※歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(上)はこちらから
ところで、(上)で記したようなリバタリアニズム(≒ネオリベラリズム)こそグローバリズムと対極の思想だと言い張るのが副島隆彦氏です。ゆえに、前掲のSナッシュ(西部邁)氏による『日本人と武士道』「第十一章・歴史への忘恩」の後半は副島説を意識した一節だと考えられます。またリバタリアンの副島氏は、大きな政府による社会工学的な経済政策が必要だと唱える(米国的or日本的≠西欧的)似非リベラルやケインジアン(財政政策と金融政策で国民経済を守るケインズ主義の支持者)を徹底的に嫌います。つまり副島氏はサプライサイドの自由競争を称揚するハイエキアン(Fハイエクの説を支持する反ケインジアン)を超越し、政府の役割を極小化すべしと訴えるフリードマニアン(Mフリードマンの説を支持する経済自由主義者)の域に達しており、そればかりかケインジアンの方こそグローバリスト(世界主義者、国民主義者の対極)だという倒錯的論陣まで張りました。
そんな倒錯系論者が逆張り的に『愛子天皇待望論』を書いたとて信用できましょうか?同著において副島氏は、昭和天皇は大正天皇の子ではなく山縣有朋と女官との子だなどと何の根拠も示さずに書いたようです。こんなトンデモ氏と真っ当な尊皇家が大同団結できましょうか?
さて、日本において最も歴史的で最もナショナル(国民的)な存在は言うまでもなく皇室ですが、古代における偉大な女帝たちの歴史的業績を完全に忘却し、明治期に初めて成文化(設計)された皇室典範の男系主義を絶対視する側に付くのが保守的で愛国的だと強弁する言論状況では、皇室問題においても保守と愛国の意味が崩壊しています。
こうして意味や価値を破壊しつつ歴史と伝統から自由になった日本人民ですから、皇統問題における理非曲直を正す(男系主義の排除)には米国的でコスモポリタン(世界市民)的な個人的良心に訴えるしか途が無いのかもしれません。奇しくも先述した親米的改革主義者の小泉純一郎氏と小沢一郎氏は皇統問題では女系容認です。彼らが共同体破壊の戦犯的グローバリストだと知りつつも利用する程の強かさが必要なのでしょう。
それを契機に例え日本社会が今より強くネオリベ側に振れたとしても、その被害が愛子天皇誕生という慶事でも癒されない程度に強かったとしても、それは米国的価値感に合わない歴史を粉砕(皇室が残ったのは偶さかの僥倖)し続けてきた我々の「自己責任」なのかもしれません。
文責:京都のS
4 件のコメント
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2023年3月10日
副島隆彦氏が中国のエージェントかもしれない状況証拠を幾つか挙げます。確かに氏は小泉純一郎氏や竹中平蔵氏など米国のジャパンハンドラー(日本操縦者)としてのグローバリストを盛んに攻撃し、それゆえ反グローバリストの急先鋒と目されてきました。しかし本文中にも書いたように氏の中心思想はリバタリアニズム(絶対自由主義)であり、それは即ちアメリカニズムです。そして氏が最も情熱を傾けて攻撃したのはケインジアニズム(ケインズ主義)です。この件は下のコメントでも書いたので置きます。
副島氏は自著で米国と手を切って欧州と手を結べなどと主張してきましたが、その頃の欧州は、EUを実質的に支配したドイツが加盟各国に緊縮財政を強いており、そのためにギリシャ・スペイン・イタリアが財政破綻の危機に追い込まれ、そこに付け込んで欧州を買い漁ったのが中国でした(強大な軍事力を背景に対外的には国を閉ざし、国内的にはケインズ主義で国民を富裕にし、バブル期の日本のように海外の資産を買いまくれるようにした)。つまり、超緊縮派の氏が日本に永久緊縮を強いつつ欧州や中国と仲良くさせたがった理由は、日本の国土や資源や技術などを悉く中国にプレゼントするためだと思えば納得できます。
ところで副島氏が最も評価した日本の政治家は故橋本龍太郎です。彼は1997年に消費増税したことが典型ですが、行財政改革で緊縮の度合いを強めて日本をデフレ不況に突入させました。よく知られた話ですが、橋本は中国人エージェント(♀)を愛人にしていました。橋本的な緊縮&親中は両方とも副島氏の大好物であり、副島氏が示した反米の姿勢は、小泉政権当時の親米的空気に対する「逆張り」の意味もありますが、親中の本性を覆い隠すため(反米のために親中をやってる的な)だったと思われます。ちなみに、親中であってもケインジアンだった田中角栄について氏が言及したことは私が知る限りでは一度もありません。緊縮によって日本国が貧困化してくれないと中国に日本をプレゼントしにくいからでしょう。
それだけに、ケインジアンの復権を図らねばならない重要な時期に藤井聡が男系固執に堕ちたことが、ナショナリストとしての私には痛すぎるのです(血涙)。
京都のS
2023年2月1日
以下のことを詳しく書いたのがコチラ→( https://aiko-sama.com/archives/15704#comments )
京都のS
2023年2月1日
副島氏が「ケインジアンこそグローバリスト」と考える理由も考察してみます。国債発行による公共投資には軍備拡張も含むため、ケインズ主義を封じれば外交・軍事方面のグローバリズムを封じることが出来ます。高橋是清やFルーズベルトの財政政策を視野に入れているでしょう。これは「財政法4条(国債発行制限)は憲法9条(戦争放棄)を補完する」という財務省の見解とも一致します。戦えない上に自ら貧困化してくれるのですから、親中反米で超緊縮派の副島氏は某近隣国にとっては非常に有難い存在です。その結果が中国人による日本国の資産の爆買いです。
副島氏が米国滞在中に考えたであろうことも考慮に入れます。米国が最もケインズ主義を発動したのは、ニューディール時のルーズベルトを除けば、対ソ軍拡と高福祉を実施したレーガン政権です。その外需によって日本はバブル経済に湧きましたが、米国は輸入超過による双子の赤字(貿易赤字&財政赤字)に苦しみました。
ちなみに、財政赤字は実は問題ではありません。政府の借金=国民の資産だからです。政府が借金を完済すると国民の使えるカネも無くなります。政府の赤字が増えれば国民は潤います。問題は、貿易赤字が嵩んだり国内資産が外資に買い尽くされたりして政府の借金が外国からの借金(外債)に変わった時です。その場合は財政破綻もあり得ます。バブル期のレーガン政権は対日赤字が募り、盛んに米国債を買ったのが日本でした。この対日債務を何とかするために属国(日本など)に改革要求を突きつけるという外交的グローバリズム(レーガノミクス)が活発化しました。米国側から見れば、ケインズ主義をやればレーガノミクス(グローバリズム)に帰結するという結論を導けなくはありません。おそらく、これが「ケインジアンこそグローバリスト」理論です。この理論を副島氏は属国日本にも適用したのだと思われます。日本を買い叩くことができる中国は喜んだでしょうねぇ…。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2023年1月31日
紙幅の関係で省いたことがあります。副島氏はコンラッド・ローレンツや日高敏隆氏いった動物行動学者が大嫌いです。その理由は、自然状態に対して人間が手を加えて変化を与えることを嫌うリバタリアン的発想(経済では政府が手を加えず、主体的なプレーヤーの自由に任せるのが理想)からだと思われます。つまり、氏が『愛子天皇待望論』を書いた動機にも、日高の弟子を詐称するTケ内K美子の男系固執論に対する「逆張り」があると思われるのです。