ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 5th season

Post's thumbnail

 共同通信(9月1日)によれば、人口減少の克服と東京一極集中の是正を目指す地方創生について自治体の68%が「取り組みの成果が不十分」とし、また地方からの女性流出については60%が「雇用などの男女格差が影響」と回答したそうです。つまり、国力を落とす人口減少は男尊女卑が原因だと中央も地方も凡そ認めていると言えます。しかし、雇用における男女格差是正の方法論には一悶着が予見されます。そこで、以下では少し歴史を繙いてみます。

 9月2日放送の歴史番組「英雄たちの選択」(NHK)は歌人で評論家の与謝野晶子を採り上げていましたが、平塚らいてうVS与謝野晶子の母性保護論争は、第118回ゴー宣DOJO「女性活躍とは何か?」(5月26日)での議論とリンクしていると感じられました。平塚は国家が妊産婦に経済上の保護を与えるべきと主張し、対する与謝野は男も女も経済力を付けてから結婚すべきと主張しました。この対立をDOJOの議論に重ね合わせると、与謝野がリベラル(≒女は男と同じ土俵で勝て・産むか産まないかを国が指図するな)で平塚が保守(≒子は国の宝・子を産む女を尊重し保護せよ)と比定できましょう。付言しておくと与謝野晶子は働きながら12人の子を産み育てた有言実行の人でした。

 当該の番組はゲストもMCも有名な「君死にたもうことなかれ」に現れた反戦思想も込みで与謝野を絶賛していました。要するに「子を持つのは勝ち組だけで良い」「産むか産まないかは個人の自由」「少子化なんか気にするな」という現代日本の空気に合致した結論を公共放送の番組が肯定したことになり、こうした風潮では人口減少や女性流出への対策も心許ないと言わざるを得ません。

 一方の平塚らいてうと言えば「原始、女性は太陽であった」の一文が有名ですが、これは太陽の女神アマテラスを最高神として祀り、古代から多くの女性首長が立ち、女帝の即位や女系継承を公認する法(養老令)も制定され、実際に女帝が大活躍した時代も有った日本の国柄とは完全に合致します。また愛子様の立太子や即位が成った場合における男尊女卑克服の効果は地方にも遍く波及すると思われます。そして平塚の志向した母子の保護は現代日本でも時宜を得た有効な少子化対策となりましょう。ちなみにケインジアン双系派の私としては母子の保護にも雇用創出にもケインズ政策が有効だと付け加えておきます。    

文責:京都のS

5 件のコメント

    京都のS

    2024年9月7日

     れいにゃん様、※ありがとうございました。サラッと見た人は女性天皇のことまで想起しないと思いますよ。「君死にたもうことなかれ」と言って日露戦争に反対した与謝野はカッコイイ!じゃないかと思います。そして平塚らいてうの「原始~」以降は、私が本論を立論するためにブッ込んだエピソードです。本番組におけるNHKの姿勢はネオリベ&反戦平和が本音だったのでは?と感じています。

    京都のS

    2024年9月7日

     くりんぐ様、※ありがとうございました。「子を持つか否かは個人の意思が尊重されるべき」件は、おそらく与謝野VS平塚の主要論点ではなく、国家による母と子への経済援助の是非が争点だと感じました。磯田氏やゲストらは国家が口出しするなという与謝野に共感していました。
     また、緊縮財政で兵糧攻めしながら、「子を産んだら援助してやる」的な行き方は、「光る君へ」で藤原伊周(三浦翔平)が中宮定子(高畑充希)に「皇子を産め~」と迫ったのと変わらないように感じてしまいます。「子を産め~」みたいな。

    れいにゃん

    2024年9月7日

    非常に興味深く読ませていただきました。NHKが又しても女性天皇を連想させる番組を放送したのですね。「原始、女性は太陽であった」平塚らいてうは男女同権を唱えていません。本来女性は敬われるべき存在であり、近代国家こそ、その感性のまま運営しないと滅んでしまいます。

    くりんぐ

    2024年9月7日

    子を持つか否かは、個人の意思が尊重されるべきです。

    現代日本では、子育てにかかる経済的負担の大きさが、妊娠・出産の適齢期である20代〜30代半ばの世代が子を持つことをためらう要因になっています。
    与謝野晶子方式で男女が同じだけの経済力を持つまで妊娠・出産を待ったら、妊娠・出産の適齢期はあっという間にすぎて子を授かりにくくなってしまい、子供を持つことを諦めざるを得なくなる人は確実に増えるでしょう。

    特に妊娠・出産で莫大な負担のかかる女性の意思が尊重されなくては、少子化は止まりません。

    京都のS

    2024年9月6日

     掲載ありがとうございました。ケインジアン男系派のついでにネオリベ緊縮派も斬るシリーズの第5弾です。

     第1弾~第3弾は以下です。
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!1st season」( https://aiko-sama.com/archives/36871
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37083
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38400
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!4th season」( https://aiko-sama.com/archives/42223

     他にケインズ主義について書いた記事は以下です。
    ・「インペリアル・グローバリズムという悪夢2」( https://aiko-sama.com/archives/33381
    ・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084
    ・「歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(下)」( https://aiko-sama.com/archives/22681
    ・「権力者・愛子天皇の治世を仮想してみれば…」( https://aiko-sama.com/archives/22571
    ・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107
    ・「思想マトリックスに皇統問題を加味してみた(表)」( https://aiko-sama.com/archives/29761
    ・「博愛と競合の間(余)~圧倒的に節度が足りない!」( https://aiko-sama.com/archives/37381
    ・「合理と感情の間~良識なき言論人を葬送せよ!」( https://aiko-sama.com/archives/38156#comments

コメントはこちらから

全ての項目に入力が必須となります。メールアドレスはサイト上には表示されません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。