【論破祭り】これが保守やナショナリストの態度でしょうか?~施氏の記事への意見投稿

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やっと送れました。
産経記事の感想を。報告まで。
クッソ長いですわ(笑)。  

 貴紙の8月29日に掲載されていた「施光恒の一筆両断・『愛子天皇』待望論の危うさ」を拝読しました。施光恒氏は『本当に日本人は流されやすいのか?』や『英語化は愚民化』など日本のグローバル化を憂う著書を世に問い、本物の保守思想家だった故西部邁氏の高弟でもあることもあり、私は氏を尊敬しておりました。しかしながら
私は、前掲の記名記事を拝読して失望しました。理由を以下に詳述します。

 『本当に日本人は流されやすいのか?』には氏が朝日新聞1997年元旦社説を引用する章があり、その内容は以下のようなものでした。重層的な日本文化は井戸水に例えられ、それは西洋化された意識の第1層、武士道的な儒教文化の第2層、神道的・シャーマニズム的な無意識的な第3層です。当該記事で朝日記者は、第2層や第3層が噴出して軍国主義的な動きに繋がらないように多国間の相互依存度を高めるべしとして行財政改革を橋本龍太郎首相(当時)に強く促したわけですが、施氏は過度のグローバル化を徹底批判していました。これには私も大いに賛同します。小泉政権(郵政民営化・TPP…)から民主党政権(事業仕分け…)を経て安倍政権(水道法・移民
法…)に至るまで、国柄を破壊するほど急進的なグローバル化やネオリベ改革が進められる過程を目撃し続けてきたからです。

 さて、ここで施氏は第1層批判のために第2層(武士道的儒教文化)と第3層(神道的慣習)とを区別しておられませんが、実は第2層と第3層との間にも深い断絶があり、その断絶が最もよく現れる事象が家族の在り方です。近世以来の武家や豪商・豪農の家では嫁入り婚が一般的ですが、中世の一時期までは婿入り婚、古代では通い婚が普通でした。記紀神話を読めば分かる通り神々も天皇も女子の寝所に通って契りを結ぶシーンが多く、2024年の大河ドラマ「光る君へ」の舞台設定である平安貴族も通い婚です。そして、戦国武士の規範として朱子学が取り入れられる室町末期までは婿入り婚が普通だったとの研究結果も出ています。つまり、第2層とは朱子学(漢意:からごころ)であり、第3層こそが日本古来の国柄(大和心:やまとごころ)だと言えます。つまり朱子学的男系主義は日本の国柄ではないのです。保守言論人的にエドマンド・バークの時効(長く続いてきたことには価値がある)を持ち出すなら、400年の漢意(朱子学)より2000年の大和心が重いはずです。「死者も含めた国民の総意が大事」だと言うなら、これはGKチェスタトンの言う「死者の民主主義」(膨大に居る死者たちの意思も現代の政治的意思決定に反映させるべき)を意識した言葉でしょうが、やはり「2000年の大和心>400年の漢意」が正しい行き方のはずです。

 それでは結論です。現行典範下にあっては、皇位継承が可能な候補者は常識的に考えれば弟宮の秋篠宮様とそのご子息である悠仁様のみです。この皇統断絶の危機に際して男系派と呼ばれる施光恒氏のような方々が出してこられた案が旧皇族の皇籍復帰案(戦後の臣籍降下後に生まれ、一度も皇族だったことの無い方が対象なので、正確
には旧宮家系国民男子の皇籍新取得)です。これは医学的(どれだけ医学が進歩しても男女の産み分けは不可能)にも法体系的(伏見宮系に限って皇族になれる制度になれば法の下の平等に反する)にも無理筋です。外国の王室で女性君主が増えているからという「井戸水の第1層」を根拠としているのではなく、日本古来の国柄(第3層)
に戻るべきだと言っているのです。つまり、女帝が多く立った古代の日本に還るべきだと私は考えており、愛子様が立太子して即位できるように皇室典範を改正すべきだと考えます。旧宮家系国民男子を皇室に入れるためにも憲法を改正すべきと訴えるなら、そのような制度設計を待つ間に皇統が断絶しても構わないと言ったに等しくなり
ます。これが保守やナショナリストの態度でしょうか?違います。逆賊です。国賊です。

 故西部邁氏は仰いました。伝統とは綱渡りの際に用いる平行棒のようなものだと。

綱の形状や風の吹く方向と言った諸条件によって平行棒の使い方は変えるべきです。
そして、皇位継承者が不足している現状=「時」で、皇位の安定継承が至上の価値である国=「所」で、国民感情は側室や傍系継承に違和感を持ち、国民の8割以上(共同通信調べ)が愛子天皇を望んでいる状況=「位相」なのですから、こうした時所位に合わせて進むべき道を微調整するのが真正保守の態度のはずです。現状における皇
統断絶の危機という国難を乗り越える方途は愛子天皇誕生しか無いと私は考えます。
それでも貴紙のみが男系継承に固執するというなら、貴紙や貴紙と関係の深い言論人が過去の国民までを含めた全ての国民から見放されても仕方ありません。

京都府 京都のS

産経新聞
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