「光る君へ」から皇族女子の生き辛さを思う 29th season

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 「光る君へ」は、世界的に見ても多くの女流作家を輩出した時代を描いており、『蜻蛉日記』の道綱母(劇中名は藤原寧子:財前直美)、『枕草子』の清少納言(劇中名は清原ききょう:ファッサマ)、『源氏物語』『紫式部日記』の紫式部(劇中名は藤原まひろ:吉高由里子)、『和泉式部日記』の和泉式部(劇中名は大江あかね:泉里香)、『栄花物語』の赤染衛門(劇中名?:凰稀かなめ)、『更級日記』の菅原孝標女(劇中名は菅原ちぐさ:吉柳咲良)などが該当します。

 藤原道長(柄本佑)の嫡妻・源倫子(黒木華)は、夫の事績と栄華を後世に読み継がれるような作品として描いてくれる作家を探していましたが、傑作『源氏物語』の作者である藤式部(まひろ)が大宰府へ旅立ったため、自身の教育係でもあった赤染衛門に白羽の矢を立てました。衛門は「『枕草子』が亡き皇后定子様の明るく朗かな姿を描き、『源氏物語』が人の世のあはれを大胆な物語に仕立てたのなら、私が為すべきは(仮名文字による)歴史書だ」と言い、藤原の始祖たる大化改新から描いていては道長まで到達できないとして宇多帝の御世から描き始めました。なお宇多帝から始めたのは宇多源氏たる倫子への衛門の忠誠心ゆえだと思われます。

 さて、劇中の大宰府では大宰権帥・藤原隆家(竜星涼)が太閤・道長から藤式部を丁重に扱えと命じられていました。「俺たちを中央政界から排除した『源氏物語』の作者をもてなせとは酷な」と文句を言いつつも、都での権力闘争から離れたことで見えたことがあり、それは仲間の大切さだと言います。藤式部を迎えた宴席で隆家は仲間の武者や豪族と共に歌い踊りましたが、それは大臣・蘇我馬子が推古帝の治世を寿ぐ内容の歌でした。推古帝は「東の帝が西の帝に手紙を書いたよ」という国書を隋の煬帝に届け、中華帝国の柵封体制に入らない(属国化しない)対等な外交を志向した偉大な女帝です。

 隆家らが歌い踊ったシーンには幾つかの意味が考えられます。東アジア諸国に開かれた玄関口としての北九州には対外的な緊張感があり、そこで大陸の影響下から脱した推古朝を讃える劇中のシーンは独立の意思表示とも受け取れます。そして強そうな武者が女帝の御世を寿ぐシーンの、視聴者への訴えという意味では、まるで愛子天皇を戴く未来を予祝しているかのように私は感じました。    

文責:京都のS

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