3/13(日)のゴー宣道場に登壇される石破茂氏の半生を紹介するシリーズ(全5回)、今回は石破氏の社会人時代です。
大学卒業後の進路は、安定した三井銀行という選択をした石破氏でしたが、それが裏目に出て、人生初告白に失敗してしまいました。
(第2回はコチラ https://aiko-sama.com/archives/10302 )
■社会人時代
進路を決めるにあたっては、鳥取県知事から参議院議員に転じ、大臣も務めた父・二朗に「官僚になる気はあるか?」「政治家になる気はあるか?」と尋ねられましたが、「まったくなる気はありません」と、きっぱりと答えました。
すると、父は「そうか、そうだよな。政治家はおまえみたいな人のいいやつに務まる商売じゃねえしなあ」とがっかりしていたようです。
若き日の石破茂氏には政治家という選択肢はありませんでした。
昭和54年(1979)、石破氏は三井銀行に入社しましたが、入社したその日から「明日辞めようか、明後日辞めようか」と思っていたそうです。
告白に失敗したというのもありましたが、銀行員の仕事にうまくついていけなかったのです。
手先が器用でなく、札勘定のときにきれいに開けずバラバラッと散らばってしまう、そろばんが出来なくても計算機でOKな銀行だったにもかかわらず、計算機もうまく扱えない・・・。自分は銀行員に向いていない、とすっかり自信を無くしてしまいました。
しかし、何にも身につけないで辞めるのは悔しい、せめてお札の勘定と計算機だけはいちばんになって辞めよう!と思い、来る日も来る日も朝早く会社に行って、お札の勘定と計算機の練習に励みました。
すると、ある日突然、お札をパッと広げて勘定できるようになり、社内のテストでもトップの成績をとれるようになっていました。
年1回の、「鬼のように怖い」検査官のチェックでも絶賛されたことに気をよくし、たちまち仕事が楽しくなって、辞める気などなくなってしまったのです。
石破氏が「人間というものは、勉強だけでは一人前になれない。社会に出て、さまざまな失敗や経験を積む中で少しずつ成長していく」と述懐する、仕事での大失敗エピソードがあります。
窓口業務に出た最初の日、石破氏はなんと顧客に100万円も多く渡してしまったのです。
その日の窓口業務が終わって、勘定してみると伝票と現金が合わない。
顧客に札束を1つ多く渡しているので当然です。
「辞表を書くか、それとも首を吊ろうか・・・」
目の前が真っ白になった石破氏でしたが、顧客が100万円多いことに気づいて、銀行に持ってきてくれたのです。
なんとか命拾いしたものの、その日のうちに貸付係に回されてしまいました。
貸付係になった石破氏は「これで金を貸さないのはかわいそうだ」と言っては金を貸すようになってしまいます。
ある日、毎月の返済が滞っていた会社に「おかしいな」と感じ行ってみると誰もいません。
慌ててその会社を紹介した人に事情を尋ねると「なんだおまえ、知らないのか。今日の夕刊を読め」と言われます。
そしてその日の夕刊には「中小企業社長、借金苦で自殺」という記事があったのです。
その晩の石破氏は、主任につきあってもらって朝まで飲むしかありませんでした。
仕事がうまくいかず、真剣に悩む日々でしたが、それでもなんとか勤めていたのは、基本的には銀行の仕事が好きになっていたことと、いい先輩や同僚に囲まれていたからなのだとのことです。
いまでも、当時の支店長を囲む会を毎年やっているそうです。
そんな、勤め人として奮闘する石破氏に転機が訪れます。
自治大臣と国家公安委員長に就任していた父・二朗が病に倒れたのです。
(次回:政治家としての石破茂氏 に続きます)
【参考文献】
『石破茂の「頭の中」』鈴木哲夫 著
石破茂オフィシャルブログ
文責:千葉県 まー
5 件のコメント
ma-
2022年2月26日
コメントありがとうございます。
基礎医学研究者さん
懐かしい作品ですね。
この作品の主人公のモデルは中川昭一氏という説がありますが、もしかしたら石破氏なのかもしれませんね。
urikaniさん
石破茂青年が一生懸命生きている姿に好感が持てますね。
ダダさん
仕事が好き、というのはとても共感ポイントです
チコリさん
まさに著書でも石破氏は「銀行員というのは杓子定規に見られがちですが、そんなことはない」と語っていました。
ブログだけでは魅力を伝えきれません(+_+)
チコリ
2022年2月26日
石破議員っていい人なんだな、と、親しみが湧いてしまいました。
銀行で、直ぐに向いてない、辞めたいと思っても、何も身につけないで辞めるのは惜しい、と頑張った結果、苦手なことがトップになるなんて、そして仕事が面白くなっていくなんて、心温まる話です。そんなことでどうするとか、仕事はそういうもんだとか、杓子定規に語られがちだけど、石破議員の取り組み方が楽しい。
札束1束大失敗、貸し付けた方が首を吊ってしまった、すべてが、なんだろ、胸にじいんとくる。
仕事を好きになれたら最高だし、やっぱり人間関係は肝だなあ。
ダダ
2022年2月25日
顧客に救われたこと、顧客が自殺したことは「人のいい」石破氏には強烈な体験でしたね。
仕事が好きで職場環境に感謝していた点も尊敬します。
石破列伝、あと2回!
次回も楽しみにしています。
urikani
2022年2月24日
またいいところで…
( ;__; )
石破茂列伝を読むにつれて、どんどん石破さんを好きになっています!
なんともチャーミングな人ですね〜
(*´ω`*)
続きが楽しみです♪
to be continued
基礎医学研究者
2022年2月24日
今回も、興味深く読ませていただきました。石破議員が最初政治家になる気はなく、社会人として働いていたというのは、弘兼憲史 の「加治隆介の議」を彷彿させるものでした(「課長・島耕作」と並ぶ弘兼の代表作で、政治家の父親や長男が不慮の事故で亡くなったことで政治家を目指すようなところは、まるで石破議員がモデルかと思ってしまいました。閑話休題)
そして、そのような経験はおそらく政治活動を行う上での”地力”に確実になっていったのでしょうね。今回の列伝を読んで、そのように思って次第です。
次回を、楽しみにしております。