〈第1章〉と〈第3章〉の間~1946年憲法の拘束とは何か(裏)

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 (表)において日本国政府が日本国憲法を護るか解釈を変えるかは米国政府の胸一つである可能性が示唆されました。これにより日米間の新条約に適応する新立法と憲法との明らかな矛盾が指摘されても、特措法や特例法で押し通す悪習が定着し、それは第2章(戦争放棄)だけでなく第3章(国民の権利と義務)にも及び、例えばTPPや
FTAに向けた改革が国民の生存権を侵しても放置され、また国際条約とは無関係な新型コロナ対策(緊急事態宣言、自粛・ワクチン…)が国民の生存権を侵しても放置されました。であれば、第1章(天皇)と矛盾する特措法(婚姻で皇室を離れた皇族女子の皇族扱いを継続する立法)や第1章(天皇)と第3章(国民)を越境させる特例法(旧宮家系子孫と現存宮家との養子縁組を可能とする立法)も政府与党は通す可能性があり、いよいよ拘束は皇室にも及ぶわけです。

 ここで話が飛びます。1969年5月13日、約1000名の学生が立て籠る東大駒場キャンパス900番教室に人気作家で天皇主義者の三島由紀夫が乗り込んで対論しました。左右の両極端と思われる両者に共通していた点は新左翼の学生も三島も反米愛国だったことです。そこで三島は学生らに「天皇(を認める)と一言言えば手を組める」と語り掛けましたが、反天皇イデオロギーに固執した学生らは折れませんでした。この件は男系イデオロギーに固執する自称保守らと重なって見えます。

 三島の構想は、新左翼の暴動を警察が抑え込めなくなった暁には自衛隊が防衛出動せざるを得ず、それは9条の死文化を意味するため左右の共犯関係を揺るがして憲法改正(対米独立)への機運も高まるというものでした。しかし1970年11月25日、自衛隊市谷駐屯地にて三島は「現行憲法の下では自衛隊は米軍の傭兵に過ぎない」として憲法改正を訴え、決起を促した後に割腹自決しました。

 多くの戦勝国は9条2項の2(交戦権否認)さえ守られれば満足しますが、一国だけ第1章を目の敵にしています。教祖が天皇制を滅ぼすと決意したカルト教団の本拠地(韓国)です。同教団は日本の与党議員候補への選挙支援を通じて教団系秘書が政策や改憲案に男系(反天皇)イデオロギーを捻じ込むというステルス侵略を敢行中ですが、自主検閲の因習が残るマスコミも自虐世間も「準戦勝国」を批判できません。

 現況において拘束を打破する号砲は、過去に失敗したファナティックな決起でなく、「愛子様を皇太子に!」を合言葉に空気を変えていく「楽しげな祭」が相応しいと考えます。(了)   

文責:京都のS

参考文献
『一九四六年憲法―その拘束』(江藤淳著)
『属国の9条~ゴー宣〈憲法〉道場Ⅱ黒帯』(小林よしのり編著)
『ウクライナ戦争論2』(小林よしのり著)
「三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~」(豊島圭介監督)

9 件のコメント

    京都のS

    2023年4月10日

     もう一つ、ナクラ様、次の「三島由紀夫の女系公認論」(裏)では、『豊饒の海』の絡みからインド仏教について触れています。ナクラさんのハンドルネームはインド神話・マハーバーラタの登場人物Nakulaから来ていると思いますが、インド仏教にも詳しければ文中で触れた「唯識論」についても意見を伺ってみたいです。

    京都のS

    2023年4月9日

     番宣します(笑)。「三島由紀夫の女系公認論」(表・裏・奥)が、4月13日、14日、15日と連続掲載が決まりました。4月13日は「決闘の日」、4月14日は「パートナーデー」、4月15日は「遺言の日」らしいので、凄く象徴的な日だと感じました。
     右翼のテロは一人一殺の決闘、三島と森田必勝は共に自刃したパートナー、三島の決起も「憲法改正草案」も現代の我々への遺言だと思うからです。
     そんな三島が女系公認だったことを、様々な状況証拠を揃えて提示し、論証していきます。ご期待ください。(自分でハードル爆上げww)

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2023年4月7日

     そうそう突撃様、次にブッ込む論考は「三島由紀夫の女系公認論」という割とガチなタイトルの3章立て論文です。基本テキストは『遺魂~三島由紀夫と野村秋介の軌跡』(鈴木邦男著)です。当然「東大殴り込み討論」にも触れています。
     掲載は4月半ば以降になります。お待ちください。

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2023年4月7日

     突撃様、※ありがとうございます。従米的改憲派(使えない自衛隊を追認するために憲法に明記)も従米的護憲派(交戦権否認を死守するために護憲、でも自衛隊解散の覚悟は無い)も、自分らの体裁が良く見えていれば満足します。つまり似非改憲派世間VS似非護憲派世間です。「改憲ごっこ」と「護憲ごっこ」です。「改憲を目指す振り」と「護憲を貫く振り」です。要するに日本は「『ふり』と『ごっこ』の世間主義」ってことです。
     伴野十蔵(大東亜論のオリジナルキャラ)が言ったように「この国の民は自由民権(立憲主義)など永遠に求めない!」ってわけです。嗚呼…。

    突撃一番

    2023年4月6日

    なんでも特措法で乗り切ってしまうのは、国民が権力者に対して憲法を守らせる努力をしないのが悪いと思います。

    「門地差別」でやり込められたTwitter男系カルトが最後に言い出すのが何かといえば、「違憲かどうかは最高裁(もしくは内閣法制局)が判断する事だ! お前に(この場合は、公論戦士?)に決める資格はない!」だもん。

    本来、憲法を逸脱して暴走せぬよう、権力者を監視するのも主権者(である筈の)国民の役割なのに、あろうことか、その監視すべき権力の側に判断を丸投げしてしまうあたり、さすが「男系カルト国民」だね。
    自分で合憲かどうか考え始めたら、サタンが入ってくるから思考停止してるみたい(笑)

    あと、三島由紀夫の東大殴り込み討論、前から気になってたけど結局見れなかったんで、次回を楽しみにしています!

    京都のS

    2023年4月6日

     ナクラ様、文中の「準・戦勝国(=韓国)」(※より分かりやすくするため「・」を入れておきます)という言葉は「第三国(=韓国)」の意味で使いました。
     殉教様、「対米独立が必要」と言う言論人にも色々おられますね。副島隆彦は「中国と仲良くしろ」と言いますし、他の陰謀論者たちは「トランプはユダヤ系グローバリストと戦ってる上に日本の独立も後押ししてくれそうだから、トランプと仲の良いロシアとは友好関係を結ぼう」的な考えに至ります。いずれも日本が主体的に独立するという考えには向かいません。
     次に用意している「三島論」は、ガチに「女帝論」に食い込むものです。お待ちいただければ幸いです。

    殉教@中立派

    2023年4月5日

     戦争論~新戦争論1では、小林先生が「対米従属」を批判した(そして、私もその影響を受けた※)。
     その後、公論イベント「2022年はドツボだった」で、馬淵議員と対談。そのしばらく後のオドレら正気かで「今のアメリカ政府は、(必ずしも)グローバリズム路線ではない。今は反米・反グローバリズムと言っていればいいという時代じゃない」という話をした。
     これは先生の(急な)方針転換ではなく、「マナーとしての反米+時処位による判断」ではないだろうか。現実無視で蘊蓄に走るダンケーとは、一線を画す発言だと思う。

     ・・・それはそうと、アメリカが撒いた(WGIPの)種を、無駄に大きく育ててしまった日本人&ステルス侵略者ども。三島さんの懸念は的中したが、ここからどうすべきかが大きな壁。
     それでも「愛子天皇実現」と「自主独立の憲法改正・立憲主義の健全化」を繋ぐ回路が、少し見えた気がした。

    (※)反米が行き過ぎた私は「反米ならば、反ユダヤもワンセットで貫いていこう。ディープステート許すまじ!」と考え、(男系派の)馬淵睦夫にあっさり絡めとられてしまった。皮肉だが、ウクライナ戦争が無ければ、今でも「ロシアは正義!」と思っていたであろう。ぞっとしない話だ。

    ナクラ

    2023年4月5日

    細かいことですが、「韓国」は「戦勝国」ではありません。
    「韓国」自体はそのように振る舞っていますが、「第三国」です。

    京都のS

    2023年4月5日

     ナッシュ(西部)論の時に三島由紀夫に触れたので、そのつながりで江藤淳から語り起こしてみました。次の論考で、もう少し深く三島に迫るものを準備中です。

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