【論破祭り】「男系絶対維持が”絶対的な解決策”足り得るのか?〜とある仮定で考えてみて」批判

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Point!
・単なる欧州産人権思想ではなく、真の意味で未来に対応できる皇室のかたちは、双系・直子による皇位継承が最適
・男系継承が絶対となると、皇室への自然な敬意を生じさせないし、それこそ「階級闘争史観」を求める過激派極左集団に餌を与えることになる
・「性的少数のために皇室をいじるのか!左翼の思う壺!外国産の理論にかぶれて…」的な反論は只の陰謀論

私は、コロナ禍以前から長く、皇室について思索をしておりました。
それは「もしも皇室の方が同性愛者であったら?」という仮定のテーマでした。
これは今回の件のためにこさえたものではなく、何年も昔、自分の中で自然と生まれた疑問でした。
思いついたのにずっと秘めていたのは、私自身で結論を出せなければ無責任だと思ったためです。

もしもこの問いを男系絶対派に問いかけたら、彼らは恐らくこう言うのではないでしょうか?
「そんなことは皇室の血統からはあり得ない。今後も生じる訳が無い」
もしくは
「極端なことを言うな。議論を混乱させるな」
或いは
「仮にそうだとしても、皇室の方々は一生隠し通してくれるだろう」
などと。
眞子様のご成婚ですら鬼のように追いかけ回して、事実上日本から追い出したような者たちが、
皇室の方に同性愛者が居たらなどということが現実に生じたら、頭がショートすると思います。
そしてこれらの反論を、市井の性的マイノリティの方々に仮に言ってみたとしましょう。
まず間違いなく、差別発言として大問題になるでしょう。
彼らはそのくらいの問題発言をしていることを、自覚できていないのです。

「皇室からそんな人がお生まれになるわけが…」
本当にそうでしょうか?
皇室の方々は神様ではありません。あくまでも「人間」です。
特に現代はかつてのように進学も人間関係も、ある程度主体的に皇室の方々は選択されています。
ましてや、小林先生が以前学ばれていたように、性的指向は「先天的」なものであり、誰にも操作できません。
であればこの先、過去よりも開かれた社会で生きていく過程で、
自分自身が性的マイノリティであることを自覚される皇族の方が生まれる可能性も、
私は決して否定できないと思っています。
繰り返しますが、皇室の方々は「神様」ではありません。
ある意味私たちと同じように悩み、時には親に叱られながら育った「人間」です。
特に戦後の皇室の方々は「ただ崇められるだけの神様」ではなく、
「共に悩み、歩んでいく”人間としての象徴”」として歩まれてきたのではないでしょうか。
そのような皇室の方々に「女系は皇室が揺らぐ。男女平等論者の揺さぶり。左翼の工作」や、
まして「皇室には男系にのみ特別な遺伝子が備わっている」等と言うのは、余りにも残虐な言葉ではないでしょうか?

生まれ持った性において区別されるのではなく、
生まれ落ちた場所で日々育ち、学び、国民と皇室の絆を継承し、次世代に繋いでいく。
そこに確かに生まれて、確かに生きている命を犠牲にしたり、排除したりしてまで守るような「伝統」に縛られた法よりも、
まずはその生命を肯定し、その上で、皆で悩み、答えを紡いでいく余地と弾力性を備えた法=皇室典範であるべきで、
そして私たちは、過去に天皇に全てを丸投げして国土を灰にした過去を真の意味で悔いて、
主体的に皇室の在り方を、法治国家における「法」として具現化していく義務があります。

よって、以下が私の結論であり、男系絶対派の方々への反論となります。
・「未来とは、過去の経験から学んだうえで、次々と今まで見落としていたことが明らかになることでのみ、その可能性を切り開いていける。奴隷も、人種も、そして性についても、そうやって人は未来を切り開いてきた。単なる欧州産人権思想ではなく、真の意味で未来に対応できる皇室のかたちは、双系・直子による皇位継承が最適」
・男系継承が絶対となると、それを維持するために今まで以上の見て見ぬふり、矛盾を生じさせるので皇位継承が困難。常に言い訳探しや強引な「伝統への服従」を国民に要求することになる。それは皇室への自然な敬意を生じさせないし、それこそ「階級闘争史観」を求める過激派極左集団に餌を与えることになる。
・上記論に対する「性的少数のために皇室をいじるのか!左翼の思う壺!外国産の理論にかぶれて…」的な反論は只の陰謀論。

文責 埼玉県 松平

5 件のコメント

    京都のS

    2022年8月25日

     基礎医さん、「大御心に委ねる」は基本ですね。その意を拝察すれば「皇統が末永く続くこと」と「国民との相互信頼が大事」だろうと察しがつきます。「性的少数者をも含む国民」を統合する象徴としての天皇を擁する皇室にあっては、カミングアウトされた皇族を「重大な事故」と見做して放擲するのではなく、その方も皇室に残っていただくべきでしょう。その方が真正リベとしても真正保守としても正しいと考えます。上記で拝察しつつ考察したように「皇統が末永く続く」ためには傍系継承に移るのが正しいと思われます。
     後は皇族方の多様性と個性を国民が喜べるほど成熟できるかどうかの問題です。つまり皇室を戴く資格の問題です。

    基礎医学研究者

    2022年8月25日

    大変興味深く読ませていただきました。「性的嗜好性(ここでは、同性愛)に遺伝的な関与がある」というのはずっと言われており、1990年代にX染色体のXq28領域に「ゲイ遺伝子」なるものが存在する、という研究結果が報告されたときには、研究業界では大きな話題となりました(このスタディ自体は、その後別家系での追試はクリアーではなくぼやっとしているようですが、)おそらく遺伝的関与があるように考えている人は多いかと。ですので、もはや「絶対にそんなことはない!」などという仮定をおくことはできなくなった、という松平さんの意見に、同感です。それで、もしも「皇族」にこのような方々が生まれた場合、カミングアウトする、直系でなく傍系継承を選択、さらには自分たちの代で終わりにするのかは、私たち国民がどうこういうことではなく、すべては「大御心」に委ねる、というのが、現在の自分の心境であります。
     ともあれ、重要な問題提起、ありがとうございました。

    京都のS

    2022年8月25日

     「もしも皇室の方が同性愛者であったら?」という論題は、私も脳裏を過ることがあります。特に最近はSDGsが流行しており、そういうテーマを扱うドラマも増えています(現在NHKで放送している「プリズム」が典型)。性的少数者が一定の確率で先天的に現れることは生物としての人間にあっては仕方のないことだと判ってきたのですから、それを真正保守が「時所位」の中に組み込むしかありません。真正保守は真正リベラルを包含するものですから可能であると考えます。
     前近代であれば性的少数者は、庶民の場合は狐憑きだとか霊障だとか言って土蔵にでも閉じ込めたでしょうし、自由に生きられた人なら男娼にも成れたでしょう(※この行き方は女性の場合にはハードルが高い?)し、やんごとなき身分の場合は多くは仏門に入ったのでしょう。おそらく藩主の家系や皇室の家系にも現れた可能性はあります。
     問題は国民主権病を発症した現代人です。LGBTをカミングアウトする皇族が現れた場合に「自分は皇族よりも偉い」と勘違いした大衆は、右側から「LGBTの皇族には生産性が無いから不要」「いっそクローンでもよくね?」などと言い、左側から「皇族にも性的志向を選ぶ権利を認めろ(やったー!これで天皇制が滅ぶぞーwww)」と言うはずです。ここで井上達夫氏のような真正リベラルなら「反転可能性を働かせるなら天皇制はココまでにすべき」と言うでしょう。しかし、その真正リベラルを包含する真正保守が言うべきことは、今の私には考えが及びません。
     大いなる問題提起をしていただいた松平様に感謝します。

    ダダ

    2022年8月25日

    生命を肯定。いい言葉ですね!
    全面的に共感できます!
    国民のエゴで皇室・皇族を型に嵌めるのは間違いですよね。
    異性を好きになるとは限りませんし、独身がいい、皇族をやめたい等、様々な人生・人格があります。その尊厳は守られるべきです。

    皇室を守っていきましょう!投稿ありがとうございました!

    殉教@中立派

    2022年8月24日

    天皇論「日米激突」(小学館新書)・P67の問題を掘り下げたコラム。
     あのページは、初めて読んだとき「うおお、突っ込みすぎだろこの内容!」と驚いたものだ。
     現実に起きる可能性ぐらい、想定しないと駄目だが・・自称保守は、願望を優先させ過ぎていて、それが出来ない(し、皇族方を労わる心も無い)。
     現状の日本を見渡す限り・・・未来は絶望的だし、破滅の運命は避けられないのかもしれない。だからって、何もしないで終わるわけにはいかない。どうあろうと、確かに希望と共に戦った者たちがいた事実を、後世へのメッセージとして残すのが大事だ。小林先生の漫画は、この時代の貴重な証言として残る。
     最終的には、この国の「立憲主義・法治主義の再生」まで持っていきたい。くらたまの「お花畑だ!」というニヒリズムも、気持ちだけなら分かるが・・・それでも「世間主義の害悪」をリアルで(我が)身に刻まれたから。やれるだけやるしかない!

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