産経新聞における連載記事に対する、殉教@中立派さんからの理と情を兼ね備えた報告です。
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現在の日本が、外交主権を回復できず、国際社会での議論でも、遅れを取っている現実。その原因は、「大東亜戦争」の言葉を封じられ、自虐史観が蔓延した事が、やはり大きいと思いました。現在、ロシアや中国の蛮行に抗う為にも、国際法についての議論が、欠かせなくなっていますが。その前に軍事力を背景とした上で、(改正された)日本国憲法と、外交相手国の憲法との間で「互恵性」を成立させる。それは日本が、しっかりと国際貢献する上で、最低限の事でしょう。それを妨げている反戦左翼の罪は、確かに重いといえます。
左翼を批判すべきなのは当然ですが、この記事にはたったひとつ、重大な欠陥があります。それは「左翼は、ジェンダー平等から『女系天皇論』を唱えている。それを批判し、男系男子継承を維持しなければ、戦後の空白は埋まらない!」と、御社紙が考えている部分です。
以前送った感想文にも書きましたが、私は「自虐史観に反対。皇室論では上皇陛下のお気持ちに応え、女系天皇の成立を望む」立場です。「安定的な男系継承」と記事にありますが、まず前提として「男系維持のままでは、皇室そのものの安定が消えてしまう」という、現実があります。悠人さまのお妃に課せられる「男子を産め」の重圧、具体的な旧宮家男子が、未だにいない現実(伏見さんは、既に90歳であり、本人が復帰する意味が薄い)、憲法14条「門地による差別」への違反リスクなど・・・男系継承はリスクが多過ぎ、国民の理解を得にくいでしょう。「ウクライナの現実」を鋭く報道した御社が、「男系リスクの現実」には、背を向けている事が残念です。
記事からは「女性天皇と女系天皇の区別がつかない大衆世論に、迎合する事はない!」という、ある種の権威主義・傲慢さがにじんでいます。女系・男系の区分はあくまで明治時代からのもので、歴史上で8方10代存在した女性天皇を考えると「時代の変化の中でも、男系継承が保たれた」という結論には、ならないと思います。
「問題意識が広がらないまま時間が過ぎ、もはや停滞は許されない」という、危機感の部分は、全くその通りだと思います。だからこそ、「女系論まで含めた、国民全体で議論する姿勢」と、「それによって政治家が腰を上げ、皇室典範を見直す事」が求められるのです。
今回の御社記事は、「男系男子バンザイ」の部分以外は、とても素晴らしい記事でした。そうした記事を書く能力を活かし、皇室議論についての、世論を喚起して下さる事を望みます。そうして可視化された庶民の声が、皇室という船を浮かべる大海を創り出します。そこから生まれた素朴な「愛国心」が、少しずつ「主権回復」をする為の、鍵になると思います。
福島県在住 殉教@中立派
2 件のコメント
殉教@中立派
2022年11月24日
採用ありがとうございました。
産経新聞の場合「危機意識自体は正しいが、それを解決するための手段を間違えている」「左翼を批判するのは良いが、その為の方向性を間違え『藁人形叩き』になっている」という問題があるので、そこをまずは伝えたかったのです。長らく「男系バンザイ」を書いてきた新聞ですが、そうした産経新聞の問題意識を、もっと別の方向に向けてくれれば、ちゃんと「戦力」として機能するのに・・・というのが、率直な感想です。
基礎医学さんの言うように「是々非々」の姿勢は、「思想する者」の姿であり、「思考停止した人達に、まとめ買いしてもらい、会社を存続させよう」とは、一線を画するものですが・・・タイパ・キリヌキ動画の時代は、思想から遠ざかってしまうもの。だからこそ、紙製新聞の意義は(相対的に)大きくなります。たけし社長が示したように「新聞の威力」を、新聞製作の現場で戦う方々が、ちゃんと認識して欲しいと思います。
基礎医学研究者
2022年11月24日
(編集者からの割り込みコメント)興味深く読ませていただきました。殉教さんの意見・コメントは、たぶん、私の意見コメントと近いところがありまして、読みやすかった!というのが、率直な意見です。殉教さんの場合には、”両論併記”という言われ方が特徴的だと自分は思いますが、私たち意見・コメントを送る側も、記事の中で良いところは評価し、ダメなところは批判する。それが、建設的な態度であり、読者にそのような見方をしている人たちもいるのだということを(産経新聞のコアな読者は怪しいものですが( ̄▽ ̄;)、是非新聞社の担当者には知ってもらいたいと、思う次第です。