ONLINE 令和4(2022)年7月12日)

安倍氏が実は人好きのする親しみやすい性格であることは、一般に知られるところです。
そうした人間性を盾に共感を呼び込んで、党派を超えた「国葬」という形で権力者の権威を高めようとする流れは、
権力と権威の融合=共和制に一歩足を踏み入れた状態であるように、私には見えます。

もはや天皇の存在意義が分からなくなりすぎていて、天皇(権威)に向けていた敬意まで権力者へ向けるようになってきてしまっているのではないでしょうか。

権力と権威を分割する日本の叡智が失われようとしてはいないか。

私の考え過ぎであることを願っています。


文責:静岡県 L.K (40代、男性、土曜日ブログ担当)


9 件のコメント

    タロー.G

    2022年7月26日

    安倍国葬は弔問外交に利用できる、と最新号のSPA!で倉山満氏が述べているが、そういう問題か?と思いました。倉山氏は国葬の定義が曖昧だから基準を示せと主張している点は納得しますが。こうしてエセ権威がドンドン神格化されて、肝心の皇室は見向きもされない…なんて事になりつつありますね。

    ダダ

    2022年7月24日

    かえさるさん
    コメントありがとうございます!
    >キモッ! キショッ!
    本当にその通りですよね~( *´艸`)

    かえさる

    2022年7月24日

    >首相にまで上り詰めた政治家の評価が人間性によるもの、というのは、あまりに劣化が過ぎるのではないでしょうか。
    >得た権限をどのように行使し、国家にどのような結果をもたらしたか、ということが政治家にとって最も重要なはずです。

    全く仰る通りです。
    激しく同意します!

    政治家という「公人」である以上は、成した業績のみで判断されるべきです!!!

    ~ ダダさんへ ~

    >こんなセンチメンタルなおっさんずラブを見せられるとは、夢にも思わなかった;つД`)

    思わず吹き出しましたWWW

    >・菅元首相が奈良の病院に急行した理由が「(安倍元首相と)同じ空気を吸いたかった」

    には、「キモッ! キショッ!」としか思わなかったです(^ ^;)

    ダダ

    2022年7月24日

    こういう時こそ国家や政治の理念を語って欲しいのに、与野党の議員が統一協会との関係を必死に弁明しています。
    すでに日本の民主主義は終わっていたんだと実感できました。

    天皇という権威は規範でもあります。
    私たち国民が心に宿すべきは、公の体現者の生き様だと思います。

    安倍元首相が死亡して、
    ・岸田首相は涙目で会見。
    ・菅元首相が奈良の病院に急行した理由が「(安倍元首相と)同じ空気を吸いたかった」

    こんなセンチメンタルなおっさんずラブを見せられるとは、夢にも思わなかった;つД`)

    殉教@中立派

    2022年7月23日

     世間国家の日本では、「総理が行った政策の、検証をしよう」という時、大抵の場合は「属人的(※)」・・つまりL.Kさんの言う、総理の人間性や性格に対する判断になりがち。右派は「安倍氏は立派な大人物だ」、左派は「アベ政治を許さない」という「安倍氏のパーソナリティ」に依拠して発言し、「政策内容」「功罪」の合理的な検証を行わない。ましてや左派のやり方は「安倍氏が表舞台を去った」後に、自分たちの「主張の基盤」が自壊してしまい、未来に繋ぐ事すら出来やしないのだから(安倍がいなくなったら『アベ政治を許さない』なんて言えやしない)。

     ただ、今日の生放送にあったように、問題は右派の方だろう。「安倍さんのレガシーを、俺ら全員で守ろう→男系継承がレガシーだ→男系を否定するのは国賊で非国民だ、やっつけてしまえ!」という地獄が出現するかもしれない。これはRichard Tigerさんの言うように「男系派の大物・安倍氏が倒れたことで、逆に『愛子天皇』の実現から遠ざかる」パターンだろう。

     しかし・・・カルト団体を利用した安倍氏を、カルト的な政治家たちが「国葬」にする。それを批判する左派は「マスク&お注射真理教」、肯定する右派は「Y染色体真理教」。これでは、統一教会の批判など出来はしないだろう。オウムにしても「露骨な大犯罪」をしなければ、生き延びていたかもしれないし。

     (閉鎖的な)カルトの対局をなすのが、(開かれた)国民統合の結節・象徴たる陛下と皇族方だろう。だが、上記の「一億総カルト」では、「天皇制は、日本人の国民性には、全く適合しない」という、最悪の結論しか出ないだろう。これを打破するための道を探し、「万策尽きるまで」抗うのみだ。

    (※)倉持麟太郎「リベラルの敵はリベラルにあり」ちくま新書

    れいにゃん

    2022年7月23日

    たしかに、安倍氏国葬を強行する様は共和国にありがちですし、カルト的な気持ち悪さがあります。また、「死者に鞭打ってはいけない」や「不幸な死は弔わないといけない」という言葉は国民からは聞こえてきません。そういう「死ねば皆仏」的な、非常に日本らしい弔いは安倍氏には、なされない。安倍元日本国総理大臣は、国民から、心からの弔いを受けることはないのでしょう。身近では「自業自得」「黙祷らぁするもんか」という声ばかりです。

    Richard Tiger

    2022年7月23日

    深い・・・

    確かに、共和制で【権力と権威の融合】を図ろうとしたら、政治的に空っぽであっても、人間性の良いトップが良いということになる。

    共和制は、恐ろしいっすね😱

    京都のS

    2022年7月23日

     故安部晋三氏を過大に評価する右の世間と、安倍氏を過剰に恐れる左の世間とがあり、右世間は殉職した偉大な政治家だと安倍氏を神聖視しつつ与党の大勝を寿ぎ、左世間は生前の所業を責め立てたいのに「まず死者は悼むものだろ?」という中庸っぽい世間を気にして言えず、コロナコワイ世間はマスコミの目線が移って失政の責任を問われないことに安堵し、カルト世間は「ヤベェ」と思いつつも「どうせジャップはすぐ忘れる」と高をくくり…それなのに皇統の危機もコロナ自粛被害も放置したまま、ウクライナ問題も物価高の観点にしか衆目が集まらず、カルトの被害者も救われないという無惨な日常が続いていきそうです。
     「コロナ自粛」という異常な祝祭に続き、「安倍国葬」という輪を掛けて異常な祝祭に人民が湧きたち、「愛子天皇誕生」という国民的な真の祝祭は無限に遠のいていきます。嗚呼…。こうして無気力で自己チューな各種世間のシルバー民主主義が日本を滅ぼすのでしょう。

    基礎医学研究者

    2022年7月23日

    興味深く読ませていただきました。国葬ということには、自分もかなりの違和感がありました(事件の衝撃とはまったく別の話かと)。また、L.Kさんのいわれるように、本人の親しみやすい人柄と総理としてやってきたことへの評価は切り分けるべき、と思います。そうしないと安部元首相の後世への評価は偏ったものになりそうな気が、自分には致します。そして、もしも人柄的な「私的領域」と「公的な行為」を分離できない存在の方を考えるのならば、それは天皇陛下に他ならない、と思う次第でございます。

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