「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 2nd season

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 「光る君へ」を観ていて不思議に思うのは、貴族の住む寝殿造りの邸宅も庶民の家々も防寒を全く意識しておらず、寒風が吹き抜ける構造になっていることです。遮るものが御簾しか無い家屋なのに冬でも十二単や小袿を脱いで事に及べたなら、最早それは亜熱帯の出来事か異世界ファンタジーだと思うしかありません。

 さて、屋久杉の年輪に沿った木質部位の炭素同位体分析によると、平安期は現在より2℃ほど気温が高く、より温暖湿潤だったようです(※「日本の気温推移と異常気象」: https://ieei.or.jp/2020/10/expl201012/ )。ゆえにマラリアを媒介する蚊も発生し、藤原道長も平清盛(熱がりながら死去)もマラリアに罹っていたそうです。おそらく各地の米や特産物の収量も多く、それゆえ争いも少なく、そんな幸福な時代だったからこそ貴族の息女が後宮サロンで自己実現できたり女性文学が花開いたりしたとも言えます。

 しかし、にも拘らず「光る君へ」劇中では多くの女性たちが生き辛そうにしており、その理由は「「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う」や「儒教的男尊女卑に利用されてきた血穢概念を葬れ!」で考察しました。こちらも是非ご覧ください。

 「光る~」劇中には、まひろ(後の紫式部:吉高由里子)が少女に仮名文字を教える描写がありますが、それは「文字が読めないことで酷い目に遭う民を少なくしたい」との思いからでした。彼女の願いが実現するのは識字率が世界一となって庶民も『源氏物語』を楽しめるようになる江戸期であり、だから来年の大河は江戸の出版王・蔦谷重三郎の一代記「べらぼう」なのでしょう。

 なお、まひろのもう一つの願いは「女性の生き辛さを何とかしたい」だと思われますが、日本女性の生き辛さは令和にも現存しており、それは皇族女子が男尊女卑的なイチ法律(皇室典範)に拘束されている点に象徴されています。

 以下は蛇足ですが、気温が高かったのは縄文後期・平安期・幕末~明治で、低かったのは弥生期・飛鳥期・江戸期であり、つまり数十万年ごとに訪れる氷河期の間に挟まれた間氷期であっても、数百年単位で温暖期と寒冷期を繰り返してきた(差は5~6℃)わけです。ちなみに寒冷な江戸期における享保・天明・天保の各飢饉によるダメージ蓄積が幕府倒壊の遠因です。そして上記が正しければ「CO2温暖化説」は、グローバル製薬企業の基準値ビジネス(正常値を下げれば患者が増えて薬が売れる)と同列の温暖化ビジネス(化石燃料を止めさせれば原子力と自然エネを売り込める)だと思われます。    

文責:京都のS

3 件のコメント

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2024年4月13日

     SSKA様、※ありがとうございます。大陸(オリジナル儒教)および半島(先鋭化儒教)の影響って厄介ですね。「一部の男系支持者は本当に無意味な事に人生をかけている」はホントそうです。人生を無駄にしたとは思いたくないから「自分の目の黒いうちは」と意固地になります。迷惑千万ですね。

    SSKA

    2024年4月13日

    豊かさも経済(物質)と精神(文化)との違いがあるのは戦後日本の男尊女卑が経済成長と効率重視の思想であるのと同じでやはり古代も現代も儒教が社会を抑圧し停滞させる一つの原因かと改めて感じます。
    とは言え上皇様が在位後半に火葬、譲位とご自身の大喪の礼に関し国民の経済や心理への配慮から改革された事実をただ有り難いと思い起こすのと同様に女性への捉え方も社会を豊かにする意図として素直に従えば良いだけなのに、一部の男系支持者は本当に無意味な事に人生をかけていると思います。

    京都のS

    2024年4月13日

     「光る君へ」や『源氏物語』に関わるものは以下です。
    ・「大河ドラマ『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う」( https://aiko-sama.com/archives/35405
    ・「男の嫉妬が英雄を冷遇するなら、トップは女子で良くないか?」( https://aiko-sama.com/archives/35425
    ・「革命的皇位簒奪への対策を『源氏物語』から学ぶ」( https://aiko-sama.com/archives/36977
    ・「儒教的男尊女卑に利用されてきた血穢概念を葬れ!」( https://aiko-sama.com/archives/37641

     地球温暖化に関する論考は以下です。
    ・「平等と格差の間」シリーズ( https://aiko-sama.com/archives/26956

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