立憲民主党の論点整理を考える

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立憲民主党は3月12日、安定的な皇位継承に関する検討委員会論点整理を発表しました。

※こちらからダウンロードできます
安定的な皇位継承に関する検討委員会_論点整理.pdf

8ページの論点整理を確認していきます。

「はじめに」で、上皇さまの平成28年8月の「象徴としてのお務め」のお言葉から「退位特例法」の成立までを書き、法の成立でもカバーしきれなかった安定的な皇位継承について「避けては通れない」と書き、そしてこの論点整理を出すまでの経緯を書かれています。

全体を読んだ印象ですが、この「はじめに」の最後に書いてある

以下、附帯決議で明示的に要請されていた「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について、広く国民に理解と関心を深めていただき、特定の結論に誘導することにつながらないよう留意しつつ、想定される様々な方策や憲法上の課題点を示すことを中心に、今後の議論に供するための論点整理を行ったので、公表する。

とあるように、附帯決議に応えているかどうか?という視点で書かれているように考えられます。
(この視点で考えるのが当然なのですが…)

1 有識者会議報告書に対する評価と対応として、

退位特例法の附帯決議が政府に検討を要請したのは、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」である。しかし、有識者会議報告書では、「悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられます」と記載され、安定的な皇位継承という先延ばしできない課題を先延ばしし、皇族数の確保についての方策を示すにとどまっており、また「女性宮家の創設等」についての明確な結論も示さず、附帯決議の要請に十分に応えているとは言えない。

と有識者会議報告書の「ゼロ回答」を批判し、

附帯決議が国会に要請した「安定的な皇位継承を確保するための方策」を正面から検討し、「立法府の総意」として一定の結論をまとめることが必要である。

と、国会での議論の必要性を述べています。

2 議論の視点として
ア 退位特例法に対する附帯決議の要請の遵守
イ 憲法適合性の検討
ウ 立法府としての責務
エ 歴史と伝統の尊重 をあげています。

特にウに書かれている

単に報告書に記載された案を追認するのではなく、国会としての主体的な議論の提示と合意が必要である。

ここは他の党もしっかり確認していただきたいところです。

3 女性宮家の創設等について で、

野田内閣の論点整理で

(Ⅰ)「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする案」
(Ⅱ)「女性皇族に皇籍離脱後も皇室の御活動を支援していただくことを可能とする案」

(Ⅰ-A)案として「配偶者及び子に皇族としての身分を付与する案」
(Ⅰ-B)案として「配偶者及び子に皇族としての身分を付与しない案」

が示されていたが、「令和の有識者会議報告書」では(Ⅰ-B)案のみの検討なので(Ⅰ-A)案を含めた検討が必要であると書かれています。
(そりゃそうだ)※(Ⅱ)案は検討しない

その後、案の主だった賛否を述べていますが、

(Ⅰ-A)案に賛成する理由
〇一家全体として、皇族としての処遇を受けることとなり、皇室の御活動においても、当主である女性皇族単独の御活動に加え、御夫妻としての活動も可能となり、皇室の御活動を円滑かつ幅広く分担していただくことができる。

いう意見があるものの、

(Ⅰ-A)案に反対する理由
〇配偶者や子に皇族の身分を付与することは、将来の女系天皇につながるおそれがあり、男系で 126 代継承してきた皇室の伝統を破壊するものである。

と、男系固執派の顔色を見たものもあります。

が、その後(Ⅰ-B)案は憲法上の問題があることを列挙し

(ア)「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本」とすると規定する憲法第 24 条第 1 項との整合性
(イ)配偶者や子を皇族としない場合、政治活動の自由など、基本的人権を制約できるのか。制約できないとすると不都合が生じないか。また、家族の財産関係はどうなるのか
(ウ)一般女性が男性皇族と婚姻した場合、皇族の地位を得ることになることとの整合性(憲法第 14 条第 1 項の平等原則「すべて国民は、法の下に平等」との整合性)

議論が必要と書いてます。
(議論したら問題だらけですね)

4 旧 11 宮家男系男子から養子を迎える案について がありますが、
冒頭に

この案については、まず、現実的に養子の対象となり得る方がおられるのかを、その方の意思とともに、慎重に確認した上で、制度設計の議論に移らなければならないと考える。

と書いて、未だに誰一人噂すら立たないこの案の実現性を疑問視し、そして憲法学者から定義された憲法上の諸課題
・憲法第 2 条が要請する皇位の「世襲」になるのか(竹田恒泰すら「違う」と言っていた。こちらをどうぞ)
・門地差別を禁じた憲法第 14 条第 1 項に反しないか(こちらをどうぞ)
・旧 11 宮家の男系男子に限定して養子を選ぶことは、皇統に属する男系男子間で平等原則に反しないか(門地差別と同様こちらをどうぞ)

これらがクリアできるかの議論が必要と書いています。
(すでにクリアできないですね)

最後に
5 今後の議論の進め方として、

 先の退位特例法の制定の際には、衆参両院議長の下、与野党が協議を重ね、「立法府の総意」を取りまとめる画期的な立法プロセスが採られた。今後の皇位の継承に関わるこのたびの立法においては、よりいっそう与野党が真摯な議論を行い、一致点を模索していかなければならない。

と書いています(変な「間を取って」の一致点にならないか心配)

ただ

有識者会議報告書は、あくまで国会での議論に資するためのものであり、それをもってただちに結論とすべきではなく、安定的な皇位継承確保のために考えうる様々な方策を含めて、「国権の最高機関」である国会が主体的に論点を整理し、建設的な議論を尽くさなければならない。

と、「報告書追認」にクギを刺し、国会での議論が大事と掲げ、

 わが党は、この論点整理を基に更なる検討を行うとともに、決して政争の具にすることなく、憲法の基本原理と立憲主義を尊重する立場から、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、「全国民を代表する」立法府の一員として、国民各層の議論の尊重、国民の合意形成を図りつ
つ、引き続き、最大限の努力を重ねていく

立憲主義の尊重、国民各層の議論の尊重、国民の合意形成を考えていると書かれていて、
女性・女系天皇公認と書かれなかったものの、憲法違反にならない、皇室と国民の大多数が願っている

愛子さまを皇太子に

につながる論点整理になっていると私は考えます。

安定的な皇位継承を妨害する源馬謙太郎議員や藤岡隆雄議員などにもっとプレッシャーをかけ、国民の側から、もっと大きな声を届けることが必要だと感じ、
尊皇派議員を応援し、皇位継承問題にあまり関心がない国会議員(これはこれで問題)にもより一層働きかけていきたいと強く願いました。

皇位継承問題は時間が限られています。喫緊の課題であることを十分意識しながら、これからも活動してまいります。

長くなりましたが、立憲民主党の論点整理を紹介しながらの私の考察です。
泉健太代表、論点整理を作成された野田佳彦検討委員会委員長、立憲民主党のみなさま。

どうもありがとうございました。

文責 愛子天皇への道サイト運営メンバー ふぇい

安定的な皇位継承を願い、立憲民主党に意見を送った頂いた皆さまありがとうございました。

ぜひ、立憲民主党の論点整理をよんで想うことを、コメント欄、メールなどで教えてください(^^)

5 件のコメント

    SSKA

    2024年3月13日

    纏めありがとうございます。
    本来これは与党が小泉政権から引き継いで自ら行わなければならないものを偽のでっち上げ有識者会議に逃げ、蔑ろにされた状態だったのを野田氏が元総理として代わりに纏め上げたもの。
    以下で紹介された記事の通り野田氏が下野後も与党精神を失わず国民議論の正しい道筋を示す事を重要視されているのが伝わって来ます。
    https://aiko-sama.com/archives/36536
    長年安倍や自民によって闇に葬られて来たものが公の政党から具体案として世に出た事で一般に解りにくい皇統議論が克明になった意義は非常に大きいと感じました(議論の存在しない令和会議は論外)。
    個別に注目したのは(Ⅰ-A)案賛成理由の4,5項で扱いは一意見ですが、特に4「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を有するのは、その方自身の血統に着目しているためであり」女系も正統と表現され、また5にて女性・女系とを分かつ事で妨害する男系の主張を否定している点です。
    密室分断によって一部の人間で進めようとした自民案を否定し国民問題として開かれた議論を目標とする姿勢は党名と合致している事もあり大いに評価したいと思います。

    fei

    2024年3月13日

    ふぇいでございます。

    新しくブログを作成したので、
    こちらをご覧ください。
    これからも声を上げ続けましょう!
    https://aiko-sama.com/archives/36723

    JACKER

    2024年3月13日

     一見すると八方美人かつ玉虫色のように思えますが、私としてはよくまとめたのではないかと思います。まず、I-B案には賛成がありますが一方で憲法上などの問題点もはっきりと記載されており旧宮家に至っては問題点しか記載されていません。
     I-A案の賛成意見の中には、女性皇族が継承するならばという女性・女系天皇を前提とするようなものも記載されているためこの点はあまり目立ちませんが評価するべき点だと思います。
     この論点整理でいけば、現実性や正当性でもI-A案しかないのは明白になってくるでしょう。自民党など与党がもたついている今、むしろこの論点整理を前面に出して立憲民主党が議論をリードするくらいの気概をもってもらいたい。

    突撃一番

    2024年3月13日

    八方美人になりすぎ。
    スタンスを明確にしない立民らしい、玉虫色の表現だ。

    俺の目から見るとどうしても、「まだまだ甘い! やる気あるのか?」と思ってしまう。

    変な奴等に忖度して、変な方向に流れていかないよう、厳しい目で見ていこうと思う。

    ふぇいさん、貴重な情報ありがとうございます!!

    ありんこ

    2024年3月13日

    お知らせありがとうございます!後ほど立民等にメッセージを送りたいと思います!d(˙꒳​˙* )

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