裸の番人、裸の皇室史学者(後編)

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前回に引き続き、『SPA!11月28日号』の倉山満「言論ストロングスタイルvol213」への批判です。

倉山の発言には、さらにおかしな点があります。

「皇室のことは、皇室に委ねられている」などという原則が、一体どんな法律の、どんな条文を根拠に存在するというんだ?

皇室典範の改正が国会マターとされ、尚且つ天皇に政治的権能が憲法上与えられていない状態でそんな「原則」をいくら連呼しても、天皇陛下をバカにしているようにしか見えません。

天皇・皇族は皇室典範に対して、一切口を挟めないし、責任なんか負えないんだよ!! 

日本国憲法制定以来、天皇の意志のみによって皇室制度に改定が加えられた事例があるなら、教えてくれや。

同時に、典範15条の規定についても、私は倉山が指摘する通り、「性別による差別」で違憲立法ではないかと疑っています。無論、これも皇室に責任はありません。

一般国民の間で女子だけが、婚姻を条件に皇室入りできるという状態は、「皇籍取得の資格を性別によって制限している」という点で、差別ではないでしょうか?

だから愛子様のお婿さんも皇族になれるように、典範15条は改正すべきなんだよ。

そんな違憲疑惑が持たれるような状態を放置しているのは、決して皇室ではなく、国民の代表たる「国会」だという事を、倉山は全くわかっていない様子ですね。

皇室に関する事は、皇室に委ねられていません。国民の代表たる「国会」に委ねられているのが現状です。だから「皇室の弥栄」の実現は、我々の責任なんだよ。

憲法第1章をフツーに読んでりゃ、中学生でも見抜けるようなウソ八百を堂々と公言してまで、国民の責任を天皇・皇族に押し付けようとするな!

【結 言】

最後に、倉山の近著『嘘だらけの日本古代史』が重版出来ってのがにわかに信じられないんだけど、よ~するに律令に備わるシナ父系原理が浸透し切った社会である平安時代を、倉山の勝手な理想に都合がいいからという理由で先例とせよ、と言ってるだけの本でしょ?

日本のオリジナルに近いのは、倉山が「先例破壊が横行した時代」とまで揶揄した奈良時代に特に顕著であった、「双系的血統観」ですよ。

この本については、また今度論破するよ。

なにしろタイトル通り一事が万事、「(倉山の)ウソだらけ」の本だから、論破する側も大変なんだわ。

もはや「裸の王様」と化した内閣法制局に、「裸の皇室史学者」がブレーンについたところで、結局オティンティーンは隠れないんだから、放送コード的にはアウトのままじゃん。まったく「論理の補完」になっとらんぞ~。

文責 北海道 突撃一番

3 件のコメント

    基礎医学研究者

    2023年11月29日

    (編集者からの割り込みコメント)今回、編集したものを改めてみると、自分、突撃さんの文章を結構赤文字で強調してしまいました~というのは、突撃さんが語っているのあまりにも常識であり、一方、倉山とか内閣法制局は一体何なんだと!ご都合主義、ここに極まれり!で、こんなので本当に国民を説得するつもりがあるのだろうか?少なくとも自分には、彼らの発言に「皇位の安定継承」につながる意見はまったく見えてこないです。はっきり言って、これは国会議員にも訴えていることですが、何を言おうと、「皇位の安定継承」につながってこない意見は、聞く価値は0です(と、自分は断言します)。

    サトル

    2023年11月29日

    余談……ですが、「徳川家康」がなぜ「東」照宮と「呼ばせた」か。西には伊勢神宮があるから、日光東照宮を造らせたんじゃないか(もちろん他にも多くの理由がありますが)、「照らす」……「テラス」にこだわったのか?……なんかや「皇祖神」がアマ(天)テラス……を「(武家社会ですら)ゆるがせにしていない」なによりの証拠でないかい?と思う次第です。
    幕末に「お伊勢参り」がなぜ盛んになったかも、思想的に考えろよ、倉山(笑)と思ったりもします。

    まぁ、基本「隙間1人産業」だからなぁ……彼。

    サトル

    2023年11月29日

    いつもお疲れさまです。

    倉山はそもそも(笑)、「権威」と「権力」の違いが全く理解出来てないですよね。
    (私が、彼に国語辞典は持ってるのか?と聞く理由でもあります)

    憲法は「権力を縛る」ものである……とうことすら、怪しい。
    また憲法の第一章は「権威の規定」と共に「権力からの分離」だとすら思いが及ばない。

    さらに「聖域性の確保」だとすら理解できない。
    また血の連続にしろ、古くは日本での「乱(反乱)」の際、「源氏、平氏」を名乗る意味、また「徳川の時代に」それを防ぐ手立てをしていることすら、気づかない。結果庶民に至るまで「家」の価値体系が堅牢になり、「家の為」なる価値観に基づく行動原理すら解らない。
    (このことが、お家お取り潰しを防ぐ「家業の不正を防いだ」側面なんか、死ぬまでわからない、たぶん。職業?と宣うアホもそれがごちゃごちゃで気づけない)
    そして、徳川がなぜ、宮家の子供……男子女子問わず、多過ぎにならないように「出家させた」かも理解できない。
    「院」と呼ばせたかも。

    誠に「シンプルに○カ」であり、「歴史」なんぞ語れず、憲政史家も名乗れず(バジョットの理解からも(笑))、「研究家」にしか、「なりえない」哀れな男……と思う次第です。
    ほんと「嘘だらけ」だ(笑)

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