【論破祭り】施光恒氏は、学者ならもう少し自分で調べ考えよ

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九州大大学院教授の施光恒氏による「『愛子天皇』待望論の危うさ」という記事が、産経新聞に8月29日付で出ていました。

読んだ感想ですが、ネトウヨの主張と変わらず、「学者なのにこれ?」と呆れかえってしまいました。

施氏の主張をまとめると、以下の3点になります。

  1. 皇統は男系でつないできたのであり、歴史上8方10代いた女性天皇は中継ぎで例外
  2. 男系継承はその時々の権力者に皇室が政治利用されることを防ぐため。また、女性天皇と皇配の間に生まれた子が皇位を継ぐと、「易姓」で血統が変わる。
  3. 愛子さまのご即位を進めれば、国民の間に大きな分断が生じる。

このうち1については、最近の歴史学の研究により女帝中継ぎ説が否定されるほか、『大宝令』、『養老令』に女系を公認する規定が含まれていることが明らかになっています。
また、3についても、各種世論調査により大多数の国民が女性天皇・女系天皇を支持していることは明らかで話になりません。
そのため、ここでは2に絞って反論したいと思います。

(1) 女性だけが男性に利用されるのか?
施氏の2の主張は、女性は男性よりも劣るという男尊女卑意識が丸出しですが、では本当に女性だけがうまく利用され、男性にはその心配がないと言えるでしょうか?
ハニートラップに引っ掛かった男性と言えば、橋本龍太郎元首相がいます。
彼が中国の女性工作員と関係を持ち共産党に弱みを握られた話は、多くの人が覚えているでしょう。
その他にも、中国共産党のハニートラップに嵌った男は大勢います。
https://www.news-postseven.com/archives/20140826_269773.html?DETAIL

これでも、一般論として女性の方が利用されやすいと言えるのでしょうか?

(2) 王朝交代説は男系固執派へのブーメラン
皇室には姓がないので、「女性天皇と男性の間に生まれた子は男性の姓を継ぐから、その子が皇位につくと『易姓』で王朝交代になる」と言う説は的外れなのですが、それだけでなくこの男系派の主張に沿うと、旧宮家系男系男子の皇籍取得も認められないことになります。

施氏は、井上毅の『謹具意見』から引用して「源の某という男子が送り込まれた場合、その男子の子供の世代から易姓が生じたと認識され、『源朝』と目されてしまう恐れがある」と主張していますが、「源」は臣籍降下した元皇族に与えられる姓です。
つまり、臣籍降下し姓(現代では名字)を持った旧宮家系男系男子に皇籍取得させて皇位につけた場合も、天皇の姓が変わり王朝交代となってしまいます。
実際『謹具意見』を読むと、井上は、臣籍降下した元皇族に皇籍取得させて皇位を継承させることに否定的であることが分かります。
さきほどの王朝交代説からもそれが伺えますが、それ以外にも、井上は『謹具意見』の中で皇胤の確保について「種々ノ方法アリ」としながら、「諸王家ヲ華族トスルノ類ハ此ノ必要ニ反對セルガ如シ」としています。
明治の皇室典範制定者は、皇位を男系男子に限定するとともに、華族となった(=臣籍降下した)

元皇族は皇胤ではないと否定しているのです。

男系固執派の大好きな「王朝交代説」ですが、これは自身へのブーメランであることがお分かりいただけたでしょうか?

施氏は、学者ならもう少し自分で調べ考えたらどうなのでしょう。

東京都 りょう

4 件のコメント

    殉教@中立派

    2022年8月31日

    歴史の豆知識的な箇所は、よく分からないが・・・
    それでも「王朝交代」については、(民主政システムの都合上)「国民達の意識」も無視できないだろう。どこの馬の骨とも知らない男子が、いきなり皇族になったら・・寧ろ、そちらの方が国民たちを動揺させるのでは?という事くらい、一度シュミュレーションして欲しいものだ。聖域性、君臣の別・・それを守る仕組みがあってこそ、皇室は特別な「権威」となるのだから。

    れいにゃん

    2022年8月31日

    千年以上の前の源氏物語でも、臣籍降下した光源氏は太政大臣に登り詰めてもそこまで。皇籍復帰して即位して、めでたしめでたしとはなりません。物語の中ですら、君臣の差はそれほど厳密なものです。

    京都のS

    2022年8月31日

     橋本龍太郎元首相の一件は1996年のことでしたか。そう言えば『本当に日本人は流されやすいのか?』の中で施氏は、朝日新聞の1997年元旦社説を引用した章を設けています。橋本首相(当時)に行財政改革の断行を強く促す内容でした。この改悪は日本国の弱体化に帰結し、バブル期のジャパンバッシング(日本叩き)から崩壊後のジャパンパッシング(日本スルー)をもたらし、この一件は米中合作の陰謀だったのではないか?とすら思えました。「本当に女性は流されやすいのか?」と問われれば、「男の方が圧倒的に流されやすい!」と即答します。

    京都のS

    2022年8月31日

     明治典範制定時に男系派の権化だった井上毅の理屈でもって現代の旧宮家系男系子孫の皇籍復帰(新取得)を否定する道筋が素晴らしいですね。ホント特大ブーメランです。

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