抜けない伝家の宝刀

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 現在の日本国でケインズ政策を行えない理由は2つあります。1つ目の国内的な理由は、本シリーズで何度も述べてきたように現代日本の経済状況が人口減少(生産者↓)による供給過小からの物価高騰(コストプッシュインフレ)人口減少(消費者↓)による不況が併存するスタグフレーションである点です。この人口減少や少子化の原因は日本を始めとする儒教圏の東アジアでは構造的男尊女卑にあります。その最適解の一つが愛子天皇誕生に伴う象徴的男尊女卑の解除です。

 2つ目の国際的な理由は世界中に蔓延る緊縮脳です。例えば某国が自国通貨自国通貨建て国債を大量に発行した場合、たちまち世界中の投資家が示し合わせたように当該国の通貨を売って暴落させます(※当該国の発行する国債が外債だった場合も!)。多くの他者が売りそうだから売るというのが投資家の行動原理であり、これは「株式投資は美人投票のようなもの」(JMケインズ談)と同様です。こうしたグローバルな緊縮脳が解除されない限り、通貨や国債を増発する素振りを見せただけでも投資家の脊髄反射を誘発して通貨安&国債金利上昇を招くはずです。これを回避できる国は基軸通貨国(米)資源大国(中露)などの覇権国だけです。そしてグローバルな緊縮脳が今も世界中の投資家やエリート層を縛り続ける理由は、緊縮主義&新自由主義(Aスミス→Dリカード→Fハイエク→Mフリードマン…)が経済学の主流派を占めてきたせいでしょう。

 以上2つが、例えケインズ主義やMMTが経済理論として正しくても実際には運用不可能である理由です。従って米国民主党のBサンダースやAオカシオコルテスなどのMMT論者はウォール街やシリコンバレーに忌避されるから大統領には成れないわけです。Dトランプが再び大統領に成れた理由はシリコンバレーに魂を売ったからだという説もあります。それゆえ積極財政は、現代日本では(補正予算増額みたいな形で)コッソリやるしかなく、高市自民党国民民主党のように政策として大々的に掲げるのは愚の骨頂です。

 さて、上記したMMT論者のAオカシオコルテスはグリーン・ニューディール(GND)を提唱しています。GNDとは環境保護(脱炭素・省エネ)への大規模投資を通じて再生エネ関連の雇用創出産業育成を行い、景気回復環境問題を同時に解決しようとする政策パッケージですが、これには別の大問題を孕んでいます。(後編に続く) 

文責:京都のS

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