
「23rd season」では「財務省解体デモ」に触れましたが、本稿ではデモの理論的支柱だと思われる『ザイム真理教』の著者・故森永卓郎氏に触れます。テキストは遺作『保身の経済学』です。森永氏は、政府が少子化対策を育児支援に集中させる理由は、高所得・共稼ぎのパワーカップル(キャリア官僚の夫婦にも多い)に有利な政策
にしたいからだと述べます。また岸田政権の「異次元の少子化対策」で不採用になった案に「N分のN乗課税」(個人ではなく世帯の所得に課税)があり、実現すれば所得差カップル(片稼ぎ世帯を含む)が有利となりますが、不採用の理由は女性を労働市場に動員したい企業の要請だと思われます。
その上で氏は、育児支援より結婚支援が必要と述べ、非婚を防ぐための少子化対策として①最低賃金の大幅な引き上げ、②消費税撤廃、③ベーシックインカム(BI)の3つ(さしB)を唱えます。私はココで違和感を覚えました。「完全雇用の達成」を唱えたケインズも「国力=国民の生産力」を唱えた高橋是清もBIを是としないはずです。また氏は①の成功例として韓国を挙げましたが、当の韓国はケインズ政策を実施しても世界一の少子化が進行中です。その理由は「18th season」で私が分析したように儒教的男尊女卑だと思われます。ゆえに非婚化対策には財政措置も重要ですが、それ以上に男尊女卑の解消が必須であり、そのためには愛子様の立太子で空気を一変させるべきなのです。
さて、森永氏は同著で野田佳彦氏(愛子天皇実現に動く尊皇政治家)を「ザイム真理教信者」と論難したり、アベノミクス(積極財政と見せかけた緊縮・成果は輸出好調のお陰)を過大評価する記述があったり、上記の片稼ぎ(≒専業主婦)擁護論からも伺える通り、左派にしてケインジアン男系派だと思われます。それゆえ財務省解体デモは左右の党派を超えた広がりを見せたのでしょう。また、氏が財政法4条問題(公債発行禁止:同条は憲法9条を補強すると大蔵官僚が明言)に最期まで触れなかった理由は、左右保革の敗戦受益者(9条保守)への気遣い、つまり死後にも及ぶ「保身」ではないかと疑ってしまうのです。
文責:京都のS
6 件のコメント
京都のS
2025年5月16日
ふぇい様、有難うございました!
出遅れたので読売新聞を読んでいるところです。
fei
2025年5月15日
「公債発行禁止」該当箇所修正しました。
京都のS
2025年5月15日
しまった。「氏が財政法4条問題(国債発行は税収の範囲内:同条は憲法9条を補強すると大蔵官僚が明言)」の部分は「4条問題(公債発行禁止:」の間違いでしたorz…。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年5月15日
明日鍍様、※ありがとうございます。故森永氏は財務省だけでなくグローバル経済(株主資本主義)も結構ガチに批判しています。でも!「財政法4条」にだけは最期まで触れませんでした。ここに戦後民主主義者の限界が有ると私は考えるのです。
京都のS
2025年5月15日
掲載ありがとうございました。ケインジアン男系派のついでにネオリベ緊縮派も斬るシリーズの第25弾です。故人の遺作を断罪する私は悪党ですが、公的な意義が有れば書くまでです。
第1弾~第24弾は以下です。
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!1st season」( https://aiko-sama.com/archives/36871 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37083 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38400 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!4th season」( https://aiko-sama.com/archives/42223 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/43664 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/46020 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/46118 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 8th season」( https://aiko-sama.com/archives/46543 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 9th season」( https://aiko-sama.com/archives/46734 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 10th season」( https://aiko-sama.com/archives/46928 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 11th season」( https://aiko-sama.com/archives/46948 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 12th season」( https://aiko-sama.com/archives/47573 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 13th season」( https://aiko-sama.com/archives/47597 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 14th season」( https://aiko-sama.com/archives/48337 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 15th season」( https://aiko-sama.com/archives/48744 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 16th season」( https://aiko-sama.com/archives/50146 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 17th season」( https://aiko-sama.com/archives/50633 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 18th season」( https://aiko-sama.com/archives/51972 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 19th season」( https://aiko-sama.com/archives/52872 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 20th season」( https://aiko-sama.com/archives/53304 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 21st season」( https://aiko-sama.com/archives/53746 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 22nd season」( https://aiko-sama.com/archives/53796 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 23rd season」( https://aiko-sama.com/archives/53979 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 24th season」( https://aiko-sama.com/archives/54238 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 25th season」( https://aiko-sama.com/archives/54670 )
他にケインズ主義について書いた記事は以下です。
・「インペリアル・グローバリズムという悪夢2」( https://aiko-sama.com/archives/33381 )
・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084 )
・「歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(下)」( https://aiko-sama.com/archives/22681 )
・「権力者・愛子天皇の治世を仮想してみれば…」( https://aiko-sama.com/archives/22571 )
・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107 )
・「思想マトリックスに皇統問題を加味してみた(表)」( https://aiko-sama.com/archives/29761 )
・「博愛と競合の間(余)~圧倒的に節度が足りない!」( https://aiko-sama.com/archives/37381 )
・「合理と感情の間~良識なき言論人を葬送せよ!」( https://aiko-sama.com/archives/38156 )
明日鍍 禮Xロックに抗議中
2025年5月15日
やはり「男尊女卑」は社会を停滞させる根源なのですね、この連中は兎角「財務省黒幕」論者ですが実際に日本人の収入が増えないのは「株主配当金」が30年で9倍にも跳ね上がる「株主資本主義」故でしょう。
「小泉構造改革」「アベノミクス」「岸田資産(当初は所得と言ってたが言い換えた)倍増」も、結局は「株主資本主義」の補強でしかありません。
会社を従業員に返還する処からやり直すべきですね。