
「英雄たちの選択」(11/10)が庄内藩の豪商・本間光丘(1733~1801)を採り上げていました。本間家は酒田の廻船問屋であり、三代目の光丘が家業を継ぐと、海風に舞う砂丘の砂が酒田の繁栄を阻害していると見た光丘は、私財で黒松の防砂林を造って酒田を砂の害から解放しました。庄内藩主・酒井忠徳は、貧農を低利融資で救っていた光丘に士分を与え、窮乏する庄内藩士の借財整理を依頼しました。当時の庄内藩は御手伝普請と参勤交代で財政が逼迫しており、増税すれば農民が逃散するから藩士の棒禄を削るしか無く、藩士の多くは高利の借金で破産寸前でした。藩士が光丘による低利・長期の融資に借り換えて難を逃れると、次に藩主は藩財政再建も光丘に依頼しました。その再建が成った頃に天明大飢饉(1782~87)が発生しましたが、庄内藩では光丘が飢饉対策として献納した備蓄籾米24000俵により餓死者は0でした。
しかし、改革の成果が見えないとして反光丘派が徳政令(借金帳消し)を要求し、これに対して光丘は意見書「富国安民策」を提出しました。その内容は、まず光丘が庄内藩に2万両を年利5%で貸し、それを藩が農民に年利7%で貸し、差額2%が藩の収入という計画でしたが、「武士が金貸し?」と紛糾して光丘案は却下されました。朱子学では「商売は卑しい」とされ、武士は朱子学が基礎だからでしょう。大河「べらぼう」でも重商主義を掲げた田沼意次が「足軽上がり」と罵られました。陸奥白河藩主・松平定信は「天明飢饉でも餓死者0」と粋がっていましたが、出羽庄内藩の光丘を真似た可能性もあります。
失意の本間光丘に米沢藩主・上杉治憲(鷹山)から協力要請の文が届き、庄内藩で実現しなかった光丘の富国安民策は上杉鷹山により米沢藩で結実しました(※「C 17th season」参照)。やがて奥羽諸藩から協力要請が殺到したため、光丘イズムは奥羽中に伝播したはずです。光丘による農民や武士への低利融資は一種の公共投資(財政政策)であり、鷹山は公共事業と産業政策も組み合わせました。こうしたケインズ政策は後の天保大飢饉&天保改革期における二宮金次郎の農政へと続きました(※「C 8th season」参照)。
さて、江戸後期の人口減少は重税からの逃散が原因でしたが、現代の少子化は男尊女卑が原因です。そして皇室における象徴的な男尊女卑の解除こそが男尊女卑容認の空気を掃い、人口↑に転じさせるマスターピースです。
文責:京都のS
3 件のコメント
京都のS
2025年11月14日
パワー様、※ありがとうございます。三河武士がゴロツキで徳川家康がカネ大好きだったかは、私には確認のしようがありませんが、私のイメージとしてはカネ大好きなのは秀吉(成金趣味)のイメージです。畿内より西側の金山・銀山(特に生野銀山)を押さえて大坂城にも蓄財して籠城した豊臣方を牽制するために家康は東国の金山・銀山を押さえた可能性があります。
戦国武士は総じてゴロツキだと規定すれば、それが変わったのは徳川幕府が朱子学を官学と定めてからでしょう。八徳目の中でも特に忠と孝を重視し、武士に序列を侵させないようにすれば、徳川幕府による統治が安泰だからです。それを再強化したのが8代吉宗であり、その孫であることを絶対的なアイデンティティーとする松平定信が吉宗イズムと家康イズムに拘ったのは当然でした。だから序列や規律を侵すものとしての田沼意次を定信は許せなかったのでしょう。定信にとっては時処位の変化(貨幣経済の進展・武士が豪商の財力に屈する事態も)への対応より吉宗イズムの厳守の方が上位の価値だったわけです。
そして、それは時処位が変化(皇族方の晩婚化・少子化)したのに男系継承(皇位継承を男系男子にしか認めない)に固執する輩と相似形です。
パワーホール
2025年11月13日
松平定信は朱子学の影響で「商売は卑しい」と考えていたみたいですがもともと三河武士と呼ばれる連中は金や権力が好きという話を聞いたことがあります。徳川家康も好きなものは金だったみたいです。しかも田沼意次が足軽上がりと罵倒されたとありますがもともと三河武士なんてゴロツキみたいな連中の集まりだったのにそれがたった200年もたてば名門だなんておかしな話ですね。まるで150年も経ていない男系継承を伝統とあがめる男系固執派みたいです。
京都のS
2025年11月13日
ふぇい様、掲載ありがとうございます。これは本来「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!」シリーズの第46弾なので、1~45を以下にリンクしておきます。
さて、平賀源内生存説の中には、田沼意次の失脚後は源内が庄内へ逃れたという説があるようです。源内は田沼のブレーンだったので、本間光丘の藩財政改革に源内イズムが息づいていたら面白いですね。
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!1st season」( https://aiko-sama.com/archives/36871 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!2nd season」( https://aiko-sama.com/archives/37083 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!3rd season」( https://aiko-sama.com/archives/38400 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する!4th season」( https://aiko-sama.com/archives/42223 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 5th season」( https://aiko-sama.com/archives/43664 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 6th season」( https://aiko-sama.com/archives/46020 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 7th season」( https://aiko-sama.com/archives/46118 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 8th season」( https://aiko-sama.com/archives/46543 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 9th season」( https://aiko-sama.com/archives/46734 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 10th season」( https://aiko-sama.com/archives/46928 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 11th season」( https://aiko-sama.com/archives/46948 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 12th season」( https://aiko-sama.com/archives/47573 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 13th season」( https://aiko-sama.com/archives/47597 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 14th season」( https://aiko-sama.com/archives/48337 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 15th season」( https://aiko-sama.com/archives/48744 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 16th season」( https://aiko-sama.com/archives/50146 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 17th season」( https://aiko-sama.com/archives/50633 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 18th season」( https://aiko-sama.com/archives/51972 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 19th season」( https://aiko-sama.com/archives/52872 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 20th season」( https://aiko-sama.com/archives/53304 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 21st season」( https://aiko-sama.com/archives/53746 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 22nd season」( https://aiko-sama.com/archives/53796 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 23rd season」( https://aiko-sama.com/archives/53979 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 24th season」( https://aiko-sama.com/archives/54238 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 25th season」( https://aiko-sama.com/archives/54670 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 26th season」( https://aiko-sama.com/archives/54677 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 27th season」( https://aiko-sama.com/archives/55913 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 28th season」( https://aiko-sama.com/archives/56530 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 29th season」( https://aiko-sama.com/archives/56568 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 30th season」( https://aiko-sama.com/archives/56733 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 31st season」( https://aiko-sama.com/archives/57062 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 32nd season」( https://aiko-sama.com/archives/57766 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 33rd season」( https://aiko-sama.com/archives/57929 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 34th season」( https://aiko-sama.com/archives/58076 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 35th season」( https://aiko-sama.com/archives/58236 )
・「ケインジアン双系派がケインジアン男系派を駆逐する! 36th season」( https://aiko-sama.com/archives/58749 )
・「『中二病』に『保守』は難しい(C37)」( https://aiko-sama.com/archives/59090 )
・「シラケた日本国民を活気づける画期は愛子様の立太子!(C38)」( https://aiko-sama.com/archives/59990 )
・「皇統断絶の仕掛人を『ええじゃないか』と許すのか!?(C39)」( https://aiko-sama.com/archives/60908 )
・「問題は血筋ではない、皇位継承なのだ(C40)」( https://aiko-sama.com/archives/61089 )
・「数百年前に分岐した2家を合流させたがる不自由集団(C41)」( https://aiko-sama.com/archives/61438 )
・「近代史の悲劇は『血のスペア』という非道なシステムが原因では?(C42)」( https://aiko-sama.com/archives/61615 )
・「第一義は『女系を認めずして安定継承なし』(C43)」( https://aiko-sama.com/archives/61781 )
・「『西部邁の弟子』と『保守』の看板を下ろすべきでは?(C44)」( https://aiko-sama.com/archives/62825 )
・「時勢に対して反時代的に振る舞うには正当な大義が必要(C45)」( https://aiko-sama.com/archives/63079 )
他にケインズ主義について書いた記事は以下です。
・「インペリアル・グローバリズムという悪夢2」( https://aiko-sama.com/archives/33381 )
・「時処位の変化と制度改革」( https://aiko-sama.com/archives/32084 )
・「歴史から自由になった日本人民は皇室を戴けるか?(下)」( https://aiko-sama.com/archives/22681 )
・「権力者・愛子天皇の治世を仮想してみれば…」( https://aiko-sama.com/archives/22571 )
・「齟齬が生じたなら万難を排して改めよ!」( https://aiko-sama.com/archives/34107 )
・「思想マトリックスに皇統問題を加味してみた(表)」( https://aiko-sama.com/archives/29761 )
・「博愛と競合の間(余)~圧倒的に節度が足りない!」( https://aiko-sama.com/archives/37381 )
・「合理と感情の間~良識なき言論人を葬送せよ!」( https://aiko-sama.com/archives/38156 )