「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 4th season

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 大河ドラマ「光る君へ」は、主人公まひろ(吉高由里子)が様々な出会いと別れを経験する中で世界最古の長編恋愛小説『源氏物語』を書いた紫式部となっていく物語です。視聴率の低さが指摘されますが、それは視聴者にCMを見せたい企業が気にする世帯視聴率のことであり、リアタイ視聴しない現役&若年層の女性に絞れば人気は高いという分析も可能です。その人気の原因は、自己肯定感の低い文系拗らせ女子が色んなタイプの殿御からモテまくる少女漫画的展開が一因かもしれません。初期は藤原道長(後の最高権力者:柄本佑)vs直秀(散楽&義賊の一員:毎熊克哉)vs藤原宣孝(親戚のイケオジ:佐々木蔵之介)、越前編では道長vs宣孝vs周明(宋の見習い鍼医:松下洸平)が”まひろ”を巡って争います。

 ところで、”まひろ”の父・藤原為時(岸谷五朗)が越前守として道長から受けた密命は、彼の漢文や語学の才を生かして越前滞在中の宋人70名を都から遠い大宰府に移らせるか宋に帰すことでした。着任早々に殺人事件が起こり、疑われた宋商人団の長・朱仁聡(浩歌)の無実を為時は証明しましたが、為時の胃痛を鍼で治して信頼を得た周明も、為時が人格者だと認めた朱も、実は宋と日ノ本との公式の交易を結ぶために遣わされた使節団員でした。つまり、宋語を教わる中で芽生えた”まひろ”の周明への淡い恋愛感情は、まひろと左大臣・道長に繋がりがあることを知った周明により、道長との交渉カードとして利用されようとしたわけです。以後の展開では、まひろの道長への変わらぬ恋心や宣孝との結婚が宋の目論見を阻むと思われます。ちなみに周明は後に大宰府で藤原隆家(竜星涼)の眼病を治し、隆家は異民族来襲(刀伊入寇)を撃退して救国の英雄となるはずです。

 さて、以上を以て「女に政治をやらせたら売国に走る」などと早合点するバカ者が出るでしょうが、戦後日本において何人の与党政治家(♂)が各国のハニートラップに掛かって売国に舵を切った?と問えば十分でしょう。政治家が売国するかしないかに性差は関係なく、それは注意深さナショナリズムの問題です。また「女に政治をやらせるな」「女を国の象徴にするな」儒教的男尊女卑です。そして旧宮家系国民男子と皇族女子との婚姻が男系固執派の望む解決法でしょうが、きっと彼らは帝の婚姻を差配して権力を握った藤氏長者に憧れているのでしょう。

 でも、そんな振る舞いのまま懸想した女子にモテると思います?    

文責:京都のS

(※編集部より、京都のSさん作の、こちらのブログも併せてご覧ください)

3 件のコメント

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2024年6月13日

     れいにゃん様、※ありがとうございました。「モブキャラがやりそう…」に爆笑しました。
     「頼りなげな人」を守りたくなるのは♂の保護本能かもしれませんが、文学少女にしろ皇族女子にしろ「自分の生き筋を見つけて輝いている人」を「頼りなげ」と勝手に診断して懸想し、「そうあるべき」と相手に求めるなどは以ての外ですね。それこそストーカー体質です。

    れいにゃん

    2024年6月13日

    今週の光る君へは、まさかの拗らせ文学少女の四角関係展開で、「学園ものの鉄板!」と言われていますね。京の都のお土産を前にして、化粧品より書の巻物を喜ぶまひろは、さすが文学少女?という、いい笑顔でした。その愛らしさを「頼りなさ」と歪曲して懸想するのでは、拗らせているのはどちらか?ということになるのではないでしょうか。モブキャラがやりそう…。

    京都のS

    2024年6月12日

     掲載ありがとうございました。「光る君へ」や『源氏物語』を題材にしたものは以下です。
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 1st season」( https://aiko-sama.com/archives/35405
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37751
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38829
    ・「男の嫉妬が英雄を冷遇するなら、トップは女子で良くないか?」( https://aiko-sama.com/archives/35425
    ・「男系固執の鬼どもを退治てくれよう」( https://aiko-sama.com/archives/39215
    ・「革命的皇位簒奪への対策を『源氏物語』から学ぶ」( https://aiko-sama.com/archives/36977
    ・「儒教的男尊女卑に利用されてきた血穢概念を葬れ!」( https://aiko-sama.com/archives/37641
    ・「尊皇心0な輩は永遠に呪われろ!」( https://aiko-sama.com/archives/38188

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