「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 9th season

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 東三条院・詮子(吉田羊)の主張:「父(兼家)に騙され、(円融)帝の寵愛を失い、息子を中宮(定子)に奪われ、兄(道隆)に内裏を追われ、奪われ尽くしながら生きてきた」

 一条帝(塩野瑛久)の主張:「朕は父(円融帝)に愛でられなかった貴女(母・詮子)の慰み者でした…そういう貴女から逃れたくて中宮(定子)にのめり込んで行ったのです…全て貴女のせいなのです!」

 このところの「光る君へ」は母子が互いに何者かへの私的なルサンチマン(怨念)を爆発させていました。主人公まひろ(後の紫式部:吉高由里子)は女子が生き辛い時代に在っても酷い目に遭い続けても、藤原道長(柄本佑)と出会ったことで未来を見つめることが出来ました。また道長が「地位は捨てる…一緒に逃げよう」と私的な感情を吐露した際も”まひろ”は「貴方には民のための政を行う使命がある」という公的な意見を伝え、未来を見据えた諫言を行いました。

 さて、劇中で道隆(井浦新)や伊周(三浦翔平)が定子(高畑充希)に「皇子を産め~」と言いまくったのは、現在の皇室典範(イチ法律)が「皇位継承者を男系男子に限定している事実」の隠喩だと私は考えています。「女性天皇も女系継承も認める」と改正するだけで確実に皇族女子は「男を産め」プレッシャーから解放されます。この効果は全日本女性にも波及し、因習の強い田舎でも例外なく影響力を持つはずです。それでも「男を産め」と強要する輩には「そんな時代じゃねーし」と言えます。

 そうは言っても出産には命のリスクを伴うため男女の不平等性は残ります。ココを埋めるには「兵役は男だけ」とする以外にないと私は感じます。兵役を務める年代が過ぎようとしている筆者が言うのは卑怯だとも思えますが…。

 劇中の摂関政治時代(平安中期)、女子と帝は権力者(藤氏長者:♂)の道具でした。源平期~戦国期には男のプレゼンスが爆上がりして男尊女卑が最高潮に達し、太平の江戸期も朱子学が官学となったために儒教が男尊女卑を支え、帝国主義の世界に漕ぎ出した明治~戦前昭和は再び男性性が高評価を受け、戦後(高度成長期~バブル期)は男尊女卑の居心地の良さを捨てたくない権力者(為政者・経済人・学者・マスコミ人:♂)が「♀は銃後で企業戦士を支えろ」と言い、男が経済的優位性を保障できなくなった今(平成不況~)も男尊女卑が続いています。こんな現状を劇的に変えるためにも愛子天皇の即位が必要だと私は考えます。    

文責:京都のS

5 件のコメント

    京都のS

    2024年7月24日

     SSKA様、※ありがとうございます。「時代を背負う覚悟が大きい人」は我が国では政官財学報の何処にも居なくなりました。いや、権力を放棄して久しい皇室になら居られると言ってよいのかもしれませんね。

    SSKA

    2024年7月24日

    性の役割が固定化しない時代に男らしさを過剰に求められるのも非常に生き辛いです。
    前近代における元来の男系は氏の長者や実力主義の武士が公の精神によって領地や領民を守る為に自ら責任とリスクを負う事から支持されていたのだと思われますが、現代の男系主義者の中にそういった武士らしい命を懸けるほどの覚悟を持ち合わせた人なんて一人もいないので、LGBT批判も皇室の男系主義も全く支持されないのはその為でしょう。
    近代化以降時代を経ながら男女の不平等さが埋められて来たのが現代ですから、男でも女でも時代を背負う覚悟が大きい人ほど支持されるのは当然の結果としか言えないはずです。

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2024年7月24日

     ふぇい様、掲載&※ありがとうございます。
     「波及効果」が全日本女性を救うのは確実であり、東アジアの儒教圏国家(with男尊女卑)が悉く少子化している事実を思えば、これこそが最強の少子化対策にして国力増強策だと思われ、ここに気付けない御仁はナショナリストを名乗るべきではありませんね。

    ふぇい

    2024年7月24日

    投稿ありがとうございます。

    >「女性天皇も女系継承も認める」と改正するだけで確実に皇族女子は「男を産め」プレッシャーから解放されます。この効果は全日本女性にも波及し、因習の強い田舎でも例外なく影響力を持つはずです。

    この波及効果が予測できないのか、本当に男尊女卑を手放したくないのか。
    本当にいい加減にしてほしいですね。

    京都のS

    2024年7月23日

     掲載ありがとうございました。「光る君へ」や『源氏物語』を題材にしたものは以下です。

    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 1st season」( https://aiko-sama.com/archives/35405
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37751
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38829
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 4th season」( https://aiko-sama.com/archives/40097
    ・「「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/41148
    ・「「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/41253
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/41618
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 8th season」( https://aiko-sama.com/archives/41824
    ・「男の嫉妬が英雄を冷遇するなら、トップは女子で良くないか?」( https://aiko-sama.com/archives/35425
    ・「男系固執の鬼どもを退治てくれよう」( https://aiko-sama.com/archives/39215
    ・「革命的皇位簒奪への対策を『源氏物語』から学ぶ」( https://aiko-sama.com/archives/36977
    ・「儒教的男尊女卑に利用されてきた血穢概念を葬れ!」( https://aiko-sama.com/archives/37641
    ・「尊皇心0な輩は永遠に呪われろ!」( https://aiko-sama.com/archives/38188

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