【論破祭り】外伝 「ブレーキ役」4人の発言について考える(後編)

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4−A.古舘伊知郎氏の発言(要旨A)
・現代日本は、戦(いくさ)が無い世界であって欲しいと、強く思う。
源平合戦や鎌倉時代の戦では、天皇が錦の御旗として、ある種利用される側面もあった。
第二次世界大戦においては(アメリカの思惑もあったが)、昭和天皇の戦争責任はどうかという議論がずっと続いている。次の代になられて今の上皇様ご夫妻、色んなところに渡られて、パラオも含めて、こうべをたれる。あの姿を見た時に、ジーンと来ない人はいないだろう。。
(天皇の役割は)戦があったときには、責務を果たされる的な所があると思う。

・(戦争が無い世界を望む、そこを希求してやまないという前提に立てば)現代で、女性で民間から入られた上皇后様美智子様が、どれだけ色んなことを言われたか。お年を召されてからも、失語症になられた。雅子様も、同様に色々と言われ、適応障害に。
例えば、もし愛子様が天皇陛下になられて、どなたかをお迎えするときも、どういう方(愛子さまの夫)が来るかってことは、色々と大変だろう。

・この時代において「女系天皇」か否かというのは、難しい問題。それはさっきのご意見(門田の、悠人様廃嫡論のこと)もよく分かる。しかし「女性天皇」というものを、今考えるべき時に来ているのでは。

(古舘氏の要旨Aへ)
 平和主義自体は、悪い事では無いでしょう。中世〜戊辰戦争の時代での「天皇の役割」は、現代のそれとは、確かに異なります。錦の御旗として利用された事も、戦没者の霊を(主体的に)慰められる事も、歴代天皇が「戦に対し、時代ごとに向き合ってきた」様子が伝わります。現代の私たちも、そうした天皇の「態度」に対し、(古舘氏の言うように)感動を覚え、敬意が芽生えます。「理屈では無い敬意」は、短文&切り抜き動画の時代には、ますます必要だと思えます。
 現代では、上皇后陛下を始め「女性皇族の苦難」に想いを馳せる必要があるでしょうし、それに言及した古舘氏を評価します。愛子さまについても、幼いころからそうした苦難が付きまとっていました。古舘氏はもしかして、女性皇族方の苦しみを和らげる為に「難しい問題」と述べたのかもしれません。門田の廃嫡論に理解を示しているのが難点ですが、現代の課題が「女性天皇」だと、認識できているのは良い事です。

4−B.古舘伊知郎氏の発言(要旨B)
・様々な意見があるが、「2000年一括りにはできないな」と思う。
時代によって、大きく、為政者も、何も、変わっているのだから。時代に合わせて「長子優先の議論」もするべきだ。急にやれと言っているわけではない。国民の考えが、自由闊達に入って議論をするのは良い事だ。国民がもっと天皇制や皇室に、興味を持つというのが大事だ。

・伝承とは、100%伝承していって、一切型を変えないという伝承芸能もある。一方、時代と共にうっすらと変わりながら、国民に親しまれて突き進んでいくというのが、(ヨーロッパの王室と違う)日本の、畏敬の念を含まった皇室へのまなざしだと思う。

・(門田の発言『皇統の唯一のルールは「男系」であり、変わってはいけない部分だ。それを変えてしまったら、もう皇室ではなくなる』に対して)
国民の象徴の天皇家だから、国民的議論があるべきだと思う。

・(旧宮家復帰案にて、竹田が皇族になるのはどうかという話)竹田さんのキャラがエキセントリックなので戸惑うが、逆もまた真なり。「立場が人を育て」るので、(皇族になった竹田氏の振る舞いも)ちょっと変わると思う。

(古舘氏の要旨Bへ)
 伝統とは、時代に応じて漸進的に変えるもの。これはまっとうな保守の考えであり、リベラルの中にも、それを見つける事が出来ます。「自由闊達な議論」も、くらたまの「逃げ口上」とは違ったニュアンスがあります。皇室問題は「無関心との戦い」という側面がある事にも、私たちは合意できるでしょう。
 国民が「皇室に親しみを覚える」ようになったのは、戦後からですが。それでも「膝をついて被災者を見舞う」天皇の振る舞いが、多くの人に畏敬の念を抱かせました。それが現代における「皇室へのまなざし」であり、その事実を受け入れている点で(古舘氏を)評価できます。
 一方、門田への反論は、ややぬるく感じました。国民の象徴の天皇家なので、国民感情を無視できないのは確かですが・・・それよりも男系ルールと、その実現方法の「非常識さ」を指摘して欲しかったです。
 「立場が人を育てる」という言説は、多くの人が(実体験から)理解できるでしょう。ただ、例の味噌汁発言などを見る限り「マイナス1億点スタートが、数点向上した所で、大した違いが無い」と思えてしまいます・・・・

 以上、ブレーキ役4人の発言を振り返りました。残念ながら、逆賊5匹と「正面から喧嘩する論客」が居ませんでした。4人とも正面衝突を避け「国民の議論」を強調しています。やはり高森師範のような「明確な反対派」を出さなかった番組には、偏向を感じてしまいます。
ただ「皇室論を国民的な課題にしよう」という点は、番組制作者・暗いテリオン誌・私たちの共通の目標です。この論破祭りから「次に繋げるべき課題」は、先ほど述べた「無関心との戦い」だと思います。無関心から解き放たれた庶民が「世論によるストッパー」を作らなければ、「相思相愛の皇室」も厳しくなるでしょう。私たちがアプローチした政治家達・・・今度は「目覚めた庶民の声」を聞いた上で、皇族方の為に働いて欲しいと思います。

福島県 殉教@中立派

1 件のコメント

    基礎医学研究者

    2022年8月17日

    今回も、大変興味深く読ませていただきました。古館氏の発言に対する解釈は、その通りで建設的かと思いました。
    1点だけ、「立場が人を育てる」という言説については、私は少し異なる言い方をしたくて、それは「環境が人を育てる」です。といいますのは、もしも”準備された思想”ができていないと、立場を与えられても、お作法や雰囲気は育つかもしれませんが、思想が深まることはないだろう、と思えるためです。歴代の「皇室」の方々が国民に敬愛されてきたのも、「「皇室」という聖域で育った環境」が大きいのではないかと、私見では思います。

    前編でも感じておりましたが、少なくとも取り上げられたブレーキ役4人の方々については、議論が可能な方々と、自分も思いました。そして、”この論破祭りから「次に繋げるべき課題」は、先ほど述べた「無関心との戦い」だと思います。”、極めて重要なsuggestだと、自分は思う次第です。

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