【新聞意見投稿】“健全な国民主義を持つ新聞”という認識を改めなければならないか~京都のSさん

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産経新聞における連載記事(11/20付け)に対する、もはや新聞投稿常連者ともいえる京都のSさんの、「皇室」のための硬質な報告です。

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産経新聞社様

11月20日付の貴紙に掲載された特集連載記事「主権回復 日本復活への未来(5)『大東亜戦争』今なお忌避 消される開戦の意義 自縛を解く時」を拝読しました。戦後GHQが「神道指令」で大東亜戦争という呼称を禁じ、「欧米の植民地支配からのアジア解放」という側面を日本国民に忘れさせる狙いがあったという記事前半部分について認めることに私は吝かではありません。しかし、その後はいただけません。いきなり「旧宮家が皇室を離れたのはGHQ占領下の昭和22年」で「背景にはGHQの圧力があった」として皇位継承問題に接続され、百地章氏と八木秀次氏による説を引用しつつ、皇位継承問題に関する有識者会議の最終報告書が示した皇族数確保策は停滞が許されないという結論に結び付けられました。これは余りにも強引かつ無理筋ではありませんか。
 なぜなら、最終報告書にある皇族数確保策とやらが皇位継承の安定化には全く寄与しないからです。まず11の旧宮家が皇籍を離れたのは確かに占領下の昭和22年ですが、その51名の方々は大正9年の「皇族ノ降下ニ関スル施行準則」によって国民になられることが決定していました。そして男系派の筆頭である竹田恒泰氏の父君(恒和氏)や他の宮家系国民男子も生誕時から皇族ではなかったため旧皇族という呼称は相応しくなく、万一その方々を現存する宮家に養子入りさせた場合、婚姻を介さずに国民が皇族になる初めてのケースとなります。また伏見宮系の国民に限って皇族になれる制度設計を実現した場合、彼らは貴族扱いとなり、そのことは日本国憲法の「法の下の平等」に反し、「門地による差別」に該当します。さらに、その子が皇位を継ぎでもしたら、皇族と国民の垣根(君臣の別)が消滅します。つまり2000年の歴史が終了することを意味します。
 ところで昭和22年には、もう一つ重要な出来事がありました。財政法4条(公債発行の禁止・政府支出は税収の範囲内)の成立です。同法は皇室財産の目減りにも寄与し、それが11宮家の皇籍離脱の動きに拍車を掛けたという考え方も出来ます。であれば、こちらも同様に問題視しなければ筋が通りません。しかし、財務省が消費税の軽減税率対象に新聞を該当させてくれたことに恩義を感じているためか、財務省の嫌がる財政法4条の問題や積極財政(ケインズ主義)には、マスコミ各社は絶対に触れたがりません。そもそもGHQ占領下で決定された政策に異を唱えることは親米新聞としては難しいのでしょう。それなら「大東亜戦争の呼称」問題も「旧宮家の復活」問題も、ついでに「積極財政」問題も、もう紙面で触れないでいただきたく思います。

これまで私は、貴紙を健全なナショナリズム(国民主義)を持つ新聞だと認識してきましたが、極めてナショナル(国民的)な存在である皇室を消滅に追い込むことを是とするのであれば、その認識も改めねばならないようです。残念でなりません。

京都市在住の一読者 京都のS

4 件のコメント

    基礎医学研究者

    2022年11月23日

    >京都のSさん
    貴重な情報、ありがとうございます。確かに自分も今回、このようなメッセージをもらいました。産経新聞の担当者には、このような”しっかりとした意見・コメント(ちょっと厳しいですが(;^_^A)”を送る読者もいるのだということをわかってほしい、と改めて思った次第です。

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2022年11月23日

     そう言えば、初めて産経から「担当者と共有します」メールが来ました。日経からしかもらったことが無かったので。

    京都のS(サタンのSじゃねーし)

    2022年11月23日

     ナビゲーター&編集の基礎医様、受付担当の團十郎(ふぇい)様、毎度ながら高湿度な投稿文で申し訳ないです。
     朝日から産経まで揃いも揃って親米新聞なので、GHQの置き土産を改める気概は全くありません。従って経済については、彼らは緊縮&グローバル化を賞賛し続けるはずです。そうして国民が貧困化すればするほど怒りが皇室の方へ向くような構造が続いていきます。大東亜戦争の評価についても然りです。
     つまり男系派にとっては、11宮家の復帰(旧宮家系国民男子の皇籍取得)なんて端から本気ではないのです。時が経つのを待ち、皇室の消滅が決定した瞬間に自分が責任者でなければ万事OK、後は野となれ山となれってわけです。トーイツカルト方面からのカネが流れてきて自分の属す世間が潤えば良いという考えなのでしょう。

    基礎医学研究者

    2022年11月23日

    (編集者からの割り込みコメント)興味深く読ませていただきました。京都のSさん言われていますように、正直、百地章氏と八木秀次氏の意見を引用するのは、勘弁してほしいところ(産経新聞の論調を補強することに、全然なっていないため)、また、皇室経済のことに触れたのは、面白い視点でございました。経済の問題は世俗的なかもしれませんが、「皇室」がある程度独自に立てるかどうかは、「皇室」が安定になるための重要な要素と、思った次第です。

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