第三回全体会議において馬淵議員が示した論点整理①立法事実の確認②先例主義との整合性③憲法上の疑義④事実上の不都合について、内閣官房参与・法制局がどのように説明したか、改めて振り返り、まとめとします。
①立法事実(ある法が存在する合理性の根拠となる社会的事実)の確認
・対象者は現時点では確認されていない。皇族数の確保手段が不確実。
→制度をつくるには立法事実の確認が必要。
内閣官房参与・山崎重孝氏
・現 皇 室 典 範 は 皇 族 の 養 子 縁 組 は 禁 止 、違 法 な 行 為 を 前 提 に、政 府 と し て 、 国 会 の 意 思 が 決 定 し て い な い 中 で 養子になるかどうかの確 認 はしにくい、ま ず 制 度 が 基 本 的 に 枠 組 み と し て 創 設 さ れ た 後 に い ろ い ろ な こ と が 考 え ら れ て い く
→立法事実の確認はしないまま制度を作る
②先例主義との整合性
養子として皇族に迎えた形で皇族でなかった方々は先例にない→養子縁組で皇籍復帰した先例はない。
内閣官房参与・山崎重孝氏
ぴ っ た り と 、 完 全 に 、 一 般 人 に 初 め か ら な っ て い る 方 が 誰 か の 養 子 に な っ て 戻 っ た 例 が あ る わ け で は あ り ま せ ん 。
→一般国民が養子になった先例はない
③憲 法 上 の 疑 義
・第1条 天皇の地位は国民の総意に基づく、一般国民を養子にするのは国民感情に沿うのか
・第14条1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
→ 平等原則違反に当たり得る
・さらに十一宮家の男系男子に限定するのは皇統に属する他の男系男子間の中でも同じく平等原則に反する疑義
内 閣 法 制 局 第 一 部 長 ・佐 藤 則 夫 氏
・憲 法 一 条 天 皇 陛 下 が 、 日 本 国 の 象 徴 で あ り 日 本 国 民 の 統 合 の 象 徴 で あ る と さ れ て い る こ と 等 を 踏 ま え ま し て 、 国 民 の 意 識 に 照 ら し て も 、 天 皇 陛 下 に 代 わ っ て 国 事 行 為 を 担 う 、 あ る い は 皇 位 継 承 を 行 う の は 、 天 皇 の 親 族 と し て 天 皇 の 近 く に あ る 皇 族 の 方 で あ り 、 皇 族 の 中 で も 更 に 皇 統 に 属 す る 方 が ふ さ わ し い と い っ た 考 え 方 か ら 定 め ら れ て い る
旧 十 一 宮 家 の 方 、 養 子 縁 組 と な ら れ た と き 、 従 前 は 必 ず し も 皇 族 で は な か っ た 、 そ う い う 差 異 を 踏 ま え て こ の 皇 位 継 承 権 に つ い て ど の よ う に 考 え る か 、 こ れ は 若 干 の 区 別 が あ る
→憲法第一条を踏まえれば、養子案で皇族になったとしても皇位継承権はないのではないか
養子案そのものは進めようとしていることが伺えます。
・法 律 に お き ま し て 養 子 と な る 方 の 範 囲 を 適 切 に 定 め る 限 り 、 養 子 縁 組 に よ り 皇 族 と す る 方 を 男 系 男 子 に 限 る と し て も 、 憲 法 十 四 条 第 一 項 に 抵 触 す る と い う 問 題 は 生 じ な い
→憲法第14条の平等原則には抵触しないという見解
衆 議 院 法 制 局 長 ・橘 幸 信 氏
憲 法 十 四 条 の 関 係 に お い て 特 段 の 問 題 は 生 じ な い と す る 旨 の 解 釈 、 百 地 章 日 大 名 誉 教 授 の よ う に 、 政 府 解 釈 は 妥 当 な 解 釈
東 京 大 学 法 科 大 学 院 長 ・ 宍 戸 常 寿 (ししど じょうじ)教 授 は 、 政 府 の 有 識 者 会 議 の ヒ ア リ ン グ に お い て 、 法 律 等 で 養 子 た り 得 る 資 格 を 一 般 国 民 の 中 で 皇 統 に 属 す る 男 系 男 子 に 限 定 す る な ら ば 、 門 地 に よ る 差 別 に 該 当 、 仮 に 皇 統 に 属 す る 男 系 男 子 の 中 で も 、 特 に 旧 十 一 宮 家 の 男 系 男 子 に 限 定 す る 場 合 に は 、 旧 十 一 宮 家 以 外 の 皇 統 に 属 す る 男 系 男 子 の 中 で の 差 別 に 該 当 し 得 る 、 二 重 の 意 味 で 憲 法 違 反
京 都 大 学 名 誉 教 授 の 大 石 眞(おおいし まこと) 先 生 は 、 有 識 者 会 議 に 提 出 さ れ た レ ジ ュ メ で は 、 宗 系 (そうけい 世系 祖先から代々受け継いだ系統 ちすじ 血統)の 紊 乱 ( ぶ ん ら ん 秩序・風紀などが乱れること) を 招 く お そ れ が あ る た め 賛 成 で き な い 、 実 系( 自然の血縁関係の血統 直系と傍系とがある)に 基 づ き 定 め ら れ る 皇 位 継 承 に つ い て 、 法 律 上 の 血 縁 関 係 と い う 、 い わ ば 人 為 的 な 要 素 が 入 り 込 む こ と で 、 皇 位 継 承 順 位 や 正 統 性 に つ い て 争 い が 生 じ る こ と を 問 題
→両 論 共 に 成 り 立 ち 得 る 解 釈
参 議 院 法 制 局 長・川 崎 政 司氏
対 象 と な る 方 々 が 一 般 国 民 で あ っ て も 、 そ の 枠 組 み の 中 で 適 切 に 規 定 す る も の で あ る 限 り 、 憲 法 第 十 四 条 の 例 外 あ る い は 適 用 外
→養子案は憲法違反ではない
ただ、他方で、法 律 で 門 地 等 か ら 対 象 と な る 国 民 と そ れ 以 外 の 国 民 を 区 分 す る も の と な る 以 上 、 そ れ ら の 間 で の 平 等 が 問 題 に な る と の 議 論 な ど も あ り 得 る
→ ここでは養子案は憲法違反である。
衆院法制局長と同じく、両 論 共 に 成 り 立 ち 得 る 解釈のようです。
制 度 設 計 や 規 定 形 式 に よ っ て で き る だ け 問 題 を 顕 在 化 さ せ な い よ う な 検 討 、 工 夫 な ど も 必 要
→憲法違反と認識しているから問題を顕在化させないような検討、工夫が必要。
④事 実 上 の 不 都 合
・養子になるのは皇族としての権利制約が生じるので一般国民である男系男子の方々にとっては高いハードル
・具 体 的 な 制 度 設 計
養子の養親(ようしん)はどなたか。養子だけでなく養親もいらっしゃるのか確認せずに制度を作ってよいのか。
・有識者会議の報告書(概要) 養子となって皇族となられた方は、皇位継承資格を持たないこととする ことが考えられる。→子孫についての言及なし
高いハードルについて
内閣官房参与・山崎重孝氏
・制 度 が で き ま し た 後 に 、 こ れ か ら 生 ま れ る 方 も 含 め て 、 そ う い う こ と が 対 象 に な る と い う こ と を 先 ほ ど 申 し 上 げ ま し た が 、 現 実 に 私 ど も が 内 々 見 て お り ま す と 、 皇 統 に 属 す る 十 一 宮 家 の 方 々 の 男 子 で ま だ い ら っ し ゃ る 方 々 は い る だ ろ う と 。
→旧宮家の子孫の方々=一般国民の方々はいるということにすり替え
第二回全体会議・自民党の衛藤 晟一(えとう せいいち)議員の発言
「今 は 女 性 皇 族 が 結 婚 し た ら 民 間 人 に な ら れ る ん で す け ど 、 今 度 は 女 性 皇 族 と 結 婚 さ れ た 民 間 の 配 偶 者 を 皇 族 に と い う こ と に な っ て く る と 結 婚 の ハ ー ド ル が 高 く な る ん で は な い で し ょ う かと、」
→女性皇族と結婚される民間の配偶者が皇族になると結婚のハードルが高くなるならば、一般国民である男系男子の方が皇族となるのもハードルが高いはず
具 体 的 な 制 度 設 計について
内閣官房参与・山崎重孝氏
第 二 案 は 、 普 通 の 家 庭 で も あ る 養 親 子 (ようしんし)関 係 を 形 成 す る の で 、 一 般 の 家 庭 で も そ う な ん で す が 、 親 に な ろ う 、 子 供 に な っ て も い い と い う の は 、 そ れ ぞ れ の 自 由 意 思 の 合 致 で ご ざ い ま す の で 、 そ れ が 必 ず 意 思 が 合 致 す る と か 意 思 が 合 致 し な い と か 、 そ う い う こ と は 事 前 に 考 え る こ と は ち ょ っ と 難 し い ん じ ゃ な い か
→立法事実の確認はしないまま制度を作る
養子縁組後に生まれた子は皇位継承を持つのか
自民党・中 曽 根 弘 文議員
縁 組 後 に 生 ま れ た 男 子 は 皇 位 継 承 資 格 を 有 す る も の と す る こ と が 適 切 という発言より
内閣官房参与・山崎重孝氏
有 識 者 会 議 に お い て は 、 悠 仁 親 王 殿 下 ま で の 皇 位 継 承 の 流 れ を ゆ る が せ に し な い と い う 前 提 を つ く り ま し た の で 、 皇 位 継 承 に つ い て の 直 接 的 な ロ ジ ッ ク は 取 っ て い な い わ け で ご ざ い ま す 。要 は 、 悠 仁 親 王 殿 下 が 天 皇 陛 下 に な ら れ た と き に 、 そ れ を お 支 え す る 皇 族 の 方 々 が い ら っ し ゃ ら な い 事 態 を ど う す る か と い う ふ う に 問 題 設 定 を し ま し た の で 、 ど の 方 が 皇 位 継 承 し て 、 ど の 方 が 皇 位 継 承 し な い と い う ふ う な ロ ジ ッ ク を 取 っ て い な い わ け で ご ざ い ま す 。
→全体会議においては、皇位継承については議論しない
①立法事実の確認→立法事実の確認はしないまま制度を作る
②先例主義との整合性→一般国民が養子になった先例はない
③憲法上の疑義→憲法違反と認識、問題を顕在化させない検討、工夫が必要
④事実上の不都合・高いハードル→旧宮家の子孫の方々=一般国民の方々はいるにすり替え→養子案は高いハードルあり
立法事実なし、先例なし、憲法上の疑義あり、事実上の不都合ありであっても、「問題を顕在化させないような検討、工夫が必要」によって、制度を作ろうとしている。
立憲民主党の馬淵議員が懇切丁寧に整理した4つの論点、全てにおいて養子案は駄目!と判明したにも関わらず、制度が作られようとしている。
さらに自民党の中曾根弘文議員は、皇族数に限定された全体会議の冒頭で、「縁 組 後 に 生 ま れ た 男 子 は 皇 位 継 承 資 格 を 有 す る も の と す る こ と が 適 切」と発言している。
これまで立憲民主党は、皇族数に限定された全体会議の論点にあえて沿って、誠意をもって議論を進めようとしてきましたが、男系固執派は、その誠意に応える気は、まったく無いようです。
もう立憲民主党は良い子でなくていい、ジョーカーの本性を現わしていいのではないですか?
「愛子さま立太子」実現の議論を、と立憲民主党が宣言すれば
メディアはこぞって取り上げ、国民は喝采、政権交代も夢ではないはず。
次回、第四回全体会議における真の活躍を期待します。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
3 件のコメント
ダダ
2025年4月13日
野田代表はプロセスを重視しているのかも知れませんが、特例法付帯決議にある『全体として整合性が取れる』を満たしていない以上、令和の有識者会議報告書を土台にする必要はありません。
愛子天皇支持の世論と平成有識者会議報告書、この二つを以て全体会議の枠組みを壊すべきです。
宜しければご教示下さい
2025年4月12日
立憲民主党は尊皇民主党となって、「愛子様立太子の為の典範改正」と言うジョーカーを切るべきですね。
daigo
2025年4月12日
まいこさん国会議事録まとめお疲れさまです。