
「10th season 」では田沼意次の幕政について採り上げましたが、今回は大河ドラマ「べらぼう」も参考にして深掘りします。
まず、意次の父・意行は紀州藩主・徳川吉宗に仕え、吉宗が8代将軍に就任すると旗本となり、息子の意次は9代家重に重用されて1万石の大名(遠州相良藩主)となりました。さらに10代家治からも信任され側用人兼老中として幕政を支えました。意次は、株仲間(専売業者)公認とバーターの運上・冥加(重農主義→重商主義:税制改革)、南鐐二朱銀発行(東西貨幣圏統一:金融政策)、さらに絹織物や漢方生薬など輸入品の国産化(貿易赤字解消)、印旛沼干拓(洪水対策・水利・新田開発)や蝦夷地調査(鉱山開発・輸出品開発・対ロ海防)などの公共投資(財政政策)も行いました。以上は全てケインズ政策の効果も発揮します。
当然ながら相良藩政も同様でした。防火対策(藁葺き→瓦葺きwith助成金)、街道や港湾の整備、製塩・養蚕・ハゼ(蝋燭の原料)栽培などの産業振興…これらは公共投資であり、そこから得られた運上・冥加によって年貢を上げずに藩財政が潤いました。同時期のケインジアン政治家には上杉鷹山(17th season )がおり、その系譜は徳川家斉(22nd season)・二宮金次郎(8th season)・山田方谷…から高橋是清(12th season)や田中角栄(13th season)まで続いていきます。その源流を探れば仁徳帝や持統帝の治世にも遡ることができ、つまりケインズ政策は我が国の伝統だと言えます。
しかしながら、不可逆的とも思える少子化の現代日本では生産と消費を担う人口が減り続けており、従ってケインズ政策の伝統も活かせない状況です。そんな中、政府与党は積極財政の可能性をチラつかせつつ政略結婚を勧め(〇万円の壁≒結婚したら有利!?)ています。そういう卑劣な政府与党ですから、皇位継承問題でも皇族女子の結婚相手が旧11宮家の子孫だった場合のみ皇族とし、その間に産まれた男子の皇位継承資格を認めるという実質上の政略結婚を勧めるわけです。しかし、皇族女子の結婚相手は身分に因らず皇族とし、子には性別に因らず皇位継承資格が認められれば全てが解決するのです。そうすれば積極財政を人質にして自国民の女性を兵糧攻めにするという非道を働かずに済みます。
しかも愛子天皇フィーバーという最強の「景気の気」まで付加されるのです。
文責:京都のS
6 件のコメント
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年5月11日
SSKA様、※ありがとうございます。翼の左右を問わない財務省批判については本シリーズ第23弾( https://aiko-sama.com/archives/53979 )で述べました。GHQがジャップに戦争させないために講じた策が「憲法9条+財政法4条」なのですから、財務省解体のデモ隊参加者が財務省前で数百人が割腹自決なり焼身自殺なりを敢行して政府要人を心底から恐怖させなきゃ事態は動きません。これは他者を巻き込まないテロリズムです。それでも何一つ動かないだろうと私は読んでいますが。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年5月11日
基礎医様、※ありがとうございます。高度経済成長(1955~)はJMケインズも高橋是清も好意的に見るかもしれませんが、これは復興特需(内需)と朝鮮戦争特需(外需)が「景気の気」として働いて自然な人口増をもたらした結果の現象だと思われます。つまり財政法4条(公債発行禁止)下にも拘わらず経済成長できる条件が揃っていました。だから戦後バブル崩壊(五輪後不況)の直前に財政法4条に「建設国債」というアリの一穴を開けた田中角栄は偉いと考えます。
さて、西田昌司氏は「反米主義=西部イズム」と考える他の弟子筋と共通の認識(反米親ロになりがち)ゆえ、沖縄県民が旧日本軍や日本政府より米軍の方がマシと捉える行き方に我慢がならなかったのでしょう。真正「西部イズム」は「時処位」と「平衡」でしょうに。嗚呼…。私は氏に『愛子天皇論3』を持って行く算段(「馬鹿じゃないはず」という手紙を添えて…)だったのですが…。嗚呼…。
SSKA
2025年5月11日
田沼意次による民衆の為の治世を批判したのは排他的でエリート意識の強い朱子学徒達で、皇統の男系主義も同様に封建社会の身分と差別を固定する考えを近代化後の皇室に押し付ける朱子学や儒教の一端なのですが、現代の積極財政派の三橋、中野、藤井、⋯政治家ではコメントにも書かれている西田等は何故か本来拒否すべき相反する考えが同居し自身を真正保守だと思い込んでいます。
財務省批判に国民から一定の支持が集まりながら今一積極財政に傾かないのも政府依存の下心が論者の内部に見え透いていて信用が得られず、結局一時的なカンフル剤効果と選挙対策のばら撒き以外公共の役目を果たさないからだと思います。
経済家でも国民の為を本気で思えば皇室の性差別を無くし活力を高める考えに寄り添えるはずですし(単純に人口流出と高齢化による孤立集落とも共通しているので)、皇室の窮状から目を背けて持論に拘るところも弱者への配慮より政府を梃子に考え自らは奮起しない他力本願が透けて見えます。
沖縄の事を全く勉強しない西田昌司も男系やネトウヨ的悪しき部分がこれでもかと滲み出ているので完全に自業自得としか言えませんね。
歴史は史料検証でしか評価出来ないと頭にあれば迂闊な発言は避ける様に自ら律しますが、男系主義=妄想と願望が混濁し史料の無いものを史実と思い込む病気に罹ると他の分野の思考も同様に腐って行くその実例を示したに過ぎません。
安倍晋三が率いていた船も泥舟か、幽霊船みたいなもので、誇張でも何でもなく今も尚乗りたがる人間は全員あの世に引き込まれますよ。
基礎医学研究者
2025年5月11日
>京都のSさん
日本の伝統は、正しい意味でのケインジアン。たしかに、そうかもしれませんね。自分、個人的には、高度経済成長期までの日本をケインズに見せたら、ケインズはけっこう感動するのではないかと、思っています!
さて、西田昌司。自分、この人については、いつかこういうことが起こると、京都も生活圏である身としては、ずっと感じていました。正直、自分にいわせると、この人が西部邁の弟子というのは、西部さんに失礼だと思っています。まあ、この人だけでなく弟子と言う人は本当のところ、西部さんの思想を正しく受け継いでないとさえ、感じますが(この人は弟子というより盟友だと思いますが、佐伯啓思さんだけは、例外)。
でも、西田の自民党京都議員への影響は、かなり大きいのではないですか?どうも、ここの自民党議員がそろって男系疑いなのは、この人のせいだと最近は感じておりました。なので、この人は「愛子天皇論3」を渡せない人だと(きっと改心しないから)、現時点では感じております。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年5月11日
西田昌司氏(西部邁師匠の弟子にしてケインジアン)は要らんことしてくれました。このままではケインジアンという存在は一匹残らずネトウヨで男系固執派だと思われかねず、従って外来有害生物なみの駆逐対象となりかねません。むしろネオリベ緊縮派こそ保守でナショナリストだとの認識が定着しかねません。嗚呼…。
京都のS
2025年5月11日
掲載ありがとうございました。ケインジアン男系派のついでにネオリベ緊縮派も斬るシリーズの第25弾です。再び田沼意次です。
第1弾~第24弾は以下です。
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!1st season」( https://aiko-sama.com/archives/36871 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37083 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38400 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!4th season」( https://aiko-sama.com/archives/42223 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/43664 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/46020 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/46118 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 8th season」( https://aiko-sama.com/archives/46543 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 9th season」( https://aiko-sama.com/archives/46734 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 10th season」( https://aiko-sama.com/archives/46928 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 11th season」( https://aiko-sama.com/archives/46948 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 12th season」( https://aiko-sama.com/archives/47573 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 13th season」( https://aiko-sama.com/archives/47597 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 14th season」( https://aiko-sama.com/archives/48337 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 15th season」( https://aiko-sama.com/archives/48744 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 16th season」( https://aiko-sama.com/archives/50146 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 17th season」( https://aiko-sama.com/archives/50633 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 18th season」( https://aiko-sama.com/archives/51972 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 19th season」( https://aiko-sama.com/archives/52872 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 20th season」( https://aiko-sama.com/archives/53304 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 21st season」( https://aiko-sama.com/archives/53746 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 22nd season」( https://aiko-sama.com/archives/53796 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 23rd season」( https://aiko-sama.com/archives/53979 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 24th season」( https://aiko-sama.com/archives/54238 )
他にケインズ主義について書いた記事は以下です。
・「インペリアル・グローバリズムという悪夢2」( https://aiko-sama.com/archives/33381 )
・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084 )
・「歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(下)」( https://aiko-sama.com/archives/22681 )
・「権力者・愛子天皇の治世を仮想してみれば…」( https://aiko-sama.com/archives/22571 )
・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107 )
・「思想マトリックスに皇統問題を加味してみた(表)」( https://aiko-sama.com/archives/29761 )
・「博愛と競合の間(余)~圧倒的に節度が足りない!」( https://aiko-sama.com/archives/37381 )
・「合理と感情の間~良識なき言論人を葬送せよ!」( https://aiko-sama.com/archives/38156 )