「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 3rd season

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 愛子様は高校の卒業レポートとして『源氏物語』『枕草子』などを題材に「平安文学における猫や犬と人との関わりについて」をまとめたそうですが、『枕草子』に登場する「翁丸」という犬のエピソードは「長徳の変」の背景になっているのではないかと論じられたそうです。また、大河ドラマ「光る君へ」(18~19回)では、藤原道長(柄本佑)の兄・道隆(井浦新)の遺児たち、即ち伊周(三浦翔平)と隆家(竜星涼)が勘違いで花山法皇(本郷奏多)を襲撃した事件から没落していく「長徳の変」(995)を扱っていました。今この時期に、公共放送NHKが「光る君へ」という平安(女流)文学の担い手たちが多く登場するドラマを放送していることに私は象徴的な何かを感じます。

 「光る君へ」劇中で、道長は民を苦しめる疫病への対策として悲田院・施薬院の拡充を関白(道隆)に訴え、一条天皇(塩野瑛久)も『貞観政要』(徳を失った皇帝は革命で滅びるetc.)を引きつつ疫病対策を道隆に望みましたが、一条帝に入内した定子(高畑充希)の居所である登華殿の予算を削りたくないという私心から道隆は拒みました。民のための政を志向する(シラス)帝と、自家の存続だけが大事な(ウシハク)藤原関白家は対極の存在でした。やがて道隆が糖尿病で亡くなると、伊周と道長の間で権力闘争が勃発しますが、人望が無い伊周にとっては妹の定子が一条帝の皇子(♂)を産むことだけが頼みの綱であり、ゆえに伊周も道隆と同様に定子に「皇子を産め!」と迫りました。ここで、現行の皇室典範が親王妃や皇后に対して「男子を産め!」と強制している事実を想起すべきでしょう。

 ところで、定子サロンに女房として出仕したのが清少納言(劇中:ファーストサマー・ウイカ)であり、『枕草紙』とは清少納言が定子との輝かしい日々を綴ったエッセイです。やがて長徳の変で左遷される伊周と隆家を定子は自邸に匿いますが、間もなく二人は検非違使に捕縛されます。ここで「虐待された翁丸は伊周と隆家を表している」という説が一部にあり、それが愛子様のレポートされた中身の一部ではないかと私は推察します。そして、ここから男系固執派(朝敵)すらも同胞として認める愛子様の御心が拝察されると言えば穿ちすぎでしょうか。

 なお、史実では次兄の道兼は天然痘で死にましたが、劇中ではインフルエンザ的な疫病で死にました。これは政府やマスコミが進めた新型コロナ対策が間違っていたと知られたくないからだろうと言えば穿ちすぎでしょうか。

文責:京都のS

6 件のコメント

    京都のS

    2024年5月17日

     そうそう、コレも「光る君へ」関連でした。
    ・「尊皇心0な輩は永遠に呪われろ!」( https://aiko-sama.com/archives/38188 )です。「陰陽師0」が題材です。

    京都のS

    2024年5月17日

     れいにゃん様、※ありがとうございました。
     天然痘→インフル様症状については、作劇上の都合もありそうです。まひろ(吉高由里子)が文字を教えていた少女たねがインフル様の疫病で亡くなり、看病していたまひろも罹患したところを道長(柄本佑)が悲田院で保護しました。そして悲田院の惨状を兄・道隆(井浦新)に訴えましたが、清少納言(ファッサマ)も居る定子(高畑充希)サロンの予算を減らしたくない道隆は救い小屋設置(悲田院の拡充)を拒みました。そういう流れでしたから、道隆・伊周父子より道長の方に正当性があると視聴者に印象付けるには道兼もインフル様症状で殺す方が都合が良かったとは言えますね。
     それにしても伊周(三浦翔平)の「皇子を産めぇ~!」のインパクトが絶大でしたね(笑)。花山法皇に矢を射掛けた隆家(竜星涼)は後の「刀伊入寇」事件では救国の英雄となりますが、劇中でも是非そこまで描いてほしいですね。

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2024年5月17日

     SSKA様、※ありがとうございました。愛子様の動物愛は有名ですね。愛犬は保護犬の「ピッピ」「まり」「由莉」です。
     政治屋側の壁とやらは男系イデオロギーですから、融和を目指している場合ではなく、もはや潰していくしかありませんね。

    れいにゃん

    2024年5月16日

    「光る君へ」は、定子さまへの皇子を産め攻撃が続いて辛い展開です。翁丸のお話は、多産の御守りとして犬を飼っていたのだろうと聞いた事あります。「皇子を産め〜!」と攻撃されるよりは、ずっと人間らしい祈りの形だと、思っていました。
    確かに、長徳の変を表しているように読めますね!愛子さまの柔軟な発想が素晴らしいです。
    史実は天然痘なのだから、そこはそのままで良いのに、風邪っぽい猫写は腑に落ちません。

    SSKA

    2024年5月16日

    動物と政治への着眼点が愛子様らしいのでしょうか、敗者について扱っておられますが、初等科6年で藤原道長と権力の問題を研究されたり歴史を学ぶ姿勢も常人とは違うと感じます。
    しかし知識人の様にかしこまらず堅物になり過ぎない安心感が皇室や皇女と言うお立場の独特の雰囲気の様です。
    政治の側も皇室の寛容さに頑なに壁を作らず、自分達の世界の女性の意見を取り入れる等しながら異なる立場で皇室制度を考え、共に社会の成長を目指す意気を見せて欲しいところです。

    京都のS

    2024年5月16日

     掲載ありがとうございます。 他にも「光る君へ」や『源氏物語』に関わるものがあります。
    ・「男の嫉妬が英雄を冷遇するなら、トップは女子で良くないか?」( https://aiko-sama.com/archives/35425
    ・「革命的皇位簒奪への対策を『源氏物語』から学ぶ」( https://aiko-sama.com/archives/36977
    ・「儒教的男尊女卑に利用されてきた血穢概念を葬れ!」( https://aiko-sama.com/archives/37641

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