
11月19日放送の「知恵泉」(Eテレ)は江戸末期の幕臣・鳥居耀蔵を採り上げていました。
鳥居耀蔵は、朱子学者・林羅山を祖とする林家に次男として生まれ、旗本の鳥居家へ養子に出されて当家を継ぎました(1820)。やがて耀蔵は幕府に出仕して順調に出世し、大塩平八郎の乱(1837)の事後処理にも目付として当たり、江戸湾調査(1839)で洋式測量技術に触れてからは、儒者の血が騒いだのか洋学の隆盛に危機感を抱き、渡辺崋山・高野長英ら洋学者を弾圧しました(蛮社の獄:1839)。この件で老中・水野忠邦の目に留まった耀蔵は、密偵を使って失脚させた南町奉行・矢部定謙の後任に収まり(1841)、水野の腹心として天保の改革(緊縮財政・文化破壊:1841~43)を苛烈に推進しました。
しかし、この頃の日本列島は天保の大飢饉(1833~39)によって農村が破滅的に疲弊しており、局地的には二宮金次郎の農村改革(1822~37:小田原藩・下野桜町領=栃木県真岡市)が成功したものの、全国的には一揆や打ち壊しが頻発し、その最大級のものが大塩の乱でした。また、大坂の堂島米市場における投機的な先物取引も米価高騰と一揆・打ち壊しの原因であり、つまり飢饉によるモノの供給過小(コストプッシュインフレ)を博打経済(ネオリベ)が加速させ、その上に圧し掛かったのが天保の改革(朱子学的規範に基づく緊縮財政)ですから、空前のスタグフレーション(大不況+物価高騰)を起こしました。
ところで、上記した二宮金次郎の改革は、飢饉で疲弊した農民の年貢を数年間減免し、農閑期には橋や堤などの公共事業に携わらせて食い扶持を保障するというケインズ政策であり、後に米が増収して財政再建も達成されました。明治天皇は執務室に二宮金次郎の像を置いていたそうですが、これは仁徳天皇の治世に通じる金次郎の農政を気に入られたためだと私は拝察します。
しかし、江戸期や明治期ならぬ晩婚化&少子化の現代にあっては、家庭や地域から儒教的男尊女卑の因習が解消されない限り人口減少(ヒト・モノの供給過小)は続き、従ってケインズ政策もムダ打ちに終わります。ゆえに「道徳なき経済は犯罪、経済なき道徳は寝言」という金次郎の名言に倣えば「男尊女卑の解消なきケインズ政策は犯罪」となり、であれば「道徳を寝言」にしないためにも、ケインジアンこそが男尊女卑解消の号砲と成り得る愛子天皇誕生を求めるべきなのです。
文責:京都のS
6 件のコメント
京都のS
2025年11月14日
ちなみに、上杉鷹山(寛政改革期の米沢藩主)は「黒井堰」という公共事業で利水して米の増収を図りましたが、二宮金次郎(天保改革期に下野桜町領へ派遣された小田原藩の役人)は「青木堰」を造って米を増収させました。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2024年11月25日
くぁん様、コメありがとうございます!大楠公(楠木正成)も大西郷(西郷隆盛)も天皇の忠臣ですね。金次郎の像が同じ文脈(臣・尊徳)で造られたかは不明ですが、その仕事ぶりと生き方は明治天皇の心を捉えたものと思われます。
なるほど、「真面目な金次郎はダサい」的な気分はバブル期には蔓延していたでしょうし、それを「歩きスマホは危険」という後付けの理由で上書きしたのでしょう。しかし、後に「バブルの狂騒」も「金次郎の刻苦勉励」も共に経済的な繁栄だけを求める姿勢だと否定され、「心の豊かさ」みたいなものが称揚されましたが、それはバブル崩壊から40年不況に突入する時代を先取りしてしました。「貧乏でも心が豊かならOK」的な。算盤も論語も捨て去った先に今の惨状があります。その理由は、それより早く刀(論語や算盤を守る力)を捨てていたからです。GHQの命令で。
三島由紀夫は「日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残る…」と言いましたが、刀を捨てた結果として論語も算盤も捨てることになりました。以上、憂国忌(三島事件の日)に寄せて。
京都のS
2024年11月25日
ちなみに、鳥居耀蔵が南町奉行だった頃に北町奉行だったのが遠山金四郎景元、つまり遠山の金さんです。天保の改革を進める水野忠邦とは激しく対立し、芝居小屋を守ったりしましたが、やがて水野に罷免されました。水野失脚後は南町奉行になったようです。なお史実の金四郎は桜吹雪の刺青はしていません。
くぁん
2024年11月25日
二宮金次郎の銅像は、今や学校では見かけなくなりました。最初は絵で描かれていた尊徳が、初めて3D化されたのが、岡崎雪聲(せっせい:西郷隆盛、楠木正成像の鋳造で有名らしい)作の鋳造モノで、彫工会に出品されたそれを明治天皇が買い取ったらしいですね♪その後、GHQが撤去しただの(GHQはその”苦学スタイル”がリンカーンと重なるから、むしろ尊徳推しだったようですが)、交通事故などへの配慮から、本(昨今ではスマホ)を見ながら歩くのは、教育上よろしくないということで撤去されたとか…色々あるようですが、結局のところ、高度経済成長やバブルに向かっていく中で、ただ単に、『質素勤勉スタイル』が流行らなくなったというのがホントのとこらしいです(笑)。つまり、この美徳も日本人自ら捨ててしまったのでしょうね。
世の中、社会の安定の為には『経済と道徳がセット』、この考え方はとても重要だと思います。どちらかが特化していてもよくない…やはりバランス的に、この尊徳さんや渋沢さんの名言は素晴らしいと思うのです♪
京都のS
2024年11月24日
かつて「風と雲と虹と」という大河ドラマがあり、それは同時代を生きた平将門と藤原純友が主人公で、2人とも平安朝に反旗を翻しました(承平・天慶の乱、将門は坂東・純友は瀬戸内)。2人は顔を合わせていなかったかもしれませんが、フィクションだから2人が盟友でもOKです。放送中の「光る君へ」も紫式部と藤原道長は若い頃に顔を合わせているはずが無いと言われていますが、ご覧の通りです(笑)。
さて、もし「風と~」ばりに二宮金次郎(尊徳)と大塩平八郎(中斎)が同じ志を持つ親友だったなら、そして金次郎が農政で農民を救い、平八郎が武装蜂起で町人を救おうとしていたとしたらどうでしょうか?金次郎の藩政改革は山田方谷(微衷松山藩を建て直した)や渋沢栄一(日本資本主義の父)、三岡八郎(新政府の初代財相)らに影響を与えたかもしれず、平八郎の武装蜂起は吉田松陰や高杉晋作、西郷隆盛らにも影響を与えたはずです。ちなみに上記の人々は大なり小なり陽明学の影響を受けています。
ぜひ金次郎と平八郎が主人公の大河ドラマを観てみたいものです。敵役は水野忠邦、鳥居耀蔵、米市場に集まる先物博徒などです。もし許されるなら坂本龍馬・五代友厚・英国商人らも敵役で(笑)。最終盤では、明治天皇の執務室に金次郎像が有り、その傍らに西郷隆盛が控えるような画も見られることでしょう。
京都のS
2024年11月24日
掲載ありがとうございました。ケインジアン男系派のついでにネオリベ緊縮派も斬るシリーズの第8弾です。
「真剣さが見えない『天皇なきフェミニズム』に物申す!」( https://aiko-sama.com/archives/46448 )ではフェミニスト反天派の愚かしさを衝きましたが、やはり男系派も叩いておかにゃいけません。
第1弾~第7弾は以下です。
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!1st season」( https://aiko-sama.com/archives/36871 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37083 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38400 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!4th season」( https://aiko-sama.com/archives/42223 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/43664 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/46020 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/46118 )
他にケインズ主義について書いた記事は以下です。
・「インペリアル・グローバリズムという悪夢2」( https://aiko-sama.com/archives/33381 )
・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084 )
・「歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(下)」( https://aiko-sama.com/archives/22681 )
・「権力者・愛子天皇の治世を仮想してみれば…」( https://aiko-sama.com/archives/22571 )
・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107 )
・「思想マトリックスに皇統問題を加味してみた(表)」( https://aiko-sama.com/archives/29761 )
・「博愛と競合の間(余)~圧倒的に節度が足りない!」( https://aiko-sama.com/archives/37381 )
・「合理と感情の間~良識なき言論人を葬送せよ!」( https://aiko-sama.com/archives/38156 )