【新聞意見投稿】産経新聞~細谷雄一氏_女王統治で分かった立憲君主制の価値

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イラスト:パンダさん

9月29日付 産経新聞で国際政治学者 細谷雄一氏による記事が掲載されました。

英女王の死去 立憲君主の価値高まる」というタイトルで、英国エリザベス女王の偉業をたたえつつ、立憲君主制の価値を説いています。

細谷氏はエリザベス女王が愛された理由として2つ挙げています。
・私心を捨て、52年からの在位70年間、自らのすべてを国家と国民にささげたこと
・敵国との関係修復や摩擦緩和などに積極的に動き、和解への努力をし続けたこと

今では多くの国が革命や戦争の敗北などにより君主制から共和制に移行した。だが、米国など民主主義国の内部、また国際政治でも分断が進む中で、女王の死去は立憲君主制が持つ価値を再確認させた。

立憲君主制の価値として細谷氏は統一性と継続性を挙げています。

その利点はまず、君主の言動で分裂を緩和し、統治を安定させることができることだ。女王は2014年、スコットランドが独立の是非を問う住民投票を実施した際、国の将来を慎重に考えるよう訴えた。この言葉は一定程度届いたのだろう。独立は否決された。一つの国で多様な宗教や民族がある場合、君主の存在で国家の統一性が保たれる。

国家の継続が担保されることも重要だ。個人の命は有限だが、国家の命は基本的に無限であり。その継続性を支えるのが王室だ。数年ごとに政権が代われば、古い歴史や伝統が損なわれるかもしれない。内戦で共産党が政権を奪取した中国では文化大革命で文化的遺産の多くが破壊された。

19世紀の英評論家、ウォルター・バジョットは著書で君主の存在について「その効用は計り知れない」とし、当時、ビクトリア女王がいなければ、政府は「消滅するだろう」と記した。君主は政治を超越して対立の当事者を包摂し、国家の分裂を防ぐ。これは現代にも通じる。君主制の有用性は今後高まるだろう。

その上で、「王位は継承されても、女王への国内外の敬愛は自動的に引き継がれるものではない」とし、エリザベス女王の努力がこの「価値」を成り立たせていたという見解を示しています。

この記事には日本の皇位継承の話は出てきません。
そして、男系がどうとか女系がどうとかいう話も出てきません。

しかし、日本の皇位継承問題に対して、ひとつの強烈な解を示しているように感じられます。

男系女系などというのは些末な議論であり、皇室が続いていけるような制度を整えることは前提として、どう君民一体の体制を作るのか、それこそが重要である、と。

細谷氏が日本の皇位継承問題にどのような考えを持っているのか分かりませんが、この論考が産経新聞に載ったことは、ちょっとした出来事だといえるでしょう。

産経新聞
u-service@sankei.co.jp (東京)
o-dokusha@sankei.co.jp (大阪)

4 件のコメント

    基礎医学研究者

    2022年10月2日

    産経にしては、久々に良い記事でした。自分も、遅まきながら、産経新聞に感想送りました。

    urikani

    2022年10月1日

    感想送りました(*・ω・)ノ
    日本の皇室について書いていないとはいえ、産経新聞がこのような記事を掲載することは喜ばしいですね♪
    男系とか女系とか言ってることがどれだけバカバカしく不毛なことかと、男系カルトに改めて腹立ちますが…
    ( º言º)

    *******
    9月28日 世界を解く-細谷雄一 『英女王の死去 立憲君主の価値高まる』
    拝読いたしました。
    わたしは、今でこそ日本の皇室をとても大切に思っていますが、若い頃はあまり関心がなく、あって当たり前で、かと言ってなくなっても特に困ることもないのではないか?という感覚でした。

    その後皇室関連の書籍や、皇室の皆さまのなさりようを拝見させて頂くことで、自然と敬愛を抱くようになりました。

    この度のエリザベス女王の死去によって、改めて立憲君主制について考える機会となり、この細谷氏の論考を読み、君主が存在することの価値を再確認出来ました。
    その価値は君主の性別には左右されないことも。

    翻って日本ではどうかといえば、一部の男系継承固執派が「女系はダメだ」「女性天皇も女系に繋がるからダメだ」「女系天皇になったら王朝交代になる、易姓革命が起こる!」などど意味不明に騒いでいます。

    貴紙の執筆者や読者には男系継承支持者が多いようですが、今回のような記事が掲載されたことは意義深いことに思います。
    今後とも、安定的な皇位継承策に有用な記事、皇室に関心を持ってもらえるような記事の掲載をよろしくお願い致します。日本国民として共に皇室を守って参りましょう。

    新潟県 パート介護職員 urikani

    ダダ

    2022年9月30日

    感想を送りました!
    要旨は以下の通りです。
    ・細谷氏の記事イイね!産経新聞ありがとう!
    ・天皇制が続いてきたのは、権威と権力が分離され、天皇と国民の双方向の敬愛があったから。
    ・上皇陛下が美智子さまと一緒に国民の中に入っていったのは、国民の心が離れてしまえば国体が失われてしまうと考えたからでは?
    ・国民は天皇という肩書きではなく、上皇陛下の人格に感動し救われていた。
    ・天皇制(立憲君主制)が続いて欲しい。
    ・愛子さまが即位され、愛子さまのお子様が即位したときが、上皇陛下が目指した象徴天皇の完成。
    ・私たちの子孫が天皇と共に在ることを願う。
    ・国家について考えるきっかけを与えてくれて感謝。
    以上です。

    京都のS

    2022年9月30日

     感想を送っておきました。

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