ナショナリスト同士なら話は通じるはずだが?

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 大河「べらぼう」では、再び江戸城パートが緊迫しました。10代将軍・徳川家治(眞島秀和)と側室・知保(高梨臨)との子・家基(西の丸様:奥智哉)が鷹狩の最中に急死し、田沼意次(渡辺謙)による毒殺が疑われたからです。経緯は以下です。田安賢丸(→白河藩主・松平定信:寺田心)の妹・種姫(小田愛結)は家基に嫁ぐことが決まっており、種姫から家基への贈り物の相談を受けた大奥総取締・高岳(冨永愛)が田沼の持ち物に目を止め、同じ職人の手による手袋が家基に贈られ、それを着けていた家基が失敗を悔しがり爪を噛んだ直後に倒れました。平賀源内(安田顕)に調べさせて手袋の細工に気付いた意次は急いで長谷川宣以(西の丸の進物番:中村隼人)に回収を命じましたが、既に政敵の松平武元(老中首座:石坂浩二)の手に渡っていました。武元に呼び付けられた意次が茶室に入り、証拠品を前に尋問が始まるかと思いきや、「西の丸様を毒殺した外道はそなた以外の誰か」だと言います。これは意次が座頭金の取り締まりを家治や家基に進言した際の理由が忠義ゆえだと理解していたからでした。つまりナショナリスト同士は思いが通じるということです。しかし、家基毒殺の下手人は田沼ではないと知保に伝える旨を約束した武元でしたが、その前に一橋治斉(生田斗真)の意を受けた何者かに暗殺されました。

 エレキテル商売の失敗で落ち込んでいた源内は、意次の依頼を成功させると、次に蝦夷地の金山開発を持ち掛けました。当時から蝦夷地(北海道)の領土と資源はロシアに狙われており、これは後の文化露寇(1806)や伊能忠敬の測量(1800~1816)、「大日本沿海輿地全図」(家斉に提出:1821)とも関わります。出身藩との縁が切れた浪人の源内にとって田沼意次との絆こそが心の支えであり、2人は金銀流出を防ぐために輸入品(漢方生薬etc.)の国産化が急務との認識も一致していました。これもナショナリスト同士の絆でしょう。

 また吉原では蔦谷重三郎(横浜流星)の言葉が忘八親父たちを次第に動かし、女郎と芸者の待遇改善に動き出しました。つまり吉原パトリオット同士も思いが通じたわけです。

 然るに現代日本(劇中の250年後)では、なぜ我々と自称ナショナリスト・自称尊皇家との間で話が通じないのでしょうか。話は簡単です。彼らが保身のためなら侵略者(統一協会etc.)の意向にも易々と従う売国奴だからです。    

文責:京都のS

7 件のコメント

    京都のS

    2025年4月16日

     伊能測量隊が関わるのは以下です。ご覧ください。
    ・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084
    ・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 9th season」( https://aiko-sama.com/archives/46734

    京都のS

    2025年4月16日

     ジョージ様、※ありがとうございます。ナショナリズム(国民主義)とは国民全体にとって何が大事かを希求し、定めたら全力で守っていく姿勢かもしれませんね。それも時代によって変わり得るもので、明治期~戦前昭和なら帝国主義への適応でしょう。それを国家VS市民という対立構造のみに回収する左派はステーティズム(政府主義)との区別が付いていませんし、さらには世間主義(世間の好戦的な空気がマスコミとの相乗効果で国内の気圧を高める)が人気主義(ポピュリズム:国民の圧倒的な軍への支持)に移行し、それがステーティズム(戦中日本なら軍官僚に壟断された状態)に至ったという歴史的背景を認識せず、ナショナリズム批判をしてれば戦争を防げると勘違いしています。当然ながら世間主義は右派世間にもあり、現代なら男系固執世間が典型ですね。

    あしたのジョージ

    2025年4月15日

    田沼意次が家基の暗殺を疑われて松平武元に呼び出された時は、ひやひやしました。🥶
    でも疑われてなかった事がわかると白眉毛ありがとうと思いました。😀
    喜びもつかの間、武元もおそらく一橋治斉の仕業で暗殺されてしまいました。🥺
    せっかく田沼意次と武元がわかりあえたと思ったのに。あの鷲鼻めが〜
    田沼意次と松平武元、田沼意次と平賀源内
    みんな世の中を良くしたい想いは、いっしょだと思います。
    何を大事にしていかなければいけないかと常に考えていると思います。
    ナショナリストってそういう事でしょうかね~🤔

    京都のS

    2025年4月15日

     枯れ尾花様、※ありがとうございます。ファンミも面白かったですね。礒田湖龍斎(鉄拳)のフリップ芸とかも(笑)。
     トランプはグローバリズムを終わらすという意味でゲームチェンジャーですね。同じ伝で行くなら、田沼意次は重農主義(農民と武士の経済)から重商主義(商人の経済)への変化を捉え、時処位に応じた幕政改革を行ったゲームチェンジャーです。時代が変わる時には異能の人が登場するわけですね。しかし、ウクライナを見捨てるトランプの行き方は国際正義を踏み躙っており、従って自分なりの正義を掲げて意見を戦わす田沼意次&松平武元の方が遥かに高級だと思えてきます。自国や自分の利益しか目に入らないトランプや日本の保身系男系固執者は怪物・一橋治斉に近いのかもしれません。

    枯れ尾花

    2025年4月15日

    この回を観る前にべらぼうファンミーティングという番組に安田顕さんや中村隼人さんが出演されてましたね。それ観てたんでお二人の登場場面はより注目しましたよ。それにしても源内さんのメンタル、ちょっとやばい方向にいってしまいそうな予感が···
    田沼意次を嫌っていた松平武元は彼の金を重要視する考え方が気に入らなかったようですが、ナショナリストであることは認めていたんですね、流石です。私は何だかよしりん先生のライジングでのトランプ大統領批評と合わせてみると、田沼意次とトランプの政治家としての姿勢が結構似てるんじゃないかと思いましたよ。

    京都のS

    2025年4月15日

     「輸入品の国産化」の話題なら以下も参照です。
    「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 11th season」( https://aiko-sama.com/archives/46948
    「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 18th season」( https://aiko-sama.com/archives/51972

    京都のS

    2025年4月15日

     掲載ありがとうございました。「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」や吉原の要素を含むブログは以下です。

    ・「『べらぼう』が始まった今だから言っておきたい平賀源内異聞」( https://aiko-sama.com/archives/48334
    ・「『光る君へ』と『べらぼう』を繋ぐレイラインと愛子天皇への道」( https://aiko-sama.com/archives/49128
    ・「『血のスペア』という非人道的システム」( https://aiko-sama.com/archives/49347
    ・「『○○売れ』とは『景気の気』」( https://aiko-sama.com/archives/50040
    ・「正しい改革も楽しませながら訴える時代だから」( https://aiko-sama.com/archives/50174
    ・「血統書付きのホシュを今すぐ終焉させよ!」( https://aiko-sama.com/archives/50602
    ・「皇室で飯食ってる奴が皇統断絶推進ってどういう了見だ!?」( https://aiko-sama.com/archives/50851
    。「愛子様は127代目として即位していただくべきでありんせんか?」( https://aiko-sama.com/archives/51467
    ・「女性皇族を地獄に置き続けたがる人非人こそ地獄へ落ちよ!」( https://aiko-sama.com/archives/51677
    ・「大切なものはパトリオットにしか守れない!」( https://aiko-sama.com/archives/52091
    ・「時代遅れの価値観が時処位に適うこともある」( https://aiko-sama.com/archives/52390
    ・「小さな柵や対立も吹き飛ばすほど大きな風を起こそう!」( https://aiko-sama.com/archives/52504
    ・「弱者権力もルッキズム批判も排し、書で以て世を耕そう!」( https://aiko-sama.com/archives/52814
    ・「皇室という光を消す男系固執派こそ『世間の外』だと知らしめよ!」( https://aiko-sama.com/archives/53108

    ・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37751
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 15th season」( https://aiko-sama.com/archives/48744
    ・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 17th season」( https://aiko-sama.com/archives/50633

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