
「御上先生」(TBS)は、3年2組の生徒がビジネスコンクールに挑むパートで一部に看過できない展開がありました。生徒らがプレゼン中に発言した「国の借金は1000兆円」だの「財政破綻」だの「預金封鎖も有り得る」だのは使い古されたネオリベ緊縮論者の言い回しです。実際に国が借金を返済し尽くせば国民の使えるカネは極小化し、それは現時点の富者を永遠に勝たせる体制の構築を意味するため、冬木竜一郎(山下幸輝)や宮澤涼(豊田裕大)の掲げた「社会貢献につながる信用と助け合いの金融商品」も土台から崩落します。ビジコンを主宰する政官財界にとっては、今まで自分らが布教してきた緊縮論を否定しない(メンツを潰さない)プランなら、どこが優勝しようが構わないはずです。
さて、拘置所に収監中の真山結弦(冴島悠子の娘:堀田真由)は御上孝(松坂桃李)が同席することを条件に神崎拓斗(女性教師・冴島悠子の不倫を学校新聞で報道した報道部部長:奥平大兼)との面会に応じました。真山結弦の父(冴島悠子の夫)はDV男で、結弦の殺人は父への復讐である可能性が示され、また被害者の母は真山の極刑を望んでいるにも拘らず彼女の境遇には同情している事実も明かされ、御上は映画の例え話をしながら、本当に悪い奴はココには居ないと示唆しました。以上の展開から類推できる「本当の悪」とは現代日本の家父長的な家庭や男尊女卑が罷り通る世間だと解されましょう。
一方、隣徳学院の職員室に届いた怪文書「隣徳は 国のまほろば この国に平川門より入りし者たち数多あり お前の不正を私は観ている 倭建命」を是枝文香(吉岡里穂)が読み解きました。倭建命が蝦夷に備えて武蔵国に置いた関所が「霞ヶ関」で、怪文書は倭建命の辞世「倭は 国の真秀ろば 畳なづく 青垣 山籠れる 倭し麗し」のパロディで、江戸城の「霞が関(官庁街)」側の桜田門とは逆の「平川門」より入る云々の意味は隣徳学院(理事長の名は古代真秀)への裏口入学だと読んだわけです。
しかし私としては、江戸城は現在の皇居ですから、もしコレが皇室に裏口から入ろうとする者(旧宮家に連なる男系子孫)や入らせたがる奸賊(男系固執派のメンツ保守)どもを暗示していたなら(※本作の主題であろう男尊女卑は皇室にこそ最も象徴的に存在する)、その時は
「TBSこそ真のナショナリスト!真の尊皇家!」
と称えたいのですが。
文責:京都のS
※編集部より日曜劇場『御上先生』|TBSテレビ
5 件のコメント
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年2月21日
劇中のやり取りで最も違和感があったのは、是枝文香(吉岡里穂)がお金(貨幣)の価値は人間同士の信用だと言ったことです。実際には国家が「これを貨幣と定める」と言わなければ通用しません。国家が「この紙切れで納税しなさい」と言ったら、その時に紙切れが貨幣になるのです。
また、銀行が事業を起こしたい人にカネを貸す時は、人格を信用するわけじゃなく、事業で利益が出るかどうかで判断します。資本主義では人格は重視されません。従って学生たちが提案した「理念型の投資」(環境なり福祉なりと利益とを両立させると謳う事業への投資)の場合は、理念に共鳴した人がノーリターンを覚悟して投資するしかありません。年金と定期預金では暮らせないと気付き、そこで投資を勉強させられた高校生が、リターンを期待して投資するようなものには絶対に成り得ないと思われます。
貨幣論については以下を参照してください。
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 14th season」( https://aiko-sama.com/archives/48337 )
京都のS
2025年2月21日
れいにゃん様、※ありがとうございます。
もし本作の脚本家(詩森ろば)が、「隣徳学院への裏口入学」≒「旧宮家系子孫の皇室入り」という暗喩を匂わせる描写を入れ、かつ御上宏太(御上孝の兄)自決の動機が「皇位継承ルールにおける男尊女卑」を含むと読み取れる描写まで入れたなら、「倭は国の真秀ろば」ならぬ「真の尊皇家は脚本家の詩森ろば」「真のナショナリストは脚本家の詩森ろば」と称えましょう。
れいにゃん
2025年2月20日
旧宮家に連なる男系子孫の皇室入りを、裏口入学に例えるとは、流石ですね。ピッタリの表現です。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年2月20日
皇居の桜田門と赤坂御用地にある東宮御所(皇太子の御座所)との位置関係では、両者の間に霞ヶ関と永田町があります。つまり、愛子様が東宮御所に移られるのを阻んでいるのは永田町であり、その隙に政治屋どもは平川門(御所の裏口)から旧宮家系国民男子を皇室入りさせたがっているわけです。
京都のS
2025年2月20日
掲載ありがとうございます。ドラマ「御上先生」(TBS)を題材にしたものは以下です。
・「真のエリートとは、我が国では皇族方ではないか?」( https://aiko-sama.com/archives/49540 )
・「少女を狙うハゲワシの正体は男尊女卑だった!」( https://aiko-sama.com/archives/49809 )
・「フェミニズムとナショナリズムの間~TBSの分水嶺」( https://aiko-sama.com/archives/50234 )
・「国民が空気でしか動かないなら、気流は正しい方向へ流せ!」( https://aiko-sama.com/archives/50608 )
フェミニズム関連なら以下も合わせて読んでいただきたいですね。
・「真剣さが見えない『天皇なきフェミニズム』に物申す!」( https://aiko-sama.com/archives/46448 )
また、本論冒頭の投資や貨幣など経済に関する話題には、「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 14th season」( https://aiko-sama.com/archives/48337 )が最も適切な回答かと思われます。