- 【飯豊青尊(イヒトヨノアオノミコト)】
~冊封体制に組み込まれなかった「女帝」~
またもや突然ですが、「譲り合い」の精神って、とても大事ですよね??
幸せのホットプレートの上、残り一個しかないタコ焼きを取り合ってケンカしてしまっては、せっかくの宴が台無しになってしまいます。(髭男にはうまいこと引っかからんかった・・・)
倭の五王から若干、時代は下りますが、序盤でも取り上げた第22代清寧天皇が崩御された後も、第17代履中天皇の孫にあたる億計・弘計(オケ・ヲケ)兄弟が即位されるまでには、お互いに皇位の譲り合いがあったようです。
お二人の譲り合いの間、天皇空位の期間に執政を行ったとされるのが、「飯豊青尊(イヒトヨノアオノミコト)」と呼ばれる女性です。
オケ・ヲケ兄弟の姉とも叔母とも言われ、『記紀』の中でも伝えは一致しませんが、なんと神功皇后と同様、大正15年までは「女帝」として扱われていました。
フクロウを意味する「イヒトヨ」という言葉が、当時のヤマトの王の実名に鳥獣名が使われていた事(仁徳=大雀(オオササギ)、武烈=若雀(ワカササギ)など)とも共通する事に加え、「青」という文字にも、強い呪術的な意味が込められていたようです。
実際、日本書紀の中でも「尊」「崩」「陵」と、天皇に使われる文字があてがわれている事実をみても、冊封体制の影響がまだ根強い時期にあって、飯豊が「ヤマトの王」に匹敵するポジションに就く事ができたという事を物語っています。
「上」でみたように、冊封体制による「シナ男系主義」の浸透により、倭国内における女性首長の割合は10%近くまで減少してしまいました。
無論、だからといって女性首長が完全消滅したというわけではなく、古墳の発掘調査などからも、女性首長が一定程度存在していた事は確認されています。 むしろ、シナ皇帝から与えられる官爵が、女性を完全に対象外としていた事を踏まえれば、シナの史書の記録から漏れた「女帝」が日本に存在していても、ある意味自然な事でしょう。
飯豊青尊の存在は、シナ男系主義に完全には組み込む事ができない、日本独自の「双系的血統観」が、五世紀末にも残っていた事を物語っているのかも知れません。
まさに隠し事だらけ、ツギハギだらけのジャパニーズ父系主義、って感じですね。
Do You Know?
(下)につづく
文責 北海道 突撃一番
6 件のコメント
れいにゃん
2023年3月30日
飯豊青尊(イヒトヨノアオノミコト)の名は知っていましたが、大正十五年まで女帝として扱われていたとは知らず、驚きました。そのままでいいのに。
シナ皇帝が与える爵位の定義から、女性というだけで洩れたからこそ、その存在が我が国のオリジナリティとして輝いています。10代8名どころではないかもしれないですね。
基礎医学研究者
2023年3月30日
>突撃一番さんと京都のSさん
返信コメントありがとうございました。飯豊青尊における皇統譜の補足、ありがとうございました。クリアーになりました。それから、(こんなこと書いて良いのか~と思いつつ(;^_^A)今回のさりげなさ、自分は不案内でわからなかった~SPY FAMILYというアニメ?ドラマ?をよく知らなかったもので。
一方、京都のSさんのDo you understand?は自信をもって反応できます(イエローテンパランスのスタンド使いで、オラオラされた人ですね)。
京都のStand User
2023年3月30日
「中継ぎをナメちゃいけません(笑)!!」は、JACKERさんの得意分野ですね(笑)。日本野球の伝統は継投にありますから中継ぎは重要です。
ちなみに「Do You Understand?」はジョジョ3部の承太郎VSラバーソウルです(笑)。
突撃一番
2023年3月29日
掲載&コメントありがとうございます!
さりげなくSPY FAMILYネタも混ぜ込んだつもりだったけど、分かりにくかったみたいですいません…。
まさか、呪術廻戦にもテーマが繋がるとは予想外でしたけどね。
言い忘れたけど、皇位を譲り合った兄弟のうち、弟の「弘計(ヲケ)」皇子は、イントロダクションでも紹介した、第23代顕宗天皇です。
倉山との対談動画の中での発言からもわかるように、大塚耕平氏は顕宗天皇が「清寧天皇から男系で皇位を引き継いだ」と完全に思い込んでいるようですが、今回みたように、両者の間には「女帝」が存在した可能性も十分あるという事ですね。
そんなイヒトヨさんですが、明治時代の時点で、「歴代天皇の代数には含めないが、天皇の尊号を贈り奉る」とされていたそうなので(wiki)、おそらく皇統譜上でも草壁皇子(=「岡宮天皇」)同様、「皇統第○○」には含まれていないでしょうね。
もっとも、草壁皇子が即位する前に亡くなっているのに対し、イヒトヨさんは実際に政務を行っていたという違いは大きいと思いますが。
どっちみち、「神武天皇以来一貫して父系継承」は、だいぶ怪しくなってきましたね。
え?
イヒトヨさんはあくまで、譲り合いの空位期間における「中継ぎ」に過ぎないって? バカ言っちゃいけない。
ダルビッシュだって大谷の「中継ぎ」だったじゃないか!! そうそう簡単に務まるもんじゃないぞ!
中継ぎをナメちゃいけません(笑)!!
あと、話は完全に脱線するけど、SPY FAMILYがマイナカードの宣伝広告塔になってしまったのが、俺は悲しい。
ひじょ~に悲しい。
呪術高専京都校のS
2023年3月29日
「飯豊青尊」は全く知りませんでした。しかも神功女帝と同じ扱いだったとは。物を考えない男系派なら「中継ぎだから載せてもらえなかったんだろ?www」などと言うのでしょうが、こちらが重視するのは「日本は神代や古代から女系を含む双系社会だった」という点ですから、くどくどと「女=中継ぎ」論を聞かされても「はあ!?」としか返せません。
ところで、「赤」は高エネルギーな色ですから破邪のパワーがあるとされますが、「青」にも呪術的な意味がありましたか。まぁ、五条先生も術式反転の「赫」と術式順転の「蒼」を合わせて虚式の「茈(むらさき)」を発生させますしね…(話がズレた?)。
「ジャパニーズ父系主義」が継ぎ接ぎだらけになるののは、日本のデフォルトが母系(女系)をも重視する双系社会だったからという結論にしかなりますまい。それを無視する男系派は不敬主義を犯していますぜ?
「Do You Understand? Mr.Dankei.」
基礎医学研究者
2023年3月29日
(編集者からの割り込みコメント)今回も、面白く読ませていただきました(かつ、勉強になりました)。まず、いままで何となく気づいていたのですが、突撃一番さんのブログは冒頭や最後にちょっとごじゃれた一文が入っているのが、関西っぽいですよね(笑)今回も、Do you know?ナイスです(^_-)-☆閑話休題。
さて自分、飯豊青尊の存在についてはぼんやりとしか知らなかったのですが、そうなのですか~大正時代末までは女帝として扱われていた(皇統譜に記載されていた?)のですか?ここは、個人的には現代まで続いてほしかったような気が(やや願望です(;^_^A)
それから、冊封体制の影響を受けながらも、朝鮮と異なり日本的な慣習を維持していた部分があったのは賢明でしたね(自分の理解では、これが保守ということかと思いますが、どうですかね?)
さあ、次回はいよいよ最終回ですね。