「歴史探偵」持統天皇回で後一歩まで踏み込んだNHKを称賛ス

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 9月9日の「歴史探偵」「藤原京と持統天皇」は、持統天皇を主人公とする漫画「天上の虹」を描いた里中満智子氏(男系固執派に転向)がゲストでした。「知恵泉」の藤原不比等回や光明皇后回を思えば全く期待できなかった(※「不比等回を弾劾ス」「光明子回を弾劾ス」参照)のですが、意外にもマトモでした。

 狭い盆地に宮殿と豪族邸が密集する飛鳥京に対し、天武天皇と持統天皇が造営した藤原京は初の計画都市であり、後の平城京よりも大規模だったようです。当時は唐と新羅に大敗した白村江の戦(663)から国家を再建する途上でした。

 鸕野讃良皇女(天智帝と蘇我遠智娘との娘:後の持統帝)は蘇我氏を排除する「乙巳の変」の年(645)に生まれ、時を置かずに蘇我氏の祖父と母も謀殺されますが、大海人皇子(天智帝の弟)との間に草壁皇子が生まれました。夫と異母弟(大友皇子)が争った壬申の乱(672)の後、天武帝と鸕野讃良は6人の皇子を集め、草壁皇子を後継者とする吉野盟約に同意させました。天武帝が崩御(686)すると大津皇子(草壁の異母兄)は謀反の嫌疑を掛けられて謀殺されましたが、間もなく草壁も亡くなり、草壁の遺児・軽皇子(後の文武帝)が成長するまで持統天皇が立ちました。ここで義江明子氏(古代史の権威)の解説が入ります。持統より前は群臣推戴(合議共立)制でしたが、持統は天津神の意思により現御神として統治することを制度化し、以後500年ほど皇位を巡る大規模な戦は無くなりました。

 また古代の礼服は男女同形とする武田佐知子氏の説も紹介されましたが、これは古代の女帝が中継や突発的事象ではなく正統だったことの傍証として挿入されたはずです。さらに武田氏が令和7年の講書始で天皇皇后両陛下に御進講した事実も明かされましたが、愛子様も同席していたことにも言及すれば完璧でした。

 持統帝の業績には藤原京造営、全国の道路と水田区画の整備、遣唐使の復活、「倭」から「日本」への国号改称を唐が容認、飛鳥浄御原令施行、記紀や万葉集の編纂に関与、伊勢神宮の式年遷宮を開始、大宝律令完成…があります。これ程の女帝が中継ぎなわけありません。文武帝の死後に元明→元正の女系継承があったことや継嗣令の「女帝の子も亦同じ」を紹介すれば完璧でした。

 何にしても令和の有識者会議ヒアリングで養子案に賛成した里中満智子の発言を全カットしたことが番組を成功に導いたのは間違いありません。    

文責:京都のS

9 件のコメント

    京都のS

    2026年9月25日

     「小林よしのりライジング(no+e)」( https://note.com/yoshirin_k/n/nc3e7756c088c )のQ&Aにおける酔いどれカエル坊主様の「歴史探偵」持統天皇回へのツッコミについて僭越ながら私から回答します。

    ・冒頭から里中満智子が「(持統天皇は)働いて働いて…」のフレーズを用いて高市早苗支持者へのウケを狙っていた
     →視聴者を誘導する「惹き映像」には使っていたけど本編には見当たらなかったように思う。
    ・開始から約10分間は藤原京のVRとアナウンサーの冗長な語りばかりで持統天皇に関する語はほとんどナシ
     →最初からお勉強モードではガチ勢じゃない一般視聴者を逃がしてしまうので、仕方ないと考える。
    ・持統天皇が藤原京を造った、の話なのになぜか途中で藤原京は天武天皇と持統天皇の共同作業、に話がすり替わっていた
     →造営し始めたのは天武帝なので遺業を引き継いだという表現を否定することまでは出来ない。
    ・持統天皇の生い立ちを紙芝居という極めて簡素でしかも雑にまとめていた
     →解説部分が重くなればタイパ世代が離れていく恐れがあるから、紙芝居風の演出にしたと考えられる。
    ・(持統天皇は)誕生からネガティブな人生であったと印象操作。番組スタッフは悪のイメージにしたがっているのではないか
     →そういう血なまぐさい時代だったこと、女子も権力闘争をやってよい時代(推古帝や皇極・斉明帝)だったことをアピールすべきだったとは思う。
    ・草壁皇子と大津皇子の皇位継承の争いの場面で大津皇子は持統天皇の姉の子とは紹介せず愛妾の子扱い
     →大津皇子の母である大田皇女は盧野讚良皇女の同母姉(同格)だからこそ盧野讚良が危機感を募らせて大津を排除したが、そこまで説明する尺が無かったと考えられる。
    ・悪いイメージだけど本当はそうではない、と里中満智子の弁。里中をNHKは善人に持ち上げてはしないか?
     →呼んだからには花を持たせなきゃならないが、高市の「働いて×4」を持統帝の生き様に重ねた部分は「惹き映像」にしか使われず、もっと語ったであろう部分も大方カットされたと見られる。
    ・義江明子氏がVTRで出演されていたのはいいが、申し訳程度の短さ。
     →当時は群臣推戴制(つまり豪族が合議して共立する制度)だった点や天照の子孫であることを天意としてアピールして即位することを制度化した点などの重要な論点を短時間ながらも解りやすく提示していた。
    ・番組ラストでようやく持統天皇の功績を挙げていたが、ひとくくりにまとめられて物足りない感
     →古代史にも精通する愛子天皇派のガチ勢にとっては物足りないが、詳しくないけど愛子様が好きな一般視聴者には良い入門編だった。
    ・持統天皇以降500年間は皇位継承をめぐる争いは無かった、と説明がされていたが、実際は保元の乱など争いは絶えず起きていたのでこれは大噓なのでは?
     →「壬申の乱」と「保元の乱」との間は484年だから約500年。嘘ではない。

     如何でしょうか。

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2026年9月24日

     酔いどれカエル坊主様が「小林よしのりライジング(no+e)」( https://note.com/yoshirin_k/n/nc3e7756c088c )のQ&Aで「歴史探偵」持統天皇回を批判していましたが、本稿の文中では「~すれば完璧でした」と書き、タイトルにも「後一歩まで踏み込んだ」の文言を入れています。つまり「あと一歩だよ?」「もう少し踏み込んでね?」という褒め方なのです。
     それから、当記事にもコメントをくださいませ。

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2026年9月11日

     SSKA様、コメントありがとうございます。
     里中を映した番組の「惹き映像」が、「働いて働いて働いて働いて」という高市のキメ台詞を持統帝の人生に重ね合わせたかのような胸糞悪い映像でしたが、本編では流れませんでした。まさに視聴者を誘導する「惹き映像」としてのみ存在したことになります。
     「知恵泉」2編(不比等$光明子)だけだったなら、受信料を払い続けることに躊躇いが生じたでしょうが、今回の「歴史探偵」で命脈を保ったように感じました。

    SSKA

    2026年9月11日

    ゲスト選考は肩透かしだったのでしょうか、結果として受信料で制作されて様々な層に影響力のある番組が○の付く内容に落ち着いて良かったと思います。
    昨今の実績のある歴史学者の方々による政府制度に反対する声明の力も大きかったと思われますが、特に男系女系に対し学術的考証においては何の根拠もないとほぼ統一された見解として知れ渡ったのが最大の成果で、里中氏の反するコメントを表に出すのを躊躇ったのかも知れません。
    20年以上の議論の停滞を招いて来たこの男系女系ですが、多くの人の実感では女性天皇で良いはずなのに専門分野で否定されていると思い込まされて仕方がないと諦めざるを得なかったものが目に見える形で払拭される流れにあるのは大きな進展だと思いますし、結局歴史と偽った男尊女卑の偏見を現代も残したい人が有り難がっていただけだったとますます、印象付ける事になると思われます。
    里中氏にしても政府等に阿らず、時代の流れに今一度身を置きながら過去の作品に戻って再構築してみれば表現者として傷付かずに済むと思うので、産経みたいな愚かな媒体に身を寄せずに一線を引いて欲しいと願っています。

    京都のS

    2026年9月11日

     NHKのお問い合わせフォームに以下のような称賛コメントを送りました。

     9月9日放送の「藤原京と持統天皇」というタイトルの「歴史探偵」は、藤原不比等や光明皇后を扱った「知恵泉」なんかより遥かに良い内容でした。ゲストには「天上の虹」を描いた里中満智子氏を呼ばざるを得なかったのでしょうが、古代史の権威である義江明子氏が素晴らしい解説をしてくれました。群臣推戴制から血統継承制への過渡期に登場した盧野讚良皇女(持統天皇)は激動の時代に主体的に活躍し、天皇や上皇として幾つもの素晴らしい偉業を為し、決して中継ぎでは無かったことを証明する番組となっていました。
     もし、大宝(養老)律令の継嗣令に「女帝の子も亦同じ」という本注が付いていたことや、元明から元正への女系継承があったことも紹介し、また天皇皇后両陛下が令和7年の講書始で武田佐知子氏の御進講を受けられた際に愛子様も同席されたことまで紹介していたら完璧でした。
     これからも良い番組を期待しています。

    京都のS

    2026年9月11日

     fei様、迅速なる訂正ありがとうございました。

    fei

    2026年9月11日

    大変失礼しました。
    タイトルを書き忘れてしまいました。
    追加しました申し訳ございません。

    京都のS

    2026年9月11日

     ちなみに本稿のタイトルは「『歴史探偵』持統天皇回で後一歩まで踏み込んだNHKを称賛ス」です。

    京都のS

    2026年9月11日

     ふぇい様、掲載ありがとうございました。「知恵泉」の藤原不比等回・光明皇后回の「弾劾ス」に続き、「歴史探偵」の持統天皇回も「弾劾ス」かな?と思っていたら、意外にも「称賛ス」になりました(笑)。

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