【イントロダクション】
~今回は全6回シリーズでお送りいたします~
2月27日の、倉山満と国民民主党代表代行・大塚耕平氏の対談文字起こしを、拝読いたしました。 ただしさん、いつもありがとうございます(ありがとうございます<(_ _)>。本人の励みにもなると思います(^^)/。編集者より)!
動画の序盤において大塚氏は、倉山の質問に答える形で、「今まで一度の例外もなく」男系継承が続けられてきた事を証明するために、第22代清寧天皇の事例を挙げています。
曰く、跡継ぎがいらっしゃらなかった清寧天皇の後継として、第16代仁徳天皇まで遡ったら男系で繋がるという第23代顕宗天皇、第15代応神天皇まで遡ったら男系で繋がるという継体天皇の事例まで引き合いに出して、まるで古墳時代から「男系絶対」の原則があったかのように語っています。
この大塚氏による系譜の説明に対しては、「ホントにこの解釈で合ってんのか?」と疑問を持たれた方は多いと思います。 かくいう私も、古墳時代に関しては今までちゃんと調べた事がなかったです。
まるで奥歯にモノが引っかかったような疑問を放置するのもイヤなので、応神天皇・仁徳天皇が活躍された、4世紀末~5世紀におけるヤマト王権の王位継承の実態がどんなものだったのか、私なりに調べてみました。
また3回ぐらいで収まるかなと思いきや、あれよあれよという間に、このテーマだけで網羅すべき話題が膨大な量になってしまったので、このイントロダクションを除き、以下の6つの小題に区切って投稿させていただきます。
【全国の約5割が、女性首長(上)】
【冊封による父系原理の浸透と、群臣推挙システム(中の前編)】
【王墓の移動にみる、盟主権の移り変わり(中の中編)】
【高天原の「現御神」、爆誕!!(中の中編のオマケ)】
【飯豊青尊(イヒトヨノアオノミコト)(中の後編)】
【結 言(下)】
一応、天皇の血縁関係に関する話題も含まれているので、先日行われた奈良ゴー宣道場において、よしりん先生が指摘された、天皇の地位の根拠を「血統」のみに求める事の危険性というテーマにも、もしかしたら繋がるかも知れません。
- 【全国の約5割が、女性首長】~シナ冊封以前の、オリジナル「双系的血統観」~
古代の日本が冊封体制に組み込まれたのは、5世紀はじめ頃だと言われています。高句麗との戦いに敗れた後、シナ南朝・宋から官爵を受ける事によって、朝鮮半島での立場を優位に進めようとしたのがその狙いのようです。
それ以前の日本には、明確な記録がありませんが、大体卑弥呼の2代後の台与(トヨ)の時代ごろまでは、埋葬人骨の発掘調査などから、全国の豪族の約3~5割近くを、女性首長が占めていた事がわかっています。
まさに、「男女双系」的なオリジナル日本社会の価値観が、純粋に現れた状態だったといえますね。
その後、倭の五王の時代を迎え、シナ(宋)の冊封体制に組み込まれるようになると、宋の皇帝から官爵を与えられるのが男性のみだったという背景もあり、倭の社会においても男性首長が政治的優位を占めるようになります。
それに伴い、日本列島における女性首長の割合も、10%程度にまで減少していく事になります。
(中の前編)につづく
文責 北海道 突撃一番
※尚、参考文献につきましては、(下)の最後にまとめて列挙させていただきます。
7 件のコメント
京都のS
2023年3月23日
突撃様、「『万世一系』神話に抵触」は望むところです。「万葉一統」さえ保たれれば皇室のエートスは護られます。
ただし
2023年3月23日
突撃一番さま、お言葉を頂き、大変嬉しいです。
連載、楽しみにしています。
冊封体制に入った理由は、国の力が弱かったからなのですね。
これから、学ばせて頂きたく存じます。
殉教@中立派
2023年3月22日
古代史、中世史はよく分からないので・・この連載は助かります。
推古天皇より前の帝は、生前「王」と呼ばれ、「天皇」とは呼ばれなかった。倉山たちは推古天皇・持統天皇をガン無視し、ご都合主義の「先例」を引っ張り出す始末です。
女性首長の数が減っていったのは、外交上・政治上のやむを得ない理由なのですね。その当時の人たちなりに「(大国に朝貢してでも)クニが生き残る方法」を考え、実践した。
(ダンケー連中は)時代背景を無視して先例を語る・・・この時点で傲慢かつ破綻していると思います。現代でも「日本が生き残るため、アメリカ様に従おう」と言い、アップデート出来ない化石脳もいるので・・・・
突撃一番
2023年3月22日
京都のSさん、コメントありがとうございます!
普通に123456みたいに番号振っても面白くないんで、まさに新おぼっちゃまくんをパクらせていただきました。
「万世一系」神話に抵触するような話もぼろぼろ出てきますので、宜しくです。
京都のS
2023年3月22日
突撃様、楽しそうな連載を始めてくださいました。中編が分割されていく様は、「新おぼっちゃまくん」の「裏切りのブルース」みたいですね(笑)。双系継承については、よく飛鳥・奈良は注目されますが、それ以前は心許なかったので有り難いです。
突撃一番
2023年3月22日
基礎医学研究者さん、掲載&コメントありがとうございます。
調子こいて今度は6回シリーズになってしまい、お手数で申し訳ないです。 編集作業も膨大な量になるかと思われますので、マジでお手隙の際にでも、ゆっくりのんびりで結構ですんで、宜しくです。
一点だけ付け加えると、今回のブログに関しては、特筆しているもの以外の情報はほぼ、
・義江明子『女帝の古代王権史』ちくま新書2021年3月10日
からの引用です。
金科玉条にする気もないけど、「基本テキスト」として読み込む価値は十分ある名著だと思います。
基礎医学研究者
2023年3月21日
(編集者からの割り込みコメント)初回から、面白く読ませていただきました。まずただしさんの文字起こしが、この連載の導入になった!というのが、公論戦士の”論破の継承”のようでよいですね~(`・ω・´)ゞ。で、せっかくなので、ここで勉強してみようという姿勢も(「ダンケー」には、こういう建設的な態度がないのが致命的、と私見では思います)。そして、思えばよしりん先生の「ゴーマニズム宣言」も基本的には、今回突撃一番さんが示しているような態度で、これまで論敵と戦ってきたわけですよね?現在は、よしりん先生に行く前に、公論戦士の段階で「論破」が進行している!というのが、まさに「合体ロボ主義」で素晴らしい!と思った次第です。次回を、楽しみにしております。