平等と格差の間(転)~真の持続可能性とは?

Post's thumbnail

(承)のブログはこちらから

 もう少しだけ環境問題が続きます。浩宮殿下は『水運史から世界の水へ』の中で、CO2濃度と温暖化と異常気象(狭い区域での豪雨)との間に相関関係を見出しておられますが、これに私は異を唱えたく思います。(承)で触れた地球の熱収支においては、入射した太陽熱は全て海洋面が吸収し、それが低気圧(→降水)と海流の発生原因でした。熱帯・亜熱帯で暖められた海水が寒帯へ流れていけばシベリア大陸などの永久凍土中のメタンやCO2が解放され、それにより温暖化とCO2濃度上昇が同時に起こるため、原因と結果が逆にも拘らず正の相関関係を見出す人は増えるでしょう。

 ところで太陽熱を吸収する主体は海洋面だけではありません。直射日光を受けて熱くなるのは白いシャツより黒いシャツなのはご存じの通りですが、陰の濃い森と光を反射する海洋面を比較すれば太陽熱の吸収が多いのは圧倒的に森です。森の植物は地中の水を吸い上げて葉裏から蒸散し、その気化と同時に吸収した太陽熱を冷まします。上空に上った水蒸気は雲をつくり適量の雨を降らせて地表の熱を冷まします。つまり、開拓や伐採で森林が減少したから太陽熱の多くを海洋面が引き受けることになり、それゆえ低気圧の巨大化と海流の高温化が進んで異常気象(豪雨・洪水・渇水・森林火災…)に帰結すると考えられるのです。

 であれば地球温暖化問題の解決法は一つです。世界各地で潜在自然植生に適合した植林を開始することです。それは大気中のCO2を固定する(有機化合物に変える)最も確実な方法であり、環境面における水問題の持続可能な解決法にも繋がります。①急峻な斜面の太陽光パネル(土砂災害激化&産廃化)、②巨大台風に耐え得る風車(破損&産廃化)、③CO2を地中に埋設(活断層刺激リスク↑)、④原発の再稼働や新設(愚の骨頂)…といった対策は全てNGです。ちなみに、これらは全て世界中に格差をばら撒くグローバル企業群のビジネスです。

 また、浩宮殿下が最も気に掛けておられた、途上国において水汲みの負担が女性や子供に集中するという不平等を是正する方策についても、以前「今上陛下のライフワーク「水問題」についての一考察」で解決法を提案させていただきました。ご参照ください。 

(結)に続く。

文責:京都のS

2 件のコメント

    京都のS

    2023年6月4日

     殉教様、ありがとうございます。
     地球環境問題の元々の動機は化石燃料の使用量を抑制することでしたが、産業革命以降の流れは加速するばかりで、枯渇も心配されたため、化石燃料の使用そのものを悪とする説をばら撒くことにしたわけです。それが「CO2温暖化説」の正体だと思われます。
     こうした妄説としての「CO2温暖化説」を潰しておかないと『ゴー宣SP脱原発論』で描かれた脱原発策の一つである粉末石炭(化石燃料)の使用も不可能になりますからね。
     また地球温暖化説とは、化石燃料の使用を世界規模で抑制させ、ごく一部の人間「だけ」が氷河期に突入した後の地球で生き残れるように化石燃料を残しておこうとするものではないかと私は考えています。ごく一部の人間とは地球上の富の99%を握るスーパーリッチたちです。まぁ、これを言うと(ゲイツの人口削減論なみの)陰謀論だと言われかねませんが(笑)。それでも、やがて間氷期が終わることだけは事実なのです。そんなわけで氷河期突入直前に生まれた子たちは問答無用で「時代ガチャ」敗者ですね…。これは「千代に八千代に」の限界点であり特異点です。
     さて、児童労働もSDGs案件ですね。「子供には教育を受ける権利がある」は裏を返せば「国には子供に教育を受けさせる義務がある」ってことです。国家が国民の人権(自由・平等)を保障するのが近現代立憲国家です。ただし完全平等(平等の過剰は平準あるいは悪平等)を求めたマルクス的社会主義という方法論は挫折しました。また完全自由(自由の過剰は放縦)を求めるフリードマン的新自由主義も破綻しました。西部師匠の教えでは、平等と格差の間で平衡を取って生まれるのが公正、自由と規制との間で平衡を取って生まれるのが活力、博愛と競合との間で平衡を取って生まれるのが節度ですが、社会主義(完全平等)と新自由主義(絶対自由&過剰競合)との間で平衡を取る中で見出されたのがケインズ主義(財政政策&金融政策&産業政策で完全雇用を目指すもの、企業活動(※外資は規制する)の自由と労働者の平等との平衡)だと私は考えます。これこそが活力と公正と節度をもたらすとも私は考えます。ただしケインズ主義は資源的な持続可能性が保証されないという反論も成り立ちますが、上記したようにCO2温暖化説が間違いなら、化石燃料の節約や今現在降り注ぐ太陽光の効果的な使用ぐらいしか道はありません。それこそ植物が育ちやすい日本のような国土で(潜在自然植生に適合した)植物を大規模に育て、木質バイオマス発電みたいな技術を伸ばすことなどです。こういうものに政府が予算を付けるなら効果的なケインズ主義になると私は思うわけです。

    殉教@中立派

    2023年6月3日

     なるほど。「CO2を減らすという数値目標」を固持するのではなく、ものごと(温暖化)の原因を正しくとらえ直す、という試みですね。「ワクチン接種回数は、一日○○人を目指す」「検査陽性者を○○人まで減らせ」「(毛沢東・大躍進政策のとき)鉄の生産量グラフを○○まで伸ばせ」・・・その数値目標で「何を達成する・具体的にどんな得があるか」を示さなければ、ロクな結果になりませんね。
     自分は「三浦瑠璃のせいで、太陽光はオシマイだ。ドイツの脱原発も失敗したし、ウクライナ発のエネルギー危機もある。原発再稼働しかないのだろうか?」と悩んでいたので、代案を出して下さり、ありがたいと思いました。

     児童労働については、ボリビアのように「キッチリ法制化」しているなら、まだマシでしょう。ただ現実は、立場の弱さから搾取される機会が多く、確かに解決すべき課題でしょう(南米のスラム街・日本の障碍者雇用の中にも、時給百円などのトンデモ雇用があります)。
     児童労働が多い地域と、ビルゲイツの指摘する「多産多死の傾向がある地域(だから、人口の抑制が必要だ)」は、やや被っていますね。親からすれば「うちは農家だ。労働力確保の為に産んだ我が子を、学校に行かせるわけにはいかない。家が傾く。」という考えであり、人権団体は「子供には教育を受ける権利がある」と説得します。
     教育は「国の未来への投資・利益を後から回収」するのが前提であり、児童労働は「目先の問題解決・利益を今すぐ得る」という違いがあります。エゴを取るか・公共心を取るかという問題は、ここでも顔を出すようです。
     以上のように、児童労働には「一理ある」所も多いので、撲滅は容易ではないし、100%撲滅というのも(イラク戦争的な)押し付け民主政治・大きなお世話なのかもしれません。それでも今上陛下のお気持ちを考えると、何らかの対策が必要なのは、同意します。

コメントはこちらから

全ての項目に入力が必須となります。メールアドレスはサイト上には表示されません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。