愛子さまを差し置いて「旧宮家復帰」などありえない/その1

4/15のネットニュースに以下のような記事がありました。

皇位継承で「旧宮家復帰」聴取

これについて2点指摘させて下さい。

1.「皇籍復帰」ではなく新たな「皇籍取得」である

まず「旧宮家復帰」という表現に問題があります。
(当記事タイトルではあえて元記事での表現を使っています)

阪神、日本ハムやMLBで活躍した新庄剛志氏が現役「復帰」を目指しているというニュースが話題となりましたが、元プロ野球選手だった彼についてそう表現するのはごく自然といえます。

同様に、旧宮家(より正確にいうなら旧皇族)「復帰」というなら、かつては皇族だった人に対して用いられるべきです。

その対象となる伏見宮系の旧皇族は昭和22年(1947年)に皇籍離脱しているため、最も若くても既に70歳を超えております。仮にそのような人が皇籍に復帰しても皇位の安定継承に寄与しないことは明らかです。
現在皇位継承の一案として取り沙汰されているのは旧皇族の「復帰」ではなく、旧皇族の子孫ではあるが、生まれてから一秒たりとも皇族であったことのない国民男性の新たな皇籍取得、なのです。
かように不正確な表現に記者の知識の程度が表れているといえますし、記事の内容も疑ってかかるべきではないでしょうか。

(高森明勅氏公式サイト https://www.a-takamori.com/post/200417 )

2.旧宮家子孫による皇位継承は基本ルールからの逸脱である

上記記事に下表へのリンクがあります。

表:安定的な皇位継承をめぐる論点

一見、両論併記で公平さを装ってはいますが、下部の文から男系論に誘導しようとしているのは明らかといえましょう。

「皇統は126代にわたり例外なく男系で維持されてきた。
女性天皇は過去に10代8人存在したが、いずれも男親をたどれば初代の神武天皇に行き着く男系だ。
この皇位継承が危機にひんするたびに、時の為政者は遠縁でも男系の継承者を探し出すなどしてきた。」

さて、いわゆる男系派からは「例外なく男系」「男系継承の伝統」といった言葉をよく聞きます。

背景には例外はあってはならない、伝統は死守せよ、という考えがあるようです。しかし仮に「旧宮家系国民男性の皇籍取得」がなされ、皇位を継承するという事態が生じたなら、それこそがとんでもない例外であり伝統破壊となることがわかっていないようです。

まず、過去の皇位はほとんどが天皇の3世子孫(ひ孫)以内に受け継がれているという厳然たる事実があります。

7世紀末から8世紀初に成立した律令では天皇の4世子孫(玄孫)までが皇族とされていたわけですが、それとも合致しています。

唯一の例外は律令より300年ほど前の時代における継体天皇(応神天皇の5世子孫)ですが、それより遠い子孫が皇位についた例はありません。

一方、いわゆる旧皇族の子孫である国民男子は天皇の20数世子孫に相当し、現皇室の方々との共通の祖先である天皇は北朝3代目、崇光天皇になります。

つまり600年以上遡らないと共通の祖先たる天皇に繋がらないのです。

過去に傍系継承があったとはいえ、原則は3世以内、唯一の例外でも5世まで、ということは無視することのできない重要な事実であり皇位継承の基本ルールといえるはずですが、上表にはその観点がありません。

皇位は直系優先、 血縁の近い順に伝えるべし、という考え方は現皇室典範でも明文化されています。

傍系(現天皇の子孫ではない系統)の優先順位は直系より低いのであり、ましてや超傍系である旧宮家子孫による皇位継承とは伝統破壊とさえいえる基本ルールからの大いなる逸脱といえるのではないでしょうか。


長くなりましたので、他の論点については稿を改めます。

愛子さまを差し置いて「旧宮家復帰」などありえない/その2

(文責: 岡山県 和気の隣は熊山)

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4 件のコメント

    和気の隣は熊山

    2020年7月11日

    好事家さん

    コメントありがとうございます!
    常識的にも皇室の伝統からいってもそんなことがあってはならないですし国民の大多数も支持しないとは思います。

    好事家

    2020年7月11日

    旧宮家が再び皇族となることはないでしょうね
    正直言って国民の支持が得られませんから

    和気の隣は熊山

    2020年5月4日

    花谷香史郎さん

    コメントありがとうございます!

    >今の旧宮家子孫が皇籍取得できる理由って有史以来、ほとんど無いのでは?

    おっしゃる通りです!

    今の政府のやろうとしていることは皇位継承の伝統と皇室の聖域性の両方を破壊することとしかいいようがありません。

    ちなみに竹田恒和氏は世数でいえば「準則」でいう八世相当ではありますが、三男であり宮家当主となる長男ではありません。
    そのため、仮にGHQの措置がなかったとしても満15歳になった以降に臣籍降下していたはずです。
    とはいえ、この人物があと1ヶ月早く生まれていたらその兄たちと同様に現在「旧皇族」と呼ばれる条件を満たすことになります。
    「旧皇族」が五輪招致で汚職疑惑をかけられるよりは生まれながらの一般国民がそうなる方がまだマシといえましょう。
    天の配剤を感じます。

    花谷香史郎

    2020年5月2日

    『大宝養老令』
    皇親(=皇族)は四世ないし五世で臣籍に降下する宿命。

    『旧・皇室典範増補』
    皇族が臣籍に降りたら皇族に復帰することはできない

    『皇族の降下に関する施行準則』
    伏見宮家の第十六世にあたる邦家親王を”四世親王”とみなし、
    八世までを皇族とし、それ以外は皇族を離脱
    (ちなみに竹田恒「和」―小室圭さんをとは比べ物にならないくらい胡散臭い疑惑のある人物―は八世王相当)

    『皇室典範(十五条)』
    皇族以外の者およびその子孫は女子が皇后となる場合および皇族
    男子と婚姻する場合を除いては皇族となることがない。

    『日本国憲法』
    皇籍取得は「選挙権・被選挙権」「表現の自由」「居住・移転の自由」
    「職業選択の自由」「外国移住・国籍離脱の自由」を失う、ないし制約を受ける。つまり、皇籍復帰を国が要請するのは憲法違反の疑い有り。

    あれ・・・?
    今の旧宮家子孫が皇籍取得できる理由って
    有史以来、ほとんど無いのでは?

    ちなみに養老令では女系天皇の可能性を残していたことは
    言うまでもないですね。

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