さて、いよいよ三国志時代の魅せ場の一つ赤壁の戦いが幕開けします。
*この連載は長期にわたるため、今回のように「皇室の話」が直接でてこないこともありますが、(帝を中心とした)国を再興する、あるいは、君主と臣下の物語としてみていただければ、幸いです(by基礎医)
まず合戦場の話ですが、曹操軍100万と孫・劉備軍10万が今の湖北省にある長江(揚子江)中流を挟んで対峙します。(大雑把で言うと上海と成都の真ん中辺りです。もっと大雑把で言えば、大陸の真ん中辺りです。)
この合戦場が赤壁という名前でした。今では赤い文字で赤壁と書かれた崖が観れます。
曹操は開戦前夜に宴を開き、更に朗々とまた詩を歌います。以下歌文。
月明星稀 烏鵲南飛
繞樹三匝 何枝可依
山不厭高 海不厭深
周公吐哺 天下歸心
現代語訳
月は明るく星稀な夜、カササギは南に飛ぶ
木を三度飛びめぐって、どの枝に留まるのだろう
山は高いほどよく、海は深いほどよい
周公は人材登用に熱心で、食べかけのものを吐き出してまで人に会ったという
だからこそ天下の人々も心を寄せたのだ!
(さあ有為の士よ、私のもとに来てほしい!)
曹操の陶酔溢れる中、文官の劉馥(リュウフク)
が待った!と水を差します。曹操は水を差されムッとしながら訳を聞くと、劉馥は詩の
“カササギは南に飛ぶ、木を三度飛びめぐって、どの枝に留まるのだろう”
は戦に負けてよりどころを失くして茫々するという意味になり、不吉だ
と進言しました。
曹操は戦の前に無粋な横槍だと劉馥を切り捨てます。
しかし、この詩の不吉部分が後々曹操に伸し掛かります。
曹操は胸の奥で何かチリチリとする感覚を覚えるも大軍の水軍を率いて出撃します。
曹操の慢心には古今東西共通点があり、名君も暗君も慢心にかかると、
まず融通が利かなく、思考停止になり、耳障りの良い言葉や情報しか信じなくなる傾向があります。(まるでどこかの自称保守議員や皇室の話を曲げに曲げてデマを飛ばすウマシカ野郎議員の状態を指します。)
一方、孫権・劉備軍の動きですが、
劉備軍の軍師孔明が東南の風を吹かせ、火攻めのタイミングをつくり、度々周瑜に命を狙われていた為、命を取られない内に劉備軍の迎えでサッサと雲隠れします。演義では趙雲が孔明をガードし、追って来る周瑜の部下の船の帆を弓矢で落として無事帰還した風もあります。
周瑜は孔明を取り逃がしたのを残念がるも、東南の風を追い風にし、出撃します。
周瑜はまず、曹操に寝返るフリをするベテラン武将の黄蓋に曹操へ”夜に青い帆を立てた船が私の船です(💛)たくさんのお土産を持参して投降します!”と手紙を送らせ、黄蓋の船団に燃えやすいよう油を浸した布を藁の山に乗せ、布や物でカモフラージュして曹操に向かわせます。また、周瑜は曹操のスパイの蔡中をギリギリまで泳がせて泥酔させ監禁して情報をシャットアウトします(スパイの末路はたぶん首が空に飛んでったかと思います)。
更に周瑜は精鋭の水軍と孔明が曹操から貰った10万本の矢など武装して闇夜に紛れて出陣します。少数精鋭の奇襲作戦です。
一方、曹操軍は黄蓋の手紙を貰い、夜に密会せんと赤壁の水上で待機します。
ここで曹操は風向きが変わったのを見て“ん!?”と
思い、軍師達もざわつきます。
曹操は「たかが、風向きが変わっただけだ!」と
ざわつく配下を叱咤します。
胸のざわつきが気になっていた曹操ですが、黄蓋の船団を観るとチャンスがやって来た!と
安堵します。
しかし、船団の違和感に気づいた軍師達はサッと顔色変えます。曹操の側には歴戦の軍師・程昱や荀攸などがいたと思われ、彼らは慢心している曹操に進言します。
「と、殿。黄蓋殿の船団、物が多い様ですが、その割には船の沈みが軽い気がします。しかも油の臭いもかすかに、いかん!あの船団を近づけるなッ!!」と臨戦体制を叫びます。
曹操もここでハッとします。
“計られたか!?”と。
しかし、黄蓋は見破られた雰囲気を感じ取り、油を染み込ませた藁束の船に火を付け、曹操軍に突撃させます。曹操軍は分散して被害を抑えようとしましたが、孫・劉備のスパイ、龐統の連環の計により鎖で船を繋いでいた為、火が良く回り、曹操軍の船はあっと言う間に燃え広がり、更に10万本の矢が無数に曹操軍に上空から雨あられと振り注ぎ、兵士達は大混乱です。
天下に王手だった曹操に痛恨の大打撃で、100万の軍勢が敗れ、曹操は命からがら逃げ延びます。
また、人形劇三国志で曹操は「力に負けたのではない、策に負けたのだ!!」と台詞があり、
小国でも大国相手に大立ち回り出来るという合戦になりました。
今回はここまで。次回は逃げる曹操とゲリラ劉備軍の追撃です。
(三国志編その14、赤壁編その10)に続く。
文責 神奈川県 神奈川のY
2 件のコメント
神奈川のY
2025年4月17日
あしたのジョージさま、いつもコメントありがとうございます。曹操は慢心無ければ周りに良い参謀が沢山いるのでたぶん無敵な人かと思います。強敵に勝つには慢心させるが肝要なんだなと思いました。
男系派の政治家も慢心と思考停止してるから他人事じゃありません。
あしたのジョージ
2025年4月17日
いよいよ赤壁の戦いが幕開けしましたが、慢心した曹操は、あっという間に孫権・劉備軍の策に嵌り敗れてしまいました。
周りの助言も耳に入らないぐらいの慢心さは、命とりになりますね。
一番上に立つ者は、あらゆる事に注意をはらわなければ命とりになるという事を教えてくれます。
今の男系派の政治家にも耳が痛い話だと思います。