ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 14th season

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 高橋是清を扱った 12th season『日本経済学新論―渋沢栄一から下村治まで』(中野剛志著)をテキストとしましたが、今回も同様です。

 最新の経済理論では貨幣観が変化しており、従来は「貨幣そのものに商品としての価値が伴うべき」という「商品貨幣論/金属主義」(紙幣は貴金属との兌換が基本、不換紙幣↑はインフレを招く)でしたが、これに対する新しい貨幣観は「表券主義」(政府が税の支払い手段と定めれば名目的な価値が発生)あるいは「信用貨幣論」(借り手の資金需要に応じて銀行が貸し出した時に貨幣が発生)です。「表券主義」では徴税前に国民が通貨を得ている必要があり、ゆえに通貨を発行する政府の財政支出が徴税より先で無ければならず、また政府支出は雇用創出・貧困対策・物価調整といった国民経済の安定化にも働きます。「信用貨幣論」では中央銀行の資金供給より資金需要が先行すべきですから、民間に需要が無いデフレ不況時は政府が需要を作ることを要請されます。
 つまり両者ともケインズ政策を補強しており、これらは現代貨幣理論(MMT)と呼ばれます。
 ちなみにインフレの原因は以下の2つであり、通貨や国債の発行量とは無関係です。
※1デマンドプルインフレ:需要↑で物価↑
※2コストプッシュインフレ:戦争・政変・気候変動…による供給力↓↓で物価↑↑
 上記説明および財務省の「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」という回答より、ケインズ政策を忌避する理由は皆無です。
 ちなみに※2のコストにはモノやサービスを生産する労働力も含まれ、現在のような人口減少局面ではインフレ必至ですから、本論で何度も述べてきたように非婚化を進める男尊女卑の放置は致命傷となります。ゆえに、もし皇室の男尊女卑ルールの改正世間の男尊女卑を一掃する効果があるなら、ケインジアンこそ愛子天皇誕生を希求すべきです。
 さて、中野剛志氏は『日本経済学新論』で渋沢栄一・高橋是清・岸信介・下村治を同列の経済ナショナリストと位置付けますが、「昭和の妖怪」こと岸信介(安倍晋三の女系の祖父)は三島由紀夫や新作翼が嫌った従米ニヒリストであり、かつ統一教会による日本政界へのステルス侵略を許した売国奴でもあります。文鮮明は「皇室を滅ぼす」と宣言したことがあり、従って岸は皇統男系主義断絶必至)に固執する政治屋の元祖かもしれません。つまり岸の過大評価は中野の「ケインジアン男系派」ぶりを象徴しておりましょう。    

文責:京都のS

4 件のコメント

    京都のS

    2025年1月11日

     済みません。「新作翼」と書いてしまっていますが、「新左翼」の間違いでした。

    京都のS

    2025年1月11日

     れいにゃん様、※ありがとうございます。中野は岸を経済ナショナリストに連ねるに当たって色々と理由を書いていましたが、岸の「従米ぶり」を考えると経済的な果実をアメリカ様に捧げるためじゃね?などと感じました。その点の矛盾を解消するためなのか、中野は『日本は悪くない、悪いのはアメリカだ』を書いた反米の下村治を同列に加えましたが、手遅れの感が拭えませんでした。
     「少子化ではない少母化だ」「結婚したくても出来ない人が増えた」とは、女性が結婚しない理由を経済問題に一元化するケインジアン男系派(玉木雄一郎を含む)と同意見ですね。同じケインジアン男系派の麻生太郎が言う「産まなかった方が悪い」とも完全に同根です。「各種共同体(家庭・職場・地域社会…)における男尊女卑は放置して構わない」「皇室の男尊女卑ルールも同様だ」「その方が男尊女卑の継続を望む人々(日本会議・統一協会…)の歓心を買うことが出来る」というのが政治屋どもの頭ン中ですね。
     それにしても「知のデフレスパイラル」はケインジアン男系派に余りにもピッタリで、実に上手いですね(笑)。

    れいにゃん

    2025年1月10日

    岸信介が経済ナショナリストですか?!カテゴライズする意味が分からないです中野剛志氏。
    石破総理は、総裁選に出馬した時から、「少子化ではない少母化だ」「結婚したくても出来ない人が増えた」と何度も発言。麻生太郎に「産まなかった方が悪い」発言に匹敵する、男尊女卑による知のデフレスパイラルに陥っていることを自ら表明しています。

    京都のS(サタンのSじゃねーし)

    2025年1月10日

     掲載ありがとうございました。ケインジアン男系派のついでにネオリベ緊縮派も斬るシリーズの第14弾です。とうとう今回はMMTです(笑)。

     第1弾~第13弾は以下です。
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!1st season」( https://aiko-sama.com/archives/36871
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37083
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38400
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!4th season」( https://aiko-sama.com/archives/42223
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/43664
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/46020
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/46118
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 8th season」( https://aiko-sama.com/archives/46543
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 9th season」( https://aiko-sama.com/archives/46734
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 10th season」( https://aiko-sama.com/archives/46928
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 11th season」( https://aiko-sama.com/archives/46948
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 12th season」( https://aiko-sama.com/archives/47573
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 13th season」( https://aiko-sama.com/archives/47597

     他にケインズ主義について書いた記事は以下です。
    ・「インペリアル・グローバリズムという悪夢2」( https://aiko-sama.com/archives/33381
    ・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084
    ・「歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(下)」( https://aiko-sama.com/archives/22681
    ・「権力者・愛子天皇の治世を仮想してみれば…」( https://aiko-sama.com/archives/22571
    ・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107
    ・「思想マトリックスに皇統問題を加味してみた(表)」( https://aiko-sama.com/archives/29761
    ・「博愛と競合の間(余)~圧倒的に節度が足りない!」( https://aiko-sama.com/archives/37381
    ・「合理と感情の間~良識なき言論人を葬送せよ!」( https://aiko-sama.com/archives/38156

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