伝統マウントを超えて考え続けよう!

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 「御上先生」(TBS)は最終回を迎えました。劇中で御上孝(松坂桃李)は何度も「考えて」というセリフを言い、生徒に考えさせました。そして卒業前に行った講義は「考える力とは何か?」で、御上は「答えの出ない問題を投げ出さずに考え続ける力」だと定義しました。御上が「戦争は何故いけないか?」と問うと、「理不尽に命を奪うからいけない」で意見が一致しますが、次に「正義の戦争はあるか?」と問い、「侵略やテロ、圧制に対する武力闘争も悪だと言えるか?」と続けると、クラスの秀才・和久井翔(夏生大湖)は「やむを得ない武力闘争はある」と答えますが、御上は「それだと戦争はいけないと矛盾する」と返します。

 ここから御上は「戦争は国家が行う」「民主的に選んだ為政者が戦争を始める」と言って政治や教育にも意識を向けさせました。ここで千木良遥(髙石あかり)が「私も答えの出ない質問を持ってる」と言って立ち上がりました。父が代議士である千木良は自分が不正入学者だと知り、その事実を東都新聞の記者を父に持つ報道部部長・神崎拓斗(奥平大兼)が掴んでいることが答えの出ない問題だと言います。結局、千木良は神崎に「報道とは何かだけ考えて」と判断を委ね、そして神崎が書いて父に託した記事は東都新聞の1面に載りました。それと前後して隣徳理事長・文科省上層部・不正代議士らは失墜しました。

 以上から私が連想したのは日本の知識人についてです。一般に詰め込み教育で育った学歴秀才は予め答えが用意された設問には対応できますが、答えの出ていない現実問題には応えられない場合が多く、現時点で良いとされている側(左)に寄ったり伝統とされてきた事物(右)に縋ったりという対応に終始しがちです。その左側とて左派世間で通用してきた「魔術性を伴う伝統」でマウントを取りますから、「況や右派(自称保守)世間に於いてを哉」です。答えの出ない問題を考え続けてマシな回答に辿り着こうとする態度はリベラルですが、マシな伝統を参照しつつ時処位も考慮して回答を導き出す姿勢は保守だと言えます。

 皇位継承問題については、「双系に戻すこと」技術的(候補者が増えれば続く)にも歴史的(養老令「女帝の子も亦同じ」)にも国民感情的(女性天皇に賛成80~90%)にも最良の回答であることは少し考えれば自明です。「考え無き伝統マウント」や盲従は恥だと認識すべきです。

文責:京都のS

3 件のコメント

    京都のS

    2025年3月27日

     ジョージ様、※ありがとうございます。私の印象としては「御上先生」はコンパクトにまとまり過ぎた感があります。「不正入学問題」の話題なら、某医大の入試で男子に加点して女子を据え置き、医師になる道を男子だけ広げた問題があります(大学側の大義:女医は眼科や皮膚科を目指すから、激務の救急や外科、僻地勤務を厭わない男子を有利にしたい)。
     この問題を絡めるという手もあったのにと残念でした。まぁ、こうしてもらえると皇統問題に繋げる立論がしやすくなるからですが(笑)。

    あしたのジョージ

    2025年3月26日

    御上先生、最終回良かったですね~
    また続きが見たいくらいです。🤔
    隣徳理事長も教育理念はちゃんと持っていたのにいつの間にか間違った方向に行ってしまって残念でした。
    最後の記者会見で自らの罪を世間に明らかにして、同じ韻を踏む人達を作らないようにあえてマスコミの生け贄になる覚悟を御上先生に示した事は、この人はまだ反省する能力があっていいなぁと思いました。
    謝ったら死ぬ病の人達が多い中で。
    男系派とか男尊女卑の人達もみんな学歴秀才みたいな人達が多いんだろうなぁと思いました。(偏見)
    一度習った事はもう覆せない、自らの頭で考えられない人達。
    真の勉強とは縁のない人達。
    真の勉強とは何か、考え続ける事の難しさを教えてくれるとてもいいドラマだったと思いました。

    京都のS

    2025年3月26日

     掲載ありがとうございます。ドラマ「御上先生」(TBS)は終わりました。それを題材にしたものは以下です。
    ・「真のエリートとは、我が国では皇族方ではないか?」( https://aiko-sama.com/archives/49540
    ・「少女を狙うハゲワシの正体は男尊女卑だった!」( https://aiko-sama.com/archives/49809
    ・「フェミニズムとナショナリズムの間~TBSの分水嶺」( https://aiko-sama.com/archives/50234
    ・「国民が空気でしか動かないなら、気流は正しい方向へ流せ!」( https://aiko-sama.com/archives/50608
    ・「旧宮家系子孫の皇室への裏口入学こそ象徴的男尊女卑!」( https://aiko-sama.com/archives/50846
    ・「左右の陣営に便利使いされる抗議行動より楽しい活動で訴えよう!」( https://aiko-sama.com/archives/51334
    ・「毎日新聞やBS-TBSは素晴らしいので、あと一歩を!」( https://aiko-sama.com/archives/51586
    ・「公を内在化した個人の連帯は世界を変えられるか?」( https://aiko-sama.com/archives/52153
    ・「愛子天皇の未来へ向かう蝶の一羽ばたき」( https://aiko-sama.com/archives/52393

     フェミニズム関連なら以下も合わせて読んでいただきたいですね。
    ・「真剣さが見えない『天皇なきフェミニズム』に物申す!」( https://aiko-sama.com/archives/46448

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