
大河「べらぼう」では、天明狂歌ブームを牽引する狂歌師・四方赤良(大田南畝:桐谷健太)の青本(黄表紙)を出し、元木網(J小野田)の狂歌指南書『浜のきさご』もヒットさせた蔦屋重三郎(横浜流星)は「江戸一の利者」と呼ばれていました。日本橋に店を出せば箔が付くため、全国の本屋が買い付けに来るのですが、吉原大門前の蔦屋耕書堂が出す作品が江戸市中でヒットしても全国には波及せず、錦絵は西村屋(西村まさ彦)に、戯作は鶴屋(風間俊介)に勝てないままでした。それゆえ蔦重は日本橋進出を目指しますが、その前には吉原者差別という巨大な壁がありました。
蔦重と田沼意次(渡辺謙)との邂逅は干鰯(肥料)を商う和泉屋(田山涼成)に付いて田沼邸に入った時であり、田沼から「お前は吉原に客を呼ぶ工夫を何かしたのか?」と言われて覚醒し、平賀源内(安田顕)の序文をもらって『吉原細見・嗚呼御江戸』を出したことが出版に踏み出す切っ掛けでした。吉原の馴染みだった和泉屋の訃報が入ると忘八連合(女郎屋・引手茶屋)は弔いに行きますが、吉原者との同席は嫌だと言う弔問客のために屋外へ移らされ、雨に打たれて帰ってきました。
蔦重が忘八らに日本橋進出の協力を仰ぐと当然に拒否されますが、「俺は忘八ですが、俺ほどの孝行息子もいませんぜ」と食い下がり、「吉原もんが日本橋の真ん中に店張んですぜ」「そこで商い切り回しゃあ誰にも蔑まれたりはしねぇ」「それどころか見上げられまさぁ」「吉原は親も無ぇ子を拾ってここまでしてやんだって」「てぇしたもんだ吉原もんは懐が深ぇって」「俺が成り上がりゃその証になる」「生まれや育ちなんか人の値打ちとは関わりねぇ屁みたいなもんだって」「そりゃこの街に育ててもらった拾い子の一等でけぇ恩返しになりゃしませんか」「皆様、俺に賭けてくだせぇ!」と演説をかましました。
日本橋の地本問屋・丸屋の後地が空くと聞いた蔦重は狙いを定めますが、丸屋小兵衛(たかお鷹)の娘・貞(橋本愛)は大の吉原嫌いでした。後に貞は蔦重の妻となりますが、吉原者のUnbound(市中の吉原者への差別感情の解除)には恋愛・結婚を経るしかないのでしょう。
同様にリアルの現代日本でも国民の皇室入りというUnbound(身分差の超越)には恋愛・結婚を経る他なく、旧宮家系子孫の現存宮家への養子入り(違憲・違法)や、皇族女子に旧宮家子孫との結婚を強いる空気の醸成などは絶対に許されません。
文責:京都のS
5 件のコメント
京都のS
2025年6月18日
枯れ尾花様、※ありがとうございます。「生まれや育ちなんか人の値打ちとは関わりねえ、屁みたいなもんだって」は、竹田詐欺宮ら血統差別者に浴びせる場合にこそ相応しい言葉ですね。「お前さんはこれから版元として書を以て世を耕し、この日ノ本をもっともっと豊かな国にすんだよ」という源内の言葉は金銭的な意味じゃなく、須原屋が補強したように「心を豊かに」という意味ですね。これから松平定信による言論統制は心の貧困化をもたらします。これをUNBOUNDするのは蔦重や源内や田沼の「イズム」を引き継ぐ誰かでしょうね。ちなみに徳川家斉が定信を罷免(1793)するのは蔦重の死(1750)後です。
京都のS
2025年6月18日
ジョージ様、※ありがとうございます。「生まれや育ちなんか人の値打ちとは関わりねぇ」には実は少し困った部分も混入しています。「皇統の直系」という「生まれ」や「天皇陛下の振る舞いを傍で見てきた」という「育ち」まで否定しかねない要素だからです。でも、だからこそ現代の皇族方は『誡太子書』に触れたり自己研鑽を積んだりしてこられたわけです。
その展示は見たかったので裏山鹿ですわ。
枯れ尾花
2025年6月17日
私もジョージさんと同じく蔦重の駿河屋のおやじさま達忘八連合に対して日本橋に店を開きたい、それがこの吉原に育ててもらった自分の一番の恩返しになるんじゃありませんか、と熱い気持ちを訴えた場面には震えましたね。
また、この回でべらぼうの英語タイトルが何故「Unbound」と付けられたのかが分かった気がしました。そしてこれまでの蔦重が「吉原を良くしたい」という想いから源内さんから託された「書をもって世を耕す」との想いをより強く意識し始めたように感じました。
「生まれや育ちなんか人の値打ちとは関わりねえ、屁みたいなもんだって」
蔦重はこれから日本橋に出てゆくことで自身に向けられる差別感情とも戦うことになるんですかね・・・それにしてもこのセリフ「あなたとは血統が違うんです」と抜かしたあいつにも聞かせてやりたいですなあ。
あしたのジョージ
2025年6月17日
この回の蔦重の忘八達へ啖呵を切った場面には痺れました。🫨
吉原もんが世間から馬鹿にされて人の葬式に出てもまともな扱いされないなんておかしいと思い、自分が日本橋に店を出す事によってそれが無くなるならば何が何でもやるしかないという心意気がグッときましたね~🥹
運命は変える気になれば変えられると信じたいです。
愛子さまは天皇陛下になる為に生まれてこられたと思っています。
愛子さまの振る舞いを見てれば、ご自分の運命を受け入れているようにしか見えません。
旧宮家養子案なんて全くいらないですね~
そもそも憲法違反だと思います。
そんな事よりも男女関係なく皇位継承出来るようにすれば、面倒臭い事をしなくて済むのにわざわざ新しい身分を作ろうとしたりして……
男系男子に拘っていたら悠仁さまや将来のお相手の方にもご迷惑だということが分からないのでしょうか。
関係ないですが、この前の日曜日に上野の国立博物館で開催されてた蔦屋重三郎の特別展の最終日に行って来ました。
けっこう混んでいましたね~
べらぼうを観ている人達が来ていた感じでしたね~
浮世絵や狂歌などの色々な展示や耕書堂のセットもありました。
またやって欲しいですね~🤗
京都のS
2025年6月17日
掲載ありがとうございました。「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」や吉原の要素を含むブログは以下です。
・「『べらぼう』が始まった今だから言っておきたい平賀源内異聞」( https://aiko-sama.com/archives/48334 )
・「『光る君へ』と『べらぼう』を繋ぐレイラインと愛子天皇への道」( https://aiko-sama.com/archives/49128 )
・「『血のスペア』という非人道的システム」( https://aiko-sama.com/archives/49347 )
・「『○○売れ』とは『景気の気』」( https://aiko-sama.com/archives/50040 )
・「正しい改革も楽しませながら訴える時代だから」( https://aiko-sama.com/archives/50174 )
・「血統書付きのホシュを今すぐ終焉させよ!」( https://aiko-sama.com/archives/50602 )
・「皇室で飯食ってる奴が皇統断絶推進ってどういう了見だ!?」( https://aiko-sama.com/archives/50851 )
。「愛子様は127代目として即位していただくべきでありんせんか?」( https://aiko-sama.com/archives/51467 )
・「女性皇族を地獄に置き続けたがる人非人こそ地獄へ落ちよ!」( https://aiko-sama.com/archives/51677 )
・「大切なものはパトリオットにしか守れない!」( https://aiko-sama.com/archives/52091 )
・「時代遅れの価値観が時処位に適うこともある」( https://aiko-sama.com/archives/52390 )
・「小さな柵や対立も吹き飛ばすほど大きな風を起こそう!」( https://aiko-sama.com/archives/52504 )
・「弱者権力もルッキズム批判も排し、書で以て世を耕そう!」( https://aiko-sama.com/archives/52814 )
・「皇室という光を消す男系固執派こそ『世間の外』だと知らしめよ!」( https://aiko-sama.com/archives/53108 )
・「ナショナリスト同士なら話は通じるはずだが?」( https://aiko-sama.com/archives/53490 )
・「天才が真相に肉薄した稀代の作品を携えて進もう!」( https://aiko-sama.com/archives/53930 )
・「身近に感じられるからこそ素朴な尊皇心が育まれる」( https://aiko-sama.com/archives/54451 )
・「精神疾患に追い込む凄惨な扱いは今すぐ止めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/54725 )
・「巡る因果は恨みより恩!~国民と触れ合った戦後の皇室」( https://aiko-sama.com/archives/55257 )
・「目出てぇ結果を目指してポジティブに動いていこう!」( https://aiko-sama.com/archives/55635 )
・「愛子様の立太子・即位は『そう来たか』ではなく唯一解だ!」( https://aiko-sama.com/archives/56016 )
・「1章と3章の壁をUNBOUNDするのは両者の思いだけ!」( https://aiko-sama.com/archives/56404 )
・「野暮天としての男系固執派は己のカッコ悪さに気付こう!」( https://aiko-sama.com/archives/55150 )
・「大切な価値を未来に残すには因習の排除が不可欠」( https://aiko-sama.com/archives/55521 )
・「『光る君へ』から皇族女子の生き辛さを思う 2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37751 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 11th season」( https://aiko-sama.com/archives/46948 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 15th season」( https://aiko-sama.com/archives/48744 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 17th season」( https://aiko-sama.com/archives/50633 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 18th season」( https://aiko-sama.com/archives/51972 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 22nd season」( https://aiko-sama.com/archives/53796 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 25th season」( https://aiko-sama.com/archives/54670 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 27th season」( https://aiko-sama.com/archives/55913 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 28th season」( https://aiko-sama.com/archives/56530 )