「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 11th season

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 「光る君へ」はパリ五輪により1週空きましたが、直前が衝撃展開だったためか未だ余韻が続いています。一条帝(塩野瑛久)が死んだ中宮・定子(高畑充希)に固執し続けたからと思しき大旱魃に対し、藤原道長(柄本佑)は自らの寿命10年と引き換えに安倍晴明(ユースケ)に雨乞いの祈祷を依頼し、間もなく久しぶりの慈雨が民を潤しました。劇中の道長が公のためにココまでやれるのは「民のための政」を願う”まひろ”との約束ゆえでしょう。

さて、小倉百人一首に選ばれた和歌が突出して多いのは「光る君へ」の時代で、清原元輔(清少納言の父・大森博史)・右大将道綱母(藤原寧子財前直見)・儀同三司母(高階貴子板谷由夏)・大納言公任(藤原公任町田啓太)・和泉式部(大江あかね泉里香)・紫式部(藤原まひろ吉高由里子)・大弍三位(紫式部の娘・藤原
賢子
南沙良)・赤染衛門(凰稀かなめ)・小式部内侍(和泉式部の娘・?)・清少納言(清原ききょうファッサマ)・伊勢大輔()…といった10名以上が選ばれています(赤字:劇中役名緑字:演者名)。

また「光る君へ」では和歌に関して粋な演出が為されています。それは死期の迫った貴人(♂)が枕元に来たパートナー(♀)の代表歌を暗誦するという演出です。藤原兼家(段田安則)は妾・寧子の「なげきつつ・ひとりぬる夜の・明くるまは・いかに久しき・ものとかは知る」を、藤原道隆(井浦新)は嫡妻・高階貴子の「わすれじの・行く末までは・かたければ・今日を限りの・命ともがな」を暗誦しました。これを踏襲するなら、藤原道長は源倫子(黒木華)でも源明子(瀧内公美)でもなく、魂の恋人としての”まひろ”を枕元に呼んで「めぐりあひて・見しやそれとも・わかぬまに・雲隠れにし・夜はの月かな」を暗誦していただきたいです。

「光る君へ」は”まひろ”と道長が主人公ですから、彼らが最も公のことを考え、むしろ帝の周辺(一条帝・定子・伊周・清少納言…)が私に走っています。しかしながら、現実世界で公を考えているのは皇族方だけと言っても過言ではありません。であれば、せめて婚姻や歩まれる道筋の多くは皇族方の望まれる通りにして差し上げるべきだと私は考えます。愛子様が立太子や即位を望んでおられると拝察されたら当然そうあるべきであり、また愛子様の見初められた皇婿殿下と、上記の演出みたいに睦まじく歌を詠み合っていただきたく思います。    

文責:京都のS

4 件のコメント

    京都のS

    2024年8月18日

     れいにゃん様、※ありがとうございました。東京都知事選による休み(7月7日)の前も石山寺で”まひろ”と道長が出会うところで終わりました。大石静は「引きの天才」ですね(笑)。
     あと一人、歌人で出してほしいのは、赤染衛門・紫式部・和泉式部と並ぶ彰子サロンの女房・伊勢大輔です。
     和歌の文化を後代に残そうとしておられるのは皇室ですね。それだけに「光る君へ」は皇族方にとっても日本文化にとっても全日本国民にとっても重要な大河ドラマであるはずです。
     ドラマを通して「皇族が直面する悲哀」を伝えることで「時代に合わない制度を変える機運」にも繋がるでしょうし、民の、特に女性の生き辛さを描くことで「女性の地位向上に向かう機運」にも繋がると思われます。「光る君へ」は時宜を得た大河です。

    れいにゃん

    2024年8月18日

    和泉式部の登場で、当代の歌人が遂に出揃った感があります。「いずれの御時か…」のセリフも登場して、遂に物語を書き始めたまひろ!道長が訪ねてきたところで一回休みという、じらし演出?の大河ドラマに魅かれています。
    道兼・道隆親子の最後の歌のシーンはニクい演出でした。道長は、歌を送らないまま、いきなり倫子のところに行く無粋ぶり(公の為に、倫子の財は必要とされている)
    道長で同じ演出のシーンが描かれるとしたら…、注目しておきます。

    京都のS

    2024年8月17日

     トップ画像が「龍神」である理由も書いておきます。大旱魃を納めるべく道長は晴明に雨乞いを依頼しましたが、祈祷の儀式で唱えられた文言は「龍神!広く厚く雲を作り、甘雨を降し給え!民の渇きを潤し給え!」でした。その「龍神」を現わしています。イメージしたのは「千と千尋の神隠し」の「ニギハヤミコハクヌシ」(ハク)です。

    京都のS

    2024年8月17日

     掲載ありがとうございました。早くも11回目です(笑)。「光る君へ」や『源氏物語』を題材にしたものは以下です。

    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 1st season」( https://aiko-sama.com/archives/35405
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37751
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38829
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 4th season」( https://aiko-sama.com/archives/40097
    ・「「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/41148
    ・「「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/41253
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/41618
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 8th season」( https://aiko-sama.com/archives/41824
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 9th season」( https://aiko-sama.com/archives/42000
    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 10th season」( https://aiko-sama.com/archives/42094
    ・「男の嫉妬が英雄を冷遇するなら、トップは女子で良くないか?」( https://aiko-sama.com/archives/35425
    ・「男系固執の鬼どもを退治てくれよう」( https://aiko-sama.com/archives/39215
    ・「革命的皇位簒奪への対策を『源氏物語』から学ぶ」( https://aiko-sama.com/archives/36977
    ・「儒教的男尊女卑に利用されてきた血穢概念を葬れ!」( https://aiko-sama.com/archives/37641
    ・「尊皇心0な輩は永遠に呪われろ!」( https://aiko-sama.com/archives/38188

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