【新聞意見投稿】(それでも)これまでの実績を総括して、新しく生まれ変わった産経新聞に期待する~magomeさん

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産経新聞における連載記事に対するmagomeさんからの、連載記事執筆記者陣に負けない長文の報告です。

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今回の記事を読ませていただきました。記事には歴史に関心を持たせる為に物語を含ませて旨く構成されているので、戦後から今に至るまでの歴史に興味を持たない人でも興味を示すきっかけになるのではと思いました。楽しく読ませていただく優れた記事であるためにその分、疑問点も多く出てきてしまうのは承知してほしいのですが、その中でも特に疑問に思った点が主に二つあります。

一つはなぜ75年間の間、疑問に思う人々が一定数に達して政府をはじめとする国を動かすに至らなかったのか?本記事に記載されている占領政策が本記事によって公に初めて広く世に知られるようになったのならともかく、古くは昭和40年代から江藤淳を始め多くの著名人が同じ問題を指摘し、世に多く知られていたはずですがいつの間にか一部の研究者などの知識人だけにしか知られてない存在となり世間から忘れ去られていきました。林房雄著の「大東亜戦争肯定論」がその典型例じゃないでしょうか?
 今回の記事あるいは「正論」でも、「戦後75年間も占領政策の残滓を払拭ができずに主権の回復を目指す動きすら全く見られないのはなぜなのか」、振り返って総括する折り返しの時点に来ているのではないのかと思います。ウクライナ戦争におけるロシアの暴虐や中国のウイグル等によって行われてる民族浄化ともいえる弾圧行為を取り上げて、ジェノサイドを防止する国際条約への加盟を記事に取り上げてくれるのは立派なのですが、一方でウクライナ戦争と同じく米国の道義にも国益にも全くならず無残に撤退して無秩序状態だけを作り上げたイラク戦争を、無条件で絶賛して支援した同じ新聞社としては、イラク戦争を含む米国の政策に何の見当もせずに無条件で支援した自分たちへの総括が成されていない以上、説得力がいま一つ及ばないのではないのかと考えます。占領政策の残滓から抜け出せない原因はグローバリズムやイラク戦争など、アメリカの政策に無条件で絶賛し、支援してきた産経新聞も大きく関わっているのではないのかと思えてなりません。
 日本は明治以降一度も自国の意思で憲法を改正したことも無ければ本来の民衆が国家権力を抑制するために作成して採択させる憲法を一度も採択せずに現在に至っています。明治初期のころは上皇后陛下も言及しておられた五日市憲法も含めて数々の憲法草案があったにも関わらず政府に憲法を含む本来民衆が行うべき国家的な義務を全て任せて放任して来た結果がいま顕著に表れてきているからではないかと考えられませんか?

さらに「注目される旧宮家」についてですが、「旧宮家の男系男子に皇籍の復帰」と書かれていますが、「皇籍の復帰」だと75年も前の昭和22年に皇籍を離脱した旧宮家の男系男子が対象とされるので75歳以上の老人を皇族にすることになってしまいます。75歳以上の老人を皇族にして何の意味があるのか全くわかりません。また、あたかも昭和22年にGHQの指令で旧宮家が皇籍を離脱したかのように書いていますが、実際は東久邇宮稔彦親王が提案して昭和天皇が離脱を申し渡したことによって皇籍離脱は実現したのであって、GHQは皇籍離脱に全く関与していません。これは神﨑豊 著、現代史料出版、「一九四七年一〇月における一一宮家の皇籍離脱」に詳しく記載されてます。一度お調べになってから百地章氏および八木秀次氏の主張と較べて、どちらに信憑性が高く説得力があるのか検討する事をお勧めします。
 旧宮家が昭和22年に皇籍を離脱した後も皇室に男系男子が数多くいたと記載していますが、もし男系男子の継承が絶対必要ならば生物学者で出産における男女の誕生率も熟知しておれられた昭和天皇が戦前に側室を廃止する事はしないでしょうし、戦後間もないころ、あれだけ国民からの熱烈な歓待があった昭和天皇のご巡幸の最中から直後にかけても皇籍離脱した旧皇族の皇籍復帰の声が挙がらず今に至ります。敗戦後から現在に至るまでほぼ全ての国民から熱烈に支持されている天皇を中心とする皇室なのに、敗戦直後に皇籍離脱した旧皇族の復帰の声が15年ほど前まで一度も上らなかったのはなぜなのか?辻褄が全く合いません。皇位継承資格者は3方のみと書いていますが、実際には現行では次世代に向けて皇位の継承ができるのは秋篠宮悠仁親王ただ一人であり、もし、悠仁様が結婚相手との間に男子が生まれなければそこで皇統が断絶してしまいます。また、悠仁様が成人して即位する頃には皇族は高齢化か結婚適齢期により皇室を離脱することになり、悠仁様一人で皇室の公務を担うことになります。この時点で皇室は間違いなく機能不全になり、悠仁様が成人して即位する頃には皇室は実質消滅状態になってしまうのです。
 旧皇族による皇籍復帰の意思を示す例として90歳の伏見博昭氏の著書を引用していますが、伏見氏は同じ著書で「人は急に宮さまになれと言われて、なれるものではない」と述べてますし、同じ旧皇族の久邇邦昭氏も「少年皇族の見た戦争 宮家に生まれてー 一市民として生きた我が生涯ー」で「近頃、旧皇族をまた皇籍に戻すべきだという意見もあるようだが、私はこれについては、『何を今さら』というのが正直なところ本心だ」と明確に皇籍復帰に拒否の姿勢を示していることから、旧皇族が復帰を必ず望んでいるという根拠はどこにもありません。安倍晋三自身も平成31年3月20日の参議院予算委員会で「皇籍を離脱された方々はもう既に、これは七十年前の出来事で、七十年以上前の出来事でございますから、今は言わば民間人としての生活を営んでおられるというふうに承知をしているわけでございます。それを私自身がまたそのGHQの決定を覆すということは全く考えてはいないわけでございます。」と明確に、対象となる旧宮家子孫で皇籍の取得を希望する人がいない事を述べています。
 「女性天皇の誕生の理由をジェンダー平等の浸透」としていますがジェンダー平等ではなく、愛子様が今上陛下の御子だから女性天皇の誕生を国民が望んでいるにすぎません。これは明治、大正、昭和、平成における皇太子誕生と変わりません。女性宮家創設も同じです。さらに、「次代の変動に変わらず男系継承が続けられてきた」と記載していますが、日本の皇統で男系継承に拘るようになったのは明治以降の事で明治以前には女性宮家はもちろん、8人10代の女帝がおられましたし、男系継承ができたのもの側室があったからであり、実際に歴代天皇の半数近くが側室の子であり過去400年間で天皇に即位した皇后の子は、明正天皇、昭和天皇、上皇陛下、および今上陛下の4人だけであることからも明らかです。
 旧皇族及び旧皇族の男子子孫に拘っているみたいですが、伏見博昭氏を始め旧宮家の方々は、戦前はもちろん、戦後の皇籍離脱後も数々の皇族としてはふさわしくない不祥事を繰り返しています。まず、伏見博昭氏が薬事法違反疑惑のある企業の広告塔になっていたことが問題視されてます。このほかにも東久邇家、賀陽家、竹田家、久爾家も戦前戦後における不祥事が度々問題視されて、皇室はおろか一般人でも問題視されてもおかしくないほどの不祥事を行っています。美智子上皇后、雅子皇后、眞子様と度々周囲から根拠も無い罵詈雑言が浴びせられてきた現在の皇室において、旧宮家の戦前戦後における不祥事に報道関係者をはじめとする民衆が目をつむって置くとはとても考えられません。参考にされた八木秀次氏も、「反天皇、反日」を政策の一環として活動する統一協会との癒着が取り上げられているので、公平さへの配慮が足りてないのも記事の質を落とす大きな一因になっています。日本の未来を憂い、占領政策の残滓を払拭するお気持ちは分かりますし、その主張自体には大いに賛同をするのですが、安倍晋三をはじめとする自民党と統一協会が癒着され、保守論壇誌でも雑誌そのものが統一協会との癒着が指摘されて問題となっています。

いままで産経新聞は戦後日本の未来を憂いつつ、完全な独立を主張する傍ら安倍晋三の政策やイラク戦争支援をはじめとする米国の政策を無条件で支持してきましたが、これまでの30年間を総括して反省し、悪しき因習を清算する時期に来ているのではないのでしょうか?過去の失敗も成功も歴史としてまとめるために総括して新たに占領政策の残滓を払拭させる為の再出発を行う時期なのではと今回の記事を読んで思いました。
 もし、今総括を怠れば、産経新聞の正論もこれまでと同じように一部の知識人にしか届かず、一般に広まることなく陥没して終わってしまうでしょう。これまでの実績を総括して新しく生まれ変わった産経新聞に期待してます。

千葉県在住 magome

1 件のコメント

    基礎医学研究者

    2022年11月23日

    (編集者からの割り込みコメント)これだけの長文意見・コメントを新聞社に投稿するのは、大変な労力だったと思います。正直、magomeさんの文章読むだけで、産経新聞の今回の記事の問題点、および批判に終始せず、それに対応する詳しい知識への良いリマインドになるのではないかと、自分は思いました(自分も知らない知見があったので、勉強になりました)。しかし、タイトルにつけさせてもらいましたように、それでも建設的なコメントを投稿す読者がいるのだということは、是非産経新聞には響いてほしいです(コアな読者との姿勢を、較べてみてほしい)。

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