中編におきましては、「なんとなく皇室肯定派」の特性をあえて整理し、それに反証するための指針を示しました。
それで、ではどのように反証するのか?について自分が現段階で思っていることを以下に示します。
『沈黙の艦隊』という漫画をご存知でしょうか?
この漫画では日本主導でアメリカと共同で建造された原子力潜水艦が、日本にもアメリカにも属さない
「独立原潜国家 やまと」を名乗り、全世界を巻き込む形で「国家とは何か?」ということを提起しております。
ここで引用しましたのは、「やまと」を国家として認めるか否かという、まさに国論を2分するような懸案事項で、
日本における選挙が行われた話があったからであります(一応書いておきますが、「皇統問題」は国論を2分しません)。
そこで興味深かったのは、以下のことです。
・連載当時(1992年)、衆議院選挙における投票率は70%以上という高い水準にあったにもかかわらず、ここではさらに投票率を上昇させ、投票率を90%以上に想定していたということ。
・また、作品中では2大政党がベストである、ということを作中の人物が唱えていたが、(作者の意図に反して)実際この選挙では過半数に届いた党はなく(最大で30%)、この中で4つの勢力が様々な駆け引き・協力を経て首相が決定されたということ。
自分は、この中に1つヒントが隠されているような気が致します。
すなわち、現在のように投票率が55%以下というのは、民主主義としては危機的な状況にあり、柔軟な議論はかなり制限されていることを意味しております。
逆に、投票率が上昇するということは、中間層が増大するということにつながり、議論の柔軟性が確保されると思われます。
そして、ある政党が単独で過半数を取れないということは、政策のたびにそれぞれ接点を見つけて方向性を決めなければならない、ということになるかと思います(特に「皇統問題」は、確実にそのような性質の議題になると思います)。
この時に、国民がその時の流れでどちらかに触れるような単純な振舞さえしなければ、政治家も真の意味での“輿論”を無視することはできないのではないか?ということでございます。
そういう意味では、反証のための理論武装はもちろん重要ですが、それに加えて究極的には、「天皇制は必要である!」という信念に裏打ちされた“熱量”を伝えていくことこそが、国民の務めになっていくのだと思います。
その胎動は「愛子さま 皇太子の道」おける、例えば下記のようなブログなどで既に始まっているかと思います。
軟体社長さま
ただしさま
そして、あえて定式化します。
すなわち、国民の”熱量”を政治家に伝達する→政治家は、中間層に”自分ごと”の問題として考えられるように政治の争点を語りかける→中間層は投票という行為を通じて、自分達の代表を自覚的に選ぶ。
「中間層」を動かすことには様々な困難があると思いますが、もしも”公論を形成する”という少し覚悟を持った人々が1000人くらい存在するのならば、このような閉鎖系で、国民の熱量はあたかも熱力学の第一法則のように伝達・拡散され、ループを形成していけるのかもしれません。
以上でございます。
これはあくまでも試論でありますが、「天皇制は必要か?」ということについて自分自身の現時点における考えを示すことに意義を感じ、試みた次第です(ですので、これからも思想形成トレーニングによってアップデートされていくだろうと)。
そして、何よりも自分は、皇室典範が改正され、皇位が安定継承されることを望むものであり、その第一歩として、“愛子さまを皇太子に!”
参考文献
かわぐちかいじ 1992『沈黙の艦隊 16』(モーニングKC)講談社
三春 充希 2019『武器としての世論調査』(ちくま新書)筑摩書房
文責:大阪府 基礎医学研究者
15 件のコメント
基礎医学研究者
2021年9月15日
ただし様
コメント、そして過分なお褒めの言葉、ありがとうございました。自分も最終的にはやはり、「信念」に裏打ちされた「情熱」だと思っております。そして、愛子さまを皇太子に!
ただし
2021年9月15日
ある程度の人数と、熱量も、理論武装と同じく、必要になるということが、よく分かりました。理路整然とされていて、知的誠実さも備えておられ、また情熱も感じられ、頭の中にスッと入ってきます。
改めて、基礎医学研究者さんは凄い方だと思いました。
頭の中が整理整頓された気持ちです。
どうも、ありがとうございました。
愛子さまを皇太子に!
情熱を持って、語っていきましょう!
基礎医学研究者
2021年9月14日
京都のS様
(何度もありがとうございます)。Exactly!!その通りでございます。まさにお伝えしたかったことはその事で、読み取っていただき、感謝致します(やはり、熱量は第一法則(≒エネルギー保存の法則)に従い、発散させずに閉鎖系で伝搬するが良いかと(^_^)。
urikani様
コメントありがとうございました。いや、とんでもございません。「沈黙の艦隊」に関しましては、みなさんtとののコメントのやりとりだけでも見ていただければと(m_ _m)。そして、文意を読み取っていただき、ありがとうございます。今回、まだ自分が不十分であることは承知で「続・天皇制は必要か?」について書いてきましたのは、1人で書ききることにより、自分の思考形成を鍛えておきたかったのが1つの理由でございます。そして、こうして書いて思いますのは、”天皇制”についてはもちろん歴史の理論武装がベースになりますが、最終的には「信念」に裏打ちされた「熱量」による「合体ロボ主義」なのではないか?このように、思う次第でございます(m_ _m)
urikani
2021年9月14日
基礎医学研究者さま、三部作ありがとうございましたm(_ _)m
「沈黙の艦隊」は読んだこと無いのですが( ̄▽ ̄;)
リベリべは読みました。
中間層にどうにか関心を持って頂く為にも、声を上げ続けましょう。
京都のS
2021年9月14日
熱力学の第二法則は「エントロピーは増大する」=「無秩序化する」です。天皇制が終了すれば日本は無秩序化します。それで喜ぶのは国内外のグローバリストだけです。中島みゆきの「宙船」の一節「お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな♪」が思い出されます。
我々は「第一法則」的に熱量を上げ、そこから生み出される内圧をパワーに変えるしかありません。
基礎医学研究者
2021年9月13日
かずず様
コメントありがとうございました。「日本人は、まだ国民になっていないのが現実なんだな」。確かに。。。それは、一理あるのかもしれません。この点については、先のコメントで京都のSさんが詳細な分析をしてくれましたが、自分も、かずずさんが言われるカテゴリーに特に該当するのは、ここで定義させていただきました「なんとなく皇室肯定派≒中間層」であり、これは「能力」や「社会的立場」とは関係ないのだと思います。あえて関係することを挙げるのならば、それは歴史・伝統を感じ取れる「常識的感覚」と「信念」であり、それが「公論を形成すること」の土台になるのではないかと、思う次第でございます(現段階では、このように思います)。
京都のS様
再度、貴重なコメントありがとうございました。今後におきまして、大変参考になりました。まず、「沈黙の艦隊」につきましては、私見では、“思想の深さ”および“主張の明快さ”においては、「戦争論」の敵ではありません。ただこの漫画、一方でいろいろ実験的な試みもなされており、独立原潜国家「やまと」をめぐる選挙の話は、ここで論じるのに良い題材であったと思います。また、「銀河英雄伝説」につきましては、導入を与えてくださり、感謝致します(機会がありましたら、読もうかと思います)。そして、“熱量”の調節については、なるほどと思いました。確かに、これが調節されていないと、うまく伝搬されませんよね(^_^;)。いずれにいたしましても、自分の中では少し議論が深まった次第でございます。
京都のS
2021年9月13日
民主主義論から離れますが、なのフェイ様が言及された「銀河英雄伝説」で最も悪い奴らは、銀河帝国皇帝でもフリープラネッツ主戦派でもなく、フェザーン自治領に居る武器商人どもだと私は考えます。我々の暮らす現実世界で言えば、タックスヘイヴンに居るグローバル企業群の経営陣や大株主らです。コロナ禍も自粛禍もワクチン禍も全てショックドクトリンとして利用され、スーパーシティを始めとするデジタル支配も進んでいます(デジタル・ファシズム/堤未果/NHK出版新書)。問題山積すぎてナショナリストも皇統問題に進みづらい状況かもしれません。それでも、眞子様の結婚を画期として優先順位は皇統問題にシフトしたのかもしれません。
京都のS
2021年9月13日
基礎医様、返信ありがとうございます。「(自衛隊を国連の指揮下に置くという)政軍分離」、「世界社会主義」、「(保険のシステムを導入した)世界規模の軍備永久放棄」という世界は大問題ですね。まるでコスモポリタンが思い描く世界連邦主義のようです。一歩間違えばグローバリストに利用されつつ管理社会的ディストピアへ転落し、裏の支配者はタックスヘイヴンに居るスーパーリッチって状態になります。それに対して「あくまでも“国家”という単位で公を考える」、「利害関係の一致した国家同士で安全保障を考える」はナショナリズムからのインターナショナリズムです。でもアメリカ様への強い依存を志向した時点でアウトですが…。
「熱量」ですか。ゴー宣道場は公論の核となることを目指していますから、我々こそが最も強い熱源になりたいものですね。熱に浮かされやすいジャパニーズ・パンピーが一緒に乗れるような熱を。そのファナテッィクな熱のコントロールが最も難しいのですが。
かずず
2021年9月13日
日本人は、まだ国民になっていないのが現実なんだな。と思いました。
基礎医学研究者
2021年9月12日
京都のS様
貴重なコメントありがとうございました。まず、「沈黙の艦隊」につきましては、京都のSさんが言われております“「竹上総理は案外したたか」みたいな展開”で充分かと(^_^;)。実はこの選挙の各党の政策に、「(自衛隊を国連の指揮下に置くという)政軍分離」、「世界社会主義」、「(保険のシステムを導入した)世界規模の軍備永久放棄」など、私見では結構「問題」のある政策が多い気が致します(その一方で候補の1人、最大のライバルである海渡一郎幹事長が唱えた政策、「あくまでも“国家”という単位で公を考える」、「利害関係の一致した国家同士で安全保障を考える」というのは、今からみると一番成熟した政策であると思われるのですが(しかし、ここに「自主防衛」の概念がなく、「アメリカとの強い共存関係」と言われたのは、ちょっと残念でしたが)。閑話休題。
さて。。。おっしゃられること、非常に考えさせられました。現段階では、京都のSさんが展開される論考に反証することは容易ではありません(そのぐらい的確な指摘かと思います)。しかし、「世間」をはじき返せる可能性のある強いリーダーシップを持った政治家集団が出てくるためにも、最後に定式化しましたような「熱量」の起点は、必ず必要なはずだと思うのです(まだ練られておりませんが、自分としては一歩、議論が深まったと思う次第でございます。感謝致します)。
ダダ様
いつもながら、コメント恐縮でございます。「沈黙の艦隊」についてダダさんが言われている部分は、国連で海江田四郎 やまと元首とニコラス・ベネット アメリカ合衆国大統領が二人で激論を交わしている場面でございますね。確かに、このような考え方は重要で、“物事そう単純ではないんだよ”、という成熟さを感じさせますね。そして、「皇統問題」はグレーではなく歴史・伝統に培われたはっきりした“回答”があるはずですが、ダダさんが言及されたこの部分。“政党が大切にしている上客はいずれこの世を去ります。いまから最大多数派の中間層(支持政党なし)に問題提起をしないと、数年後、ニヒリズムは更に膨張していると懸念します”非常に勉強になりました(一歩、議論が深まったと思う次第でございます)。
jacker様
コメントありがとうございました(jacker様の「野球ネタ」の論考では、いつもお世話になっております (m_ _m)。おっしゃられる通りかと思います。そして、正しい「知識」と「信念」を持った声の束が、大きな“熱量”となって伝搬されることを信じるものです。
ねこまる様
コメントありがとうございました。また、「沈黙の艦隊」についても、触れていただきありがとうございます。確かに、そうでございましたね。ねこまるさんのコメントを見て私、本日、東海ゴーセン道場が開催されておりますが、昨年の東海ゴーセン道場における「嵐を呼ぶ質疑応答」で同様なことが議論されたことを思い出しました(m_ _m)閑話休題。
さて、今回だけでなく自分の「続、天皇制を考える、あえて「皇室終了派の思考を考え、反証する」はまだまだ試論でございますが、ねこまるさんの言われる最終部分“まずは「中間層を揺さぶれ!」ですね”には、激しく同意でございます(それが、困難な道であることは重々承知しておりますが)。
なのフェイ様
コメントありがとうございました。「銀河英雄伝説」、自分はまだ読んだことはないのですが(噂には聞いているのですが(^_^;))、それはなかなかの卓見でございますね。選挙制度に関しては、警戒感を持っていないと民主主義を一部の人に都合よく利用される“アブナさがありますよね(現にアメリカなどは、大統領選で高い投票率を誇っておりますが(2020年は70%くらい)、これは有権者登録制度(要は、投票するためには事前登録が必要で、満18歳以上になったら、誰でも有権者になれるわけではない)という日本には存在しない制度があるため、と言われており、おそらく本当の投票率は50%を切っていると言われております)。しかし、幸い日本にはそのようなことはなく、なのフェイさん言われるように、投票者がきちんと行動すれば(熱量が伝えられれば)、”愛子さま 皇太子への道“は近いと思われるのですが。
なのフェイ
2021年9月12日
銀河英雄伝説にも、似た話が有りましたね。有権者の内、何人が投票に行ったか❓投票率が低ければ、少人数でも大人数を制する事になり、これが国の政策になる。正にうるさい常識のない少人数の人間、女性は天皇には成れない人たちの思い通りになって、います。国民の大多数は、愛子さまが皇太子になるべきだと、思っています。国民みんながもう一歩、いやもっと関心を持ち愛子さまを皇太子に❗
ねこまる
2021年9月12日
『沈黙の艦隊』は、カリスマに縋るな自分で考えろ、というラストだったと記憶しています。
国民1人1人が「天皇制を守りたいか?」という問いに向き合わなければ、皇室は絶えてしまうでしょう。まずは「中間層を揺さぶれ!」ですね。
jacker
2021年9月12日
愛子皇太子を頂くには我々一人ひとりが声をあげなくては!!!
ダダ
2021年9月12日
沈黙の艦隊、読んだことあります♪
政治には黒か白の決定しかないが様々な状況がグレーを見せている。という旨のセリフがあったと記憶しています。この考えが好きで、自分の決断に置き換えています。(皇統については声を上げるか上げないか)
政党が大切にしている上客はいずれこの世を去ります。
いまから最大多数派の中間層(支持政党なし)に問題提起をしないと、数年後、ニヒリズムは更に膨張していると懸念します。
その時に社会的動物である人は権威を求めます。皇室と共に在り続けるには国民側の研鑽も必要ですね。
京都のS
2021年9月12日
後編の試論を興味深く拝読しましたが、これは非常に厳しい戦いになると考えます。コロナ禍で露呈(自粛圧・ワクチン圧)したように、いや大東亜開戦前(ほしがりません勝つまでは・愛国婦人会・出征前の万歳)にも既に見えていましたが、世間で醸成された空気を読み合って行動指針を決める日本人は容易に世間ファシズムを形成してしまうからです。「ゼロコロナー!」と「鬼畜米英!」は似通った成分です。これほど不安定な行き方で世論形成してしまう日本人に、「天皇制を存続させるためには『直系長子優先の双系継承』という正解を皇室典範に盛り込むしかない」と中間層(無党派層)に理解してもらうのは至難の業です。天皇制を滅ぼしたい赤いファシストや、「天皇なんて居なくてよくね?」と言いがちなグローバリスト、そして熱心な因習護持派がマスコミに登場して「それっぽく」喋れば、コロナ自粛禍がショックドクトリンとして作用している日本社会では、個人個人の正しい判断なんて期待できない気がするのです。個人主義的な国民が多く、二大政党制の先輩(笑)である米国だって苦労しているのです。憲法も法律も不備な上に世間ファシズムという病理にも苛まれる日本では、最も大事なこと(天皇制や憲法)を決めるために民主主義が正しく機能するようには思われないのです。かなり絶望感が強いです。
「沈黙の艦隊」は途中までしか読んでいません。「竹上総理は案外したたか」みたいな展開までです。申し訳ありません。